「直通運転」や「対面乗り換え」はありがたい!? 知っておきたい、便利な鉄道トリビア集

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更新日:2022/3/11

知っておくと便利 鉄道トリビア集
『知っておくと便利 鉄道トリビア集』(植村誠/天夢人)

 通勤通学に欠かせない鉄道。普段から何気なく使っており、多くの人たちにはただの日常風景であろう。だが、ただ漫然と利用していてはその奥深き利便性に気づかない。明治5年に新橋~横浜間で鉄道が開業して以来、日々サービス向上に勤しまれており、我々は特に意識することなくその恩恵を受けている。本書『知っておくと便利 鉄道トリビア集』(植村誠/天夢人)は普段の通勤通学や旅行に使える「鉄道トリビア」を満載していて、鉄道知識は決してマニアだけのものではないことが実感できる。

ありがた~い“直通運転”の歴史

 まず、皆さんに紹介したいトリビアは本書冒頭にある「直通運転」。他社線同士や同社線内でもそれまで接続されていなかった路線を乗り換えなしに利用できるようになる運行だ。個人的には神奈川県の相模鉄道が都内のJRと直通したのも印象的。首都圏の大手私鉄でありながら、長年に亘り都心へ乗り入れていなかったが、2019年11月に埼京線・川越線へと乗り入れ、都内は渋谷・新宿、そして埼玉県の大宮・川越まで行けるようになった。もっとも、横浜駅は経由しないのだが。

 全国各地でみられ当然かの如く利用する直通運転だが、ありがたみを忘れている人も少なくないのでは。やはり乗り換えせずに行けるのは実に便利。日々の通勤で利用していると、帰宅時の乗り換えなど特に億劫に感じるし、せっかく座っていても乗り換えの電車で座れる保証などない。またその分、時間短縮にも繋がるのもありがたい。ただ、複数の路線をまたがる直通運転だけに、ダイヤの乱れもまた複数路線に影響する欠点は致し方なしか。相模鉄道とJR間でも、お馴染みの光景だ。

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“対面乗り換え”で乗り換えがスムーズに

 直通運転がなされていない路線同士では、どうしても乗り換えが発生する。当然ながら各社ともその対策は進めており、利用者としてはやはり同じホーム上で「対面乗り換え」できるとありがたい。本書は代表例として都内の田端~田町間で並走する山手線と京浜東北線を紹介。関西では東海道・山陽本線の草津~西明石間が取り上げられている。これらは時間短縮だけでなく、バリアフリーの観点からも注目すべきだろう。

 とはいえ、どうしても乗り換えに手間取ってしまう駅は少なくない。例えば再開発が進む新宿や渋谷、日本のサグラダファミリアといわれた横浜など、他社線とは立地や線路の形、開業時期の関係で互いの駅同士が離れていたり、同じ駅でありながらも路線を増やす際に離れたりしてしまうそうだ。また個人的には、初めての東京での京葉線乗り換えも思い出深い。地上ホームから地下へと下り「動く歩道」を乗り継ぐ10分ほどの移動時間は同一駅構内とは信じられなかった。

並行運転する路線の存在で選択肢が増える

 ところで路線のなかには他社線と並行する路線・区間も少なくない。本書では主要な区間を表にしているが、注目したいのはJRと小田急の競合区間である新宿~小田原間だ。実は、小田急の方が10分遅いものの620円も安いのだ(通常料金・2022年3月現在)。また、小田急は2022年春から「子供IC運賃を全区間で一律50円にする」と発表。乗車賃が安くなる分、特急ロマンスカーも利用しやすくなり、子供連れは小田急一択になるのでは。JRはいかに対抗するか、そして他社にもこの動きは広まるのか。

 お得に乗れるといえば忘れられないのが、いわゆる「フリーきっぷ」と呼ばれる指定区間内であれば乗り放題の切符だ。本書によると「主要区間の往復だけで元が取れる」のもあるとか。小生も個人的に度々利用しており、提携施設で入場料や食事が割引になるなどの魅力もある。大手路線だけでなく、地方の中小鉄道でも設けられていることが多く使わない手はないので、まずは各社の公式ホームページで検索してほしい。そして節約分で、その土地ならではのお土産を買えば、地域経済の活性化にも繋がるだろう。

文=犬山しんのすけ

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