ドイツ人女性は職場でもノーメイク! 81%が「自分自身に満足している」ドイツ人に学ぶ生きやすさへのヒント

社会

公開日:2022/1/30

ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか
『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(キューリング恵美子/小学館)

 日本のホスピタリティは素晴らしい、と世界から絶賛される。その一方で、同調圧力が強く閉鎖的だとも。自己肯定感の低さも目立っている。グローバル化を進める日本がこれから目指すべき道を探ってみたい。

 ドイツ人男性と結婚して34歳でドイツへ移住し、20年以上を過ごす著者の『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(キューリング恵美子/小学館)は、ドイツ人の自己肯定感の高さにまず驚かされた、という。内閣府が行った若者の意識に関する調査によると、「自分自身に満足している」という項目で、日本人は45.1%が「はい」であるのに対し、ドイツ人は81.8%が「はい」であるとの結果が出ているそうだ。

 自己肯定感の差は、日常生活や常識の違いにあらわれている。例えば、ノーメイクの女性が多いこと。職場でもプライベートでも、基本はノーメイク。ドイツ人女性は「メイクは特別なパーティーなど、したいときだけする」のだという。ドイツ語に「すっぴん」という言葉はないそうだ。

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 また、ドイツでは、空になりそうなコップにビールを注ぎ足そうとすると、驚かれたり、「自分のタイミングで注ぎたいから」と嫌がられたりするそうだ。ドイツ人にとっては、楽しく食事をしている席で人のために注いだり、取り分けたり、注文したりしている姿を見ると場を楽しめない、という考え方だそうだ。やはりドイツ語に「気遣い」という言葉はないという。ちなみに、学校でも先生が生徒を気遣うことがないらしい。生徒がしんどさを隠していると「なぜ痛みがあるのに休まないのか?」「なぜ疲労を感じているのに見学にしないのか?」と問うのだという。知って欲しければ、自分から発信、表現する必要がある。

 仕事面を見ると、ドイツ人は有給休暇をほぼ100%取得するという。日本では「人手不足だから…」と取得を諦めたり、取得したとしても多少の罪悪感を覚えたりするものだが、ドイツでは「人手不足は会社が考える問題」であり、仕事は家族やプライベートのためにあるため、罪悪感を覚えることもないのだそうだ。

 本書によると、ドイツ人は総じて自分軸があり、他人に振り回されない生き方をしている。過剰に空気を読む、相手を思いやる日本的な生き方が「他人軸の生き方」だとすると、ドイツ人は自分の思う人生を生きているため自己肯定感が高いのだろう、と著者は推測する。

 ドイツでは、子どものときから次のような考え方や習慣で育つのだという。

・自分のために生きる
・そのままの自分を受け入れて、自分を大切にする
・自分に自信を持つ、自分の意見をしっかりと持つ
・自分が居心地がよく、楽しく過ごせるように心がける
・仕事、お金よりも自分や家族の時間を優先する
・他人と自分を比べない

 確かに、礼儀正しくする、人に迷惑をかけないようにする、相手を思いやる、などをことさら大切だと教え込まれる日本の考え方や習慣とは一線を画する。

 本書は「日本下げ、ドイツ上げ」をしたいわけではない。両国に美点、美徳がある。ドイツ人的な自分軸を大切にする考え方と、そこから生まれる自己肯定感の高さを持ちつつ、日本人のように空気も読んで妥協していける柔軟性も持ち、両立できる人材になれば…つまりドイツと日本のいいとこ取りをすれば、世界で活躍できるオンリーワンの存在になれる、という著者の想像が実現することに期待したい。

文=ルートつつみ(@root223

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