さすがフィーヤン。女子のリアルな葛藤を6話ギュッと詰め込んだアンソロジー

公開日:2012/10/22

東京無印女子物語

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 祥伝社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:ねむようこ・安江アニ子・赤みつ・コナリミサト・山崎童々・月子原案 価格:500円

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さすがフィーヤンの作品。都会で生きる女子と男子の姿がリアルに描かれています。10代、20代の若者が「わかるわかる」と共感する6話のアンソロジーコミックです。

本作は、2007年から2008年にかけて、若い女性向けのコミック雑誌『フィール・ヤング』(略称=フィーヤン)に連載された、脚本家・なるせゆうせいによる原作の6作品が電子書籍化されたもの。6人の漫画家が1話ずつ担当しています。現代にたくましく生きる繊細な女子(と男子)のショートドラマを、作家6者6様のフィルターをとおして見られるのが楽しい。

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収録されている作品名と作家名は下記のとおり。
1話「のこのこ」ねむようこ
2話「あめふりシンデレラ」安江アニ子
3話「ウソコイ」赤みつ
4話「ダーリンはパープリン」コナリミサト
5話「チェンジ」山崎童々
6話「プラスマイナス」月子

最近の若者は、とかく多様性について言及されることが多いように思います。趣味や生き方など、さまざまなものが良くも悪くも多様になりました。個性が認められる社会になってきたことが、一つの要因であることは明らかです。

ところで、教育において「方向目標(一般目標とも)」と「到達目標」が混同したまま教育の議論がなされているのを、よく見聞きします。幼児教育では「方向目標」、就学後(小学校以上)は「到達目標」が用いられますが、両者の違い、ご存知でしょうか。

例えば、なわとびを例に挙げてみると、「なわとびを通して体を動かすことが好きになる(ように援助する)」のが、保育で用いられる「方向目標」。一方で、「なわとびが◯◯回できるようになる(ように指導する)」のが「到達目標」です。

つまり、到達目標は点数化が可能なので、子ども同士で比較することも可能ですが、方向目標では「その子どもが、前の自分(自身)と比べてどうなのか」が重要なので、他児と比べることにあまり意味がありません。そのため、保育者は、「目の前の(今の)、一人一人の子どもの姿」をよく見て、どのように各々を伸ばしていくか、という視点が大切になります。結果、個性を肯定的に認めることにつながります。最近では、保育者は保護者の育児支援にも努めるようになっていますので、子どもと同時に保護者も肯定的に捉えるよう頑張っておられるはずです。できのよくない親としては、頭が下がる思いです。

このように、就学前と就学後では、目標の考え方、ならびに設定のしかたが違うわけですが…。

個の重要性が認められるようになった一方で、成果主義・結果主義が常識として根づいた近年。その中で荒波に揉まれ生きる主人公たち。“不器用”を個性として有しつつ、“思い描く幸せな結果”を求めて悩みたたかう、フツーの女子たちの姿に共感を寄せるはず。

「のこのこ」と「チェンジ」は映画化、2012年6月16日に公開されています。本作を読んだ後はチェックを!


タイトル名をタッチすると、各話のはじめに飛べます

「のこのこ」。時間の流れが速い都会で生きる、ゆっくりの2人が織りなす物語

「あめふりシンデレラ」。芸人志望の男子とのもどかしい恋

「ウソコイ」。気になる男子の嫉妬を誘おうとしてウソをついてみるものの…

「ダーリンはパープリン」。人気女子の彼氏は、マンガ家志望

「チェンジ」。仕事に生きる女子と素朴な彼氏、そして同居人でもある恋愛体質の親友。ふいに、ちょっとした事件が起き…

「プラスマイナス」。禁断の恋に憧れる女子がとる行動は…
(C)ねむようこ・安江アニ子・赤みつ・コナリミサト・山崎童々・月子・なるせゆうせい/祥伝社