学校では教えてくれないお金の勉強を! 家のレストランのお客が減って両親の仲も険悪に…悩む少年の目線で学べる「お金の基本」

暮らし

公開日:2022/2/25

お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦
『お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦』(田中靖浩・ウサミ:著、秋山貴世:イラスト/岩崎書店)

 テレビをつければキャッシング会社のCM、ネットには「ラクして儲かる/すぐに儲かる」という誘い文句の数々、買い物も気がつけばキャッシュレスがデフォルト…こんな日常に囲まれていると「お金」に関する感覚がおかしくなりそう…そんな不安を持つことはないだろうか。大人でもそんな状態なのに、こうした環境の影響を知らず知らずのうちに子どもたちが受けているとしたらどうだろう。ちょっとそろそろ、お金のこときちんと教えたほうがいいかも。でも、どうしたら……? そう思ったママ&パパ、このほど登場した『お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦』(田中靖浩・ウサミ:著、秋山貴世:イラスト/岩崎書店)が心強い味方になってくれそうだ。

お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦 p.9
(p.9より)

 本書は小学校中学年以上のお子さんを対象に、マンガも入ったストーリー仕立てで「マネー・リテラシー」を教えてくれる画期的な1冊だ。著者のひとりはベストセラー『会計の世界史』(日経BP社)などの著作を持つ公認会計士の田中靖浩さんで、以前にも『おかねをかせぐ!』『おかねをつかう!』(共に岩崎書店)といったお金をテーマにした絵本の翻訳を手がけ、「子どもにお金のことを教えること」に力をいれてきた。

 本書の主人公は「ふつう」の小学5年生のケントくん。両親はハンバーグが名物の洋食屋を営むが、最近お客さんが減って経営状態が悪化、ママがパートに出るようになってから家の中の雰囲気も険悪になってしまう。そんな家のことをケントくんが嘆く様子から物語は始まるが、ある日突然、うさぎの貯金箱から謎のうさぎ・ウサやんが現れて急展開。「家の温かさを取り戻すためにお金に強くなれ!」とのウサやんの言葉に背中を押され、家のことをなんとかしたいケントくんはウサやんを師匠に「お金のこと」を学びはじめる――本書はこうしたストーリーに沿いながら、読者はケントくんと一緒にお金の基本を学べるようになっている。

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お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦 p.90
「かせぐ」上で必要な「仕事の種類」はこの3つのグループにわけられる!(p.90より)

お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦 p.42~43
各コラムでは小学生にもわかりやすくお金の知識が紹介されている

 たとえば「おこづかいの使い方」から、会計の基本的な仕組みである「かせぐ」と「つかう」の意味を理解していったり、「おこづかい帳を書くこと」でお金のたまる仕組みを理解して「かせいだ範囲で『つかう』」ことを習慣づけたり。さらには税金の仕組み、キャッシュレス時代のお金のあり方、「理想の仕事」について考えるパートもある。「学校では教えてくれないお金の勉強」(byウサやん)とのことだが、確かにここまでは学校では教えてくれないかも。だがきっとこうした知識こそ、子どもたちのこれからの人生を支えるベースになるに違いない。

お金にふりまわされず生きようぜ! レストランたてなおし大作戦 p.63
小学生にも身近になった「キャッシュレス」の時代に対応した「3つの財布」についても説明(p.63より)

「私たちが『自分らしく』生きていく上で、最低限必要なお金はかせげたほうがいいです。そして『かせいだ範囲でつかう』やりくりの大切さを理解すること、それはとても大切なことです。お金を『かせぐこと・つかうこと』の意味と方法――私はそんな『お金の基本』について、子どもにも理解できるかたちで伝えたいと思いました」(岩崎書店特設ページより)と、著者。

 お金をかせぐことは悪いことではないのに、なんとなくお金の話をするのは苦手という人も多いが、こうした本を利用して子どものうちからきちんとお金に向き合っておけば、お金に執着することなく(タイトルの通り「お金にふりまわされることなく」)、お金に対してポジティブな人生を送る基本が作れそう。親子で一緒に楽しめば、さらに話題も広がりそうな1冊だ。

文=荒井理恵

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