『カムカムエヴリバディ』ついにひなたが登場!るい・ジョー・ひなたの三人が築く、あたたかな親子関係

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公開日:2022/2/17

連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part1 NHKドラマ・ガイド
『連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

 現在放送中の、朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。朝ドラ史上初めて、祖母・母・娘、三世代の女性たちを主人公にしたファミリーストーリーです。ついにひなたが生まれ、親となったるい(深津絵里)とジョー(オダギリジョー)。今回は両親との幸せな記憶を持たないふたりが、どんな過程を経て親になっていったのかを振り返ります。

るいとジョーがつくった、あたたかな“大月家”

 京都に移り、回転焼き屋さんを始めたるいとジョー。るいは安子との日々を思い出しつつ働きますが、ジョーは回転焼きも焼けないし、店番もダメ。トランペット以外のことはからきしできないことがわかります。ならば出前に行ってもらおうと自転車の練習をしていた矢先、るいの妊娠が判明。しかし、父は戦死し、母とはすれ違いのまま別れてしまったるいと、両親と離れ、戦災孤児としてひとりで生きてきたジョーのふたりには両親に守られて過ごした幼少期の経験がありません。妊娠が判明した瞬間は、「僕お父さんになれるかな?」「なれるかな……お母さんに……」とそれぞれ不安を口にしました。

 けれども娘・ひなたが小学生になると、るいはしっかりもののお母さんに。ひとりで回転焼き屋を切り盛りしつつ、ひなたの行動にちょくちょく小言を挟む頼もしい姿は、大阪時代からは見違えるようです。一方ジョーはいまだ働かず、ひなたの宿題を手伝おうと思っても解き方がわからず……。しかし、このバランスこそがふたりのベストな形に映ります。ご飯を食べさせたり、朝起こしたり、普段のひなたの世話はるいがしっかりとやる。そしてひなたの大好きな映画村に一緒に行ったり、「英会話に通いたい」と言い出したときは、「商店街の福引で一等の熱海旅行を当て、換金して英語教室の月謝にあてる」という妙案(?)を出して、ひなたの気持ちに寄り添うのがジョーの役目。るいが怒りすぎてしまった時にはふたりの橋渡しをして、悩むるいに「僕は10歳のお父さん、るいは10歳のお母さん。一緒に大きくなってったらいいねん」と声をかけるジョーの姿に、共働き&ワンオペで疲弊中の筆者は、「こんなに育児に寄り添う夫がいてほしい!」とすら感じました(働いていないのは考えものですが……)。

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 また、ひなたが失恋し、やけになって回転焼きを床に投げつけたときには、ジョーが「お母ちゃんにも回転焼きにも謝れ!」とひなたを叱ります。そこで家を飛び出したひなたを追いかけ、「暗闇でしか、見えぬものがある……」とひなたの大好きな侍・モモケンをまねてひなたの隣に座ったのがるいでした。ときに立場を変えながら、一方が強く出たら、もう一方がフォローに回る。そんなふたりに育てられたひなたは、抜けたところはあるものの、雨宿りする友人を見ればすぐに傘を貸しに行く、心優しい子に成長しました。

 第15週では、そんなひなたも高校三年生に。進路に悩み、自分のふがいなさに落ち込みます。しかし過去のるい、安子が過ごしていた10代後半の頃を考えたら、普遍的な悩み事に頭を悩ませることができること自体が、るいとジョーがひなたに愛情を注ぎ、“普通の家庭”を築けた証とも言えます。ひなたのこれから、そしてフィナーレへ向かっていく物語の今後から、目が離せません。

文=原智香

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