おうちスイーツバイキングから地元旅行まで。時間がある今こそ叶う特別な思い出作りのススメ

出産・子育て

公開日:2022/2/18

いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト
『いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト』(むぴー/CCCメディアハウス)

 何かと外出がしにくい昨今、子どもとの外出や、やりたいことを諦めているファミリーも多いだろう。幼児がふたりいる我が家も、週末は近所の公園遊びばかりで、大人があまり楽しくない。休園・休校で、元気がありあまる子どもと家で時間をやり過ごす日々にぐったり、なんて声も、まわりから聞こえる。そんな「楽しい」に飢えている一家に一冊、置いてほしいのが、本書『いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト』(むぴー/CCCメディアハウス)だ。

 著者は、6歳と4歳と0歳の子どもを育てるマンガ家/イラストレーターのむぴー氏。育児マンガ、イラスト、企業とのコラボなどで活躍する著者が、2018年のブログ記事「いつか家族でやってみたい33の楽しい活動リスト」をベースに、家族で楽しめる99のイベントをほぼ描き下ろしで紹介する一冊だ。

いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト P52

 99のリストは「おうち編」と「おでかけ編」で構成。その中身はというと、紙に書かれたヒントを頼りに家の中で宝を探す「おうちで宝探し」や、家族に服をコーディネートしてもらいそのまま出かける「家族コーディネート大会」など、思い立ったらすぐにできるものが多い。一方で、真夜中に旅行に出かける「深夜に出発」や、地元のホテルや旅館に泊まる「地元旅行」など、少し準備や調査が必要だが、思い切ってやってみると面白そうな外出ネタも。そのほか、近所の公園で絵を描く「外でお絵描き」や、スイーツを好きなだけ買って家で食べる「おうちスイーツバイキング」など、ツールやアイデア次第で、子どもや大人がワクワクできるイベントばかりだ。

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いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト P19

 後半に掲載されている、むぴー家での体験レポートも楽しい。「おうちピクニック&休日の時間割り」や「おうちホテル」など、駐車場にシートを敷いてお弁当を食べたり、寝室の隣の部屋をホテルの一室にしてみんなで寝たりと、いつもと同じ家の中でも、少しの変化で子どもが喜ぶエピソードが紹介されている。むぴー氏自身、育児エッセイやTwitterからも伝わるように、3人の子育てに仕事に、忙しい毎日を過ごしている。そんな著者だからこそ、お金や手間をかけすぎず、でもちょっとだけがんばれば家族の笑顔が増えるというアドバイスは現実的で、とても温かい。

いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト P120

 今、子育てをしている人もそうではない人も、自分の子ども時代を思い返してみると、旅行やプールなど誰もが楽しいと思うイベントだけでなく、家や近所でやったユニークな遊びが印象に残っているのではないだろうか。私自身、何時間もかけて行った夏休みの旅行よりも、パジャマでやったプロレスごっこや、子猫を拾って帰ったことなど、家を中心とした半径100メートル程度で起きたことをよく覚えている。そして大人になった今、遠出すると疲れてしまって、楽しいはずの旅行で家族に優しくできないこともある。そう考えると、動きたくても動けない今は、それぞれの家族が力を抜いて楽しめる等身大の「楽しいこと」を見つけるチャンスなのではないかと思える。

いつか家族でやりたい99の楽しいことリスト P78

 家で遊ぶネタに尽きてしまった人は、本書の中から、次の週末にトライしたいものが見つかるだろう。そして、むぴー家が気負わず日々を楽しむ姿に、自分の家族が純粋に好きなものに目を向けたくなる。メディアで見た憧れのホテルでも、SNSで自慢できるイベントでもない、「我が家ならではの楽しいこと」を見つけようと思える1冊だ。

文=川辺美希

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