古事記1300年、読むなら今! 神様の世界ってかなりおもしろい!!
公開日:2012/10/25
『古事記』は何度読んでも、本当にワクワクする。耳慣れない神様の名前はちっとも覚えられないけれど、特に創造神話の世界が放つ、独得のダイナミズムがとにかくグッとくるのだ。なかなか教科書に出てきたような歴史的書物には手がのびないという方もいるだろうが、それってお勉強モードで生真面目に取り組みすぎるからでは? うーん、もったいない! まずはこの本のようなわかりやすい口語訳にトライするのをオススメしたい(ちなみに個人的な感覚ではあるが、電子書籍版は通常の書籍版よりサクサク読める感じで驚いた。初心者には読みやすいかと思います)。
たくさんの神様が登場するので、いちいち名前を覚えようなんてしなくてもOK。かえってそういうあらゆる神様を見つけてしまう「日本人の感性」の源を実感するほうがおもしろい。神様たちはかなり極端だし(案外ユーモラス)、理屈では理解不能な出来事もたくさんおこるし、だけど「神話ってそういうもの」なのだ。読むうちに身体が慣れて、なんというか「神話的世界」の肌感覚がざっくりとわかってきたら、ちゃんと「血の通った物語」として楽しめるようになるだろう。
ところで『古事記』は神代から連綿と続く「大和王権」の正当性を明らかにするために書かれた政治的な書物との解釈があるが、そういう視点を元に、『古事記』を神話にデフォルメされた「歴史書」として読み解いていくというのは、実は古代史マニアにとって王道の味わい方だったりもする。そうしたミステリアスな解釈は、なんといってもこの本の著者である梅原先生の得意分野であり、この本の後半にも収録されている『古事記』をめぐる考察はかなりおもしろい。出雲古代国家出現説、「稗田阿礼=藤原不比等」説……古代史マニアなら思わずゴクリのツボ満載だ。もちろん初心者にもわかりやすく書かれているので、本編の古事記そのものを読む前に、後半の解説から先に目を通すのもアリかも。また違ったおもしろさを体験できるかもしれない。
ちなみに今年は古事記1300年。出雲その他、古事記にゆかりのある地がにぎわっているようだが、古事記を味わって、そうした地を旅するのもかなりオススメ。目の前に神話世界が立ち上がり、不思議感覚の旅が味わえるだろう。電子書籍版なら地図アプリと併用で便利かも。よし、次回は持って行こう!
目次より
目次より 後半に梅原先生の「古事記」をめぐる論考あり
本編より
「古事記に学ぶ」より