決着をつけるため再び宇宙へ。リディの視点で描かれる“その後“の物語『機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還』

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更新日:2022/5/24

機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還
『機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還』(福井晴敏:ストーリー、玉越博幸:コミカライズ、安彦良和:オリジナルキャラクターデザイン、カトキハジメ:メカニカルデザイン、矢立肇・富野由悠季:原案/KADOKAWA)

 福井晴敏原作『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』の真の決着を描く物語、そのコミカライズ版が『機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還』(福井晴敏:ストーリー、玉越博幸:コミカライズ、安彦良和:オリジナルキャラクターデザイン、カトキハジメ:メカニカルデザイン、矢立肇・富野由悠季:原案/KADOKAWA)である。

 ストーリーは「UC」と、その翌年の物語である映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』をつなぐもの。主人公はリディ・マーセナス。彼は名門政治家一族の嫡男で地球連邦軍のMSパイロットだ。「UC」の主人公、バナージ・リンクスと戦いニュータイプとして覚醒。最終決戦ではバナージと共闘する。本作『機動戦士ガンダムUC episode EX2 獅子の帰還』はリディの視点で、彼の中でついていなかった決着を中心に描かれている。

 リディ、そしてバナージとミネバはその後どうなったのか、気になっていた人も多いのではないだろうか。なお本作には彼ら以外にも「UC」で活躍した顔ぶれと、おなじみのモビルスーツ(以下MS)が登場。ファンにはたまらない内容になっているのだ。

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「ラプラスの箱」をめぐる戦いの後、リディは再び宇宙へ

機動戦士ガンダム

「UC」は、ミネバ・ラオ・ザビの演説により「ラプラスの箱」が開けられて幕を閉じた。「地球連邦政府が転覆する」と恐れられていた“箱”だが、そこに隠されていた情報の開示は、宇宙に新たな緊張感をもたらしただけだった。

「一年戦争」後にジオンが「共和国」となって、地球連邦軍と合同で行ってきた軍事演習が中止になる。これはミネバの演説後、ジオン共和国が反地球連邦勢力の象徴的拠点とみなされるようになっていたからだ。

 地球に降りたリディ・マーセナスは、MS「ユニコーン2号機バンシィ」を持ち帰ったことで評価され、中尉に昇進していた。そして彼は、地球連邦政府中央議会議員の父親から地球連邦とミネバとの取引を明かされる。

「2号機バンシィ」とミネバのもとへ飛び去った「ユニコーン1号機」は、立会人のもとで、ともに解体、封印されたうえで、ジオンと地球連邦は互いに「サイコフレームの研究と開発を行わない」ということで合意していた。コロニーレーザーを跳ね返し、特殊な波動を放出してMSを動作不能にした「ユニコーン1号機」は、現在の人類の科学力では制御できない危険すぎる兵器だからだという。さらにバナージの生還については、確認できていないとも伝えられる。

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 リディは、アナハイム・エレクトロニクスの重役で、かつてともに戦ったアルベルト・ビストと再会。木星圏へ落ちのびたというミネバたちが、実はジオン共和国に匿われていることを聞く。そして彼もまた、バナージは「ユニコーン」に“魂を吸われて帰還していない”と告げるのだった。

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 呆然としていたリディの前に現れ、「バナージ・リンクスは生きている」と言ったのはカイ・シデン。伝説のニュータイプ、アムロ・レイの盟友であり、現在はジャーナリストだという。彼はリディに、バナージはあえて生死不明のまま姿を消しているのだと伝える。

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 カイからの情報を得て、リディは再び宇宙へ赴く。ジオン共和国との領海線をパトロールする部隊に入るためだ。リディは仲間の隙を見てジオン共和国の領海へ突入する。目指すはミネバ。そこにはバナージもいると信じて。

 リディは確かめたい。果たしてバナージは生きているのか……。

ミネバの前でガンダムとガンダムが再び相まみえる

 本作は、地続きである「UC」のMSが多く登場する。リディが国境パトロール隊で搭乗したのが、ガンダムタイプの「RGZ-95リゼル」。「MSZ-006 Zガンダム」の量産を目的に開発されたRGZ(リファイン・ガンダム・ゼータ)シリーズで「UC」ではネェル・アーガマを追っていた艦、ゼネラル・レビルに搭載されていたMSだ。

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 リゼルはウェイブライダー形態(飛行形態)への変形が可能で、高い機動性を備えている。リディはそのスピードでパトロール隊の仲間を振り切ろうとする。ただ「RGM-89S スターク・ジェガン」「RGM-89A2ジェガンA型」に追撃され、危うく墜とされかけたリディは「バンシィと同じってわけにはいかないか」とため息をもらす。

 何とかジオン共和国の領海に入ったリゼルは、ジオン共和国沿岸警備隊の旧式MSの包囲網も突破しさらに奥へ進む。そしてミネバが乗っているだろう巨大なコロニー建設用宇宙船「メガラニカ」を発見した。

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 そこに立ちふさがったのは白く塗装された「ガンダムMK-II」。ガンダムとガンダムが再び対峙し、戦いになるのか、それとも……。

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 本作は福井氏が書いた「UC」のエピローグであり、「NT」へつながるプロローグだ。「UC」という物語の決着、そして紆余曲折を経ながらも戦乱を生き抜いたリディが進む未来をその目で確かめてほしい。

文=古林恭

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