ハライチ・岩井勇気さんも推薦!男女問わず共感度MAXの恋愛オムニバス漫画『恋愛マトリョシカガール』

マンガ

公開日:2022/3/10

恋愛マトリョシカガール
『恋愛マトリョシカガール』(山本白湯/文藝春秋)

 波乱のない恋なんてひとつもない。どんな恋だって、一寸先は闇。上手くいかなくて当然だ。そんな思い通りにいかない男女のリアルな恋愛模様を描いたマンガが今大きな話題を呼んでいる。そのマンガとは、山本白湯さんによる恋愛オムニバスマンガ『恋愛マトリョシカガール』(文藝春秋)。ハライチ・岩井勇気さんも推薦する、男女問わず共感度MAXの作品だ。最新刊『恋愛マトリョシカガール 狂わせる女と同棲終了女』では、対照的な2人の女性を描く2編の短編が収録されている。恋愛は十人十色。そのはずなのに、山本白湯さんの描く登場人物の姿は、どうしてこんなにも身近に感じられるのだろうか。

 最新刊収録のひとつめの短編「無邪気に男を壊す女 類」で描かれるのは、男子大学生・香川の恋だ。香川は初めてのバイト先で、天使のような先輩・類に心奪われる。類にどんどんのめりこんでいく香川。だが、実は彼女は、近づく男すべてを狂わせるとんでもない女で…。類の悪女っぷりに何度悲鳴をあげそうになったことだろう。「現実世界にもこういう女子いるよなぁ」と思わされるとともに、そんな女子に弄ばれる男子の気持ちもわかりすぎてつらい…。現実にもありえる恐怖がこの短編には詰まっているのだ。

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 そんな類の恐ろしさにゾクッとされられた後だからこそ、続く「結婚を10年夢見た女 春奈」で描かれる女子たちの友情は余計に尊く感じられる。この短編の主人公は、10年交際してきた望夢との結婚を夢みているアラサー女子・春奈。交際10年目の記念日当日、「今日こそプロポーズされるに違いない!」と浮かれていた彼女だったが、望夢から告げられたのは、「別の女を妊娠させてしまったから別れてほしい」という残酷な言葉だった。そんな絶望する春奈に声をかけたのは、同じ会社に勤める非モテ女子・秋子。秋子に誘われるがまま、春奈は思い切って婚活に挑戦することになり、そして、2人は友情を育んでいく。その姿は、私たちの心を確かに温めてくれる。互いにいい影響を与え合う春奈と秋子の関係は何とも愛おしく、羨ましく目に映るだろう。

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 山本白湯さんが描くのは、どこにでもいそうな男女だ。だからこそ、登場人物たちが悩み、苦しむ姿は、どうしても他人事とは思えない。自分が今まで見てきたような場面の連続。そして、いつの日か感じた経験のある感情に、心が共鳴するのだ。自分も登場人物たちの仲間に加わったような気分で一喜一憂。彼らが幸せになれば、まるで自分のことのように、その幸せを噛み締めてしまう。

 恋愛ってどうしてこんなに難しいのだろう。どうしてこうも上手くいかないのだろう。だが、この作品に触れれば、きっと気づかされるはず。悩んでいるのはあなただけではない。きっと誰もが悪戦苦闘、七転八倒しながらも、それでも、恋することをやめられずにいるのだろう。いつの日か必ず幸せになれる日は来るはず。恋愛に振り回され続ける不器用な男女たちに共感せずにはいられないこのマンガを、ぜひあなたも手にとってほしい。

文=アサトーミナミ

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