自分をダメに思わなくてもいい。『ピーナッツ』のキャラクターから教わる、素敵な自分の見つけ方

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公開日:2022/3/14

いいことから始めよう スヌーピーと仲間たちからの生きるヒント
『いいことから始めよう スヌーピーと仲間たちからの生きるヒント』(エイブラハム・J・ツワルスキー:著、チャールズ・M・シュルツ:コミック、小関康之:訳/朝日新聞出版)

 何をやってもうまくいかない。そんな時期は誰にでもあるだろう。僕は、そういう時期こそ時間が解決するのを待つようにしているが、ときどき「自分はなんでこんなにできないんだろう」「こうなったのも自分の責任だ」といった思いがよぎってしまう……。もっとこじらせると、自己嫌悪に陥り、成功しても素直に喜べず、失敗する自分ばかり想像してしまう。

 しかし、そんな自分を励まし「自己否定する必要はないのだ」と思わせてくれる書籍に出会えた。『いいことから始めよう スヌーピーと仲間たちからの生きるヒント』(エイブラハム・J・ツワルスキー:著、チャールズ・M・シュルツ:コミック、小関康之:訳/朝日新聞出版)だ。

 本書には、世界中で人気の絵本『ピーナッツ』で描かれた話をもとに、自分へのマイナスな評価や考え方をアップデートし、素敵な自分を見つけるためのエッセンスが解説されている。

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 たとえば、第10章「積極的な生き方は、よく効く鎮痛薬」のエピソードにあるチャーリー・ブラウンの言葉は、自己肯定感が低い人の心情や言動をよく表している。

(野球場のマウンドにて)今日はプレーしようかどうか迷っているんだ……腕がいたむし、胃もいたむし、それに背中もいたいんだ

 絵本の設定上、チャーリー・ブラウンは失敗ばかりする男の子として描かれている。そして上述したセリフは、本当に体が痛いのではなく「試合に負ける」という失敗を恐れるがゆえに出た言葉なのだ。

 そんな彼に、厳しくも励ましの言葉を送るのが友人のルーシー。彼女はこう告げるのだ。

とにかくプレーしたら?自分のカラダの言いなりにならないでよ!

 少し厳しい言葉にも思えるが、作中でこの言葉は「ものごとをもっと積極的に考えるべき。ちょっとした不調に気を取られて自分自身や生活までダメに思う必要はない」と解釈されている。

 確かに、何度か失敗が続くとその現実が「絶望」に変わり、そこを避けようとしてしまいがちだ。少なくとも、僕はそうである。ただそれでも積極的に前に進んでみる。すると意外となんてことなかったりもするのだ。きっとルーシーがチャーリーに言いたかったのはこのことなのだろう。積極的な生き方こそが、失敗を恐れて前に進めない自分によく効く鎮痛薬なのだと。

 作中には他にも数多くの漫画が掲載されている。一つひとつの漫画に込められた意味を咀嚼しながらじっくり読み進めるのも良し、純粋に漫画を楽しむのも一興だ。自分をなかなか肯定できない人、自己嫌悪に陥っている人はもちろん、絵本『ピーナッツ』が好きな人にもおすすめしたい作品だ。

文=トヤカン

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