使わないのに捨てられない……。“家族と暮らす家”が散らかってしまうのは、どうして?

マンガ

公開日:2022/3/14

「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編
『「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編』(なぎまゆ/KADOKAWA)

 片付けに対する苦手意識が強かった私が、「救世主だ」と感じた本がある。なぎまゆさんのコミックエッセイ、『「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました』(KADOKAWA)シリーズだ。「一度全部出して」「使えない物と使わない物を徹底的に手放す」というシンプルなルールと、「片付けの正解は一人ひとり違う」というマインドセットが、私の片付けに対する意識を変えてくれた。さて、紹介するのは本シリーズ第三弾『家族の悩みも解決編』である。

 書籍紹介の前に、少し我が家の話をしたい。私は現在実家に住んでいる。とはいえ両親は余生に合わせた別邸に引っ越しているので、いわば“居抜き”のような形で私と夫がUターン移住した。住んでみてわかったのは、このケースにおける片付けのハードルが極めて高いことである。

 実家は家族全員の「捨てられないけど使わない物」が堆積し、面積の大半を古い物が占めている。新生活を始めた私や夫の物が入るスペースは実質ほとんどない。まさかここまで整理しない状態で家を引き渡されるとは……と、正直絶句した。だからといって他人の物を勝手に捨てるわけにもいかず、悶々と日々を過ごした。

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「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編

 シリーズ第三弾の『家族の悩みも解決編』は、まさにこういった家族の物が混在した家における片付けのハウツーを描いている。なぎまゆさんの片付け術のすばらしいところは、住まう人の気持ちに寄り添うところだ。前作は「性格に合う答えは人それぞれ」と伝えてくれていたし、今作も「お互い価値観や性格の違う者同士が同居している」ことを前提に片付けするよう、注意点や配慮するポイントを教えてくれている。

「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編

 片付けが苦手な人と、得意な人。物を捨てられる人と、捨てることをためらう人。価値観は千差万別なのだから、片付けの足並みがそろわないのはしょうがないことだ。相手の許可なく捨てたり片付けたりしてしまうと、混乱を招いてしまう。

「ちゃんとしなきゃ!」をやめたら二度と散らからない部屋になりました 家族の悩みも解決編

 そのほか、本書では家族と住む家だからこそ気をつけたいスペースの使い方についても解説している。共用スペースの収納についての考え方は目からうろこだった。個人のスペースからあぶれた「必要ない物」を共用スペースに置いてしまいがちだが、定期的に入れ替えたり、必要になったりする物を収納したほうが、あとあと放置されづらい。忘れ去られてしまう物を一つでも減らすために協力することが、家族と共に整理整頓を維持する秘訣かもしれない。

 人によって落ち着く空間、ライフスタイル、物の置き所の考え方は異なる。家族とはいえ他人同士が同じ家に住んでいるのだから、互いの価値観への想像力や最低限のルール遵守は必要だ。そういう心的な観点から片付けの悩みに切り込める点で、家族の住まいに「住みづらさ」を感じる方に本書をおすすめしたい。

文=宿木雪樹

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