更年期ルポマンガにみる「みんな違ってみんなツラい」驚きの世界

健康・美容

更新日:2022/3/25

マンガ100人の更年期1
『マンガ100人の更年期1』(天野こひつじ/主婦の友社)

「軽くは口に出しづらい話題」に位置づけられる更年期。ごく軽く「私、更年期だから」と切り出す人もいれば、「ホットフラッシュ」と口にするだけで不快感をあわらにする人まで、その温度感は千差万別です。

 そもそも更年期とは「閉経の前後5年」の時期を指す呼称。「思春期」「青年期」などと同様、誰もが必ず通過する呼び名に過ぎません。大抵の人は45~55歳が更年期に当てはまり、この時期に現れ、他の病気を伴わない症状を「更年期症状」と呼びます。そのうち症状が重く日常生活に支障をきたすものを「更年期障害」と呼びます。

 ですが、同じ45~55歳であっても、自分が「更年期かどうか」の認識は大きく違います。原因のひとつは「自分が更年期かどうかの『自己判定』のしにくさ」にもあるでしょう。

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 実は、「更年期」の判定は2段構えです。

・「最終月経から1年前を閉経と判定する」ため、1年たたないとわからない
・閉経したとわかってはじめて、「その前5年」も更年期だったと判定できる

 このように「終わってみないとわからない」ため、「私はまだ月経があるから更年期ではない……」という非当事者感が生まれるのでしょう。

 実際の認識はどうなのでしょうか? 「ごく普通の毎日を送る一般的な女性たち」100人の更年期エピソードを集める『マンガ100人の更年期1』(主婦の友社)を参照してみましょう。ウェブサイト「オトナサローネ」の連載を電子書籍化したもので、本書には5人のエピソードが収録されています。

 1話めに登場するエミさんは42歳で更年期症状を自覚。自分の母親に相談してみるものの、「まだ42歳でしょ? 私なんか50歳過えてからだったもの!」と一蹴されました。結果、本来は我慢する必要のなかっためまいに長い間苦しめられました。

マンガ100人の更年期1

マンガ100人の更年期1

 その後、めまいの原因の一つはストレスだと気づいて転職。とある「シンプルなこと」を始めて更年期と向き合い始めます。

 4話めに登場するチサトさんは50歳。この取材を受けるまで自分が更年期だと気づいていなかった一人です。周期的な不調は起きていたものの、それが月経周期とリンクしていることまでは考えませんでした。

マンガ100人の更年期1

マンガ100人の更年期1

 獣医師である彼女は病気に対する予防や治療の意識が高く、病院での検査はきちんと受けていました。にもかかわらず、更年期という自覚はしにくいもの。そんな彼女の悩みは更年期世代の女性のほとんどが抱える悩みと一緒で……。

 すでに更年期が終了した人の「振り返り」を見てみます。3話めに登場するミズキさんは59歳。すでに更年期は終了、更年期症状そのものは軽かったものの、いっぽうで家族に「私の努力だけではどうにもならない」大トラブルが発生します。

マンガ100人の更年期1

マンガ100人の更年期1

 このように、更年期とは女性自分自身だけの問題ではなく、仕事、親、子ども、夫など、自分を取り巻く周囲にも大きな変化が訪れる時期。一筋縄ではいかないミズキさんの問題、果たしてどう解決されたのでしょうか……?

「あれ、この症状って更年期だったんだ?」「私、42歳だけどこういう症状あります」「よかった、悩んでいるのは私だけじゃなかったんだ……」。40代に入った女性はもちろんのこと、40代に差し掛かる女性が周囲にいるなら、実例を「読んで心構え」をしておくに越したことはありません。「知るための一歩」こそが、当事者たちが「自分はいま更年期なのでこうしてほしい」という自己開示をためらわずに済む世の中を作っていきます。

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