「趣味:徘徊、得意なこと:ウソをつくこと」高田純次に学ぶゴキゲンな生き方とは

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公開日:2022/3/26

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました
『50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました』(高田純次/主婦の友社)

 元祖テキトー男・高田純次さんの新刊『50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました』(主婦の友社)が発売になった。50歳を目前に控えこれからの生き方に漠然とした不安を抱えていたという本書の編集者が東京タワーのトイレでロケに訪れていた高田さんとたまたま遭遇し、工事中のため1つしかなかった洗面所を高田さんから「お先にどうぞ!」とニッコリ譲られたという実際の出来事が、そのままタイトルになっている。カメラが回っていないところでもゴキゲンな高田さんに「なんて素敵なんだ!」「少しでも高田さんのようになれたら毎日楽しいだろう」と、いたく感激し、企画をオファーしたという(しかし、ご本人は全く覚えていなかったらしい)。

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました

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 本書はそうした経緯そのまま、50歳という人生の折返し地点を過ぎても悩み多き読者のために、高田純次流「生き方のヒント」が紐解かれる……かと思いきや、冒頭から

Q、高田さんみたいにいつもゴキゲンに過ごす秘訣は?

(高田さん)うーん、オレうわべだけだから。こう見えてゴキゲンじゃないから。本当はオレ、楽しいことなんて別にないからねぇ~。ということはオレみたいにしなければ意外といつもゴキゲンでいられるかもしれないよ。だから50歳過ぎたら高田純次を手本にしない! っつうのが一番のゴキゲンでいる方法だね。

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました p.14-15

 と、おなじみの高田節で煙に巻かれてしまうのだ。先日行われた本書の出版記念会見でも「高田さんのような生き方に憧れる」という声に対して「オレはオレ自身になりたくないんだけどね!」と鮮やかに言い切っていた。

 しかし、不思議なことに最初は「?」となる高田節だが、「ああ、そうかもしれない!」と気付かされることが多いのだ。

Q、昔も今もブレずに空気を読まない高田さん。そのコツは?

(高田さん)はっきり言って、空気を読むってことはブレてるってことだから。空気を読んでばかりだとブレちゃうから、へんに読まないのがいい。空気は読まないで、ゆっくり吸うっていうのが生きていくコツだろうね。

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました p.48-49

 なるほど! 「自分ブレブレだな」となったら、ゆっくりと深呼吸することでカラダのコアがどっしりと定まりそうだ。

Q、50歳を過ぎて、だんだん年をとるのが怖くなる感覚があります。高田さんはどうですか?

(高田さん)いつだったか千葉のロケで会ったおばあちゃんに、「高田さん、アンタすごいよ。たぶん死ぬまで生きるよ」って言われたことがあった。「いや、うれしいなぁ。ありがとうございます!」なんて答えたんだけど、考えてみたら死ぬまで生きるのはみんな同じですからね(笑)。でも、いい言葉だよねぇ、「死ぬまで生きる」って。いつもそんな気持ちでいればいいんじゃない?

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました p.131

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました p.132

 人はだれでも年をとる、それは自明のこと。だから、千葉のおばあちゃんがいうように「死ぬまで生きることはすごいことだ」と思えたら、もう怖がる必要はない。

 本書には「高田純次リスペクト芸人」のアンタッチャブルの柴田英嗣さん、たむらけんじさん、おいでやすこがのこがけんさんの3人が熱い高田純次論を披露する企画もある。なぜ高田純次にハマったのか、その魅力は何かを語るなかでも、高田さんのゴキゲンな人物像が浮かび上がっている。

 柴田さんは、50代はまだまだ稼がなきゃいけない、60代だって働かないと老後が心配という今の世の中において「何かそういう使命感や心配事みたいなものを、全部捨てた先にあるものが高田さんなんじゃないかと考えています」という。

 また、先日50歳で芸人引退を表明したたむけんさんは、高田さんの「自分の好きなことを、空気なんか読まずにやる」生き方は、根っこのところで自分と同じような気がするとして、引退後は好きなこと楽しいことをやって過ごしたいのだとか。

50歳を過ぎたら高田純次のように生きよう 東京タワーの展望台でトイレの順番ゆずったら本が出せました

 そして、最終章では現在75歳になった高田さんが「終活」について考え、エンディングノートを書いている。高田さん自身を総括した、とも言える本邦初公開の企画だが、これが面白い。

 趣味:徘徊
 得意なこと:ウソをつくこと
 生きがい:自分探しの旅
 自分の性格:「質実剛健」「軽佻浮薄」

 これぞ、高田純次的回答だ。

 好きな言葉:「大器晩成というのは無能な人を慰める唯一の言葉である」「禍福は糾える縄の如し」

 実はここに、高田さんの別の一面というのか、もう一段深いところの「高田純次」という人が現れている気がしてならない。なぜこの言葉が好きなのかについては、ぜひ本書を読んでほしい。

 メイン読者の50代以降はもちろん、その下の世代も本書を読めば「こんな風にありたい」と、ごりごりに固まったアタマとココロがゆるまることうけあいだ。

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