加熱ムラや加熱不足、味がしみない…をスッキリ解決! レンジ料理がおいしくなる「味つけと加熱の計算式」

暮らし

公開日:2022/4/1

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理
『一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理』(前田量子/主婦の友社)

 ほったらかしで「今日のご飯」が完成する電子レンジ調理は、多忙な日々を送る人にとって心強い味方になっている。しかし、時に加熱のムラが気になったり、思い通りの味に仕上がらなかったりしてモヤモヤすることも…。

 そんな悩みをスッキリ解消してくれるのが、『一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理』(主婦の友社)。本書は、料理家・管理栄養士であり、『誰でも1回で味が決まるロジカル調理』や『ロジカル和食』、『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』などで監修をつとめる前田量子さんが、調理科学の観点から見出した、一度で加熱が上手くいき、味がピタっと決まる「計算式」を掲載。前田さんが最適な数値を編み出した、絶品レンジ調理レシピも多数収録されている。

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一発で加熱でき、味が決まる「ロジカル電子レンジ調理」とは?

 電子レンジ調理は、途中で味を調節しにくいのが難点。しかし、著者が生み出した「味つけの公式」を知れば、そのデメリットはもう怖くない。

〈味つけの公式〉

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理

食材の重さ×0.01(1%)=塩の量
例:(牛肉200g+玉ねぎ100g)×0.01(1%)=塩3g

 著者いわく、塩味と甘味は特においしさに関係しており、塩味は甘味に比べおいしいと感じられる味覚の幅が狭いのだとか。

 塩味がおいしく感じられるのは、人の血液(体液)の塩分濃度0.9%に近い、塩分濃度0.8~1.2%ほどであるそう。そこで著者は本書では分かりやすく、「人がおいしさを感じる塩分濃度は1%」として、食材の重さに対する塩分濃度が1%となるレシピを紹介。

 そして、材料の総重量から電子レンジの加熱時間を考えようとも提案している。

〈加熱時間の公式〉

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理

材料の総重量100gに対して、電子レンジ600Wで1分30秒~2分30秒

※ここでいう総重量とは肉や魚、野菜などの食材+味つけ調味料、水などのこと。

 著者によれば、電子レンジの加熱時間が総重量にほぼ比例するのは、電子レンジが材料の水分に反応して加熱する調理器具であるからなのだとか。少し実験っぽさがあるロジカル電子レンジ調理法は、“うちの味”を作る基盤となるのだ。

電子レンジだからこそ煮崩れしない「ぶりの照り焼き」

 実は電子レンジ調理に向いているのが、魚料理。中でも、ぜひ挑戦してほしいのが、ぶりの照り焼きだ。

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理

 実践する際は、電子レンジの内部を要確認。下味をつけたぶりと味つけの材料を温める時、フラットテーブルの電子レンジならばぶりの皮を中央に、ターンテーブルの場合は外側に向けるのがコツ。

 しょうがのしぼり汁を加えることでくさみがなくなり、下味もしっかりとついたぶりの照り焼きはリピートおかずになること間違いなしだ。

フライパンで作るよりパラパラに! 「絶品チャーハン」

 簡単そうに見えて、意外と技術がいるのがチャーハン。けれど、ロジカルな電子レンジ調理法を用いれば、家庭でも簡単に絶品チャーハンが楽しめる。

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理

 おいしさのカギは熱々ご飯を使用することと、最後に電子レンジで水分を飛ばすこと。溶きほぐした卵に油を加えると口あたりが滑らかになるというマル秘ワザにも驚かされる。

 著者は、冷凍ご飯や冷めたご飯を使用する際の加熱時間や加熱方法も詳しく解説。料理が苦手な人こそ、試してほしい1品だ。

全工程がレンジで済む! お手軽「グラタン」

 グラタンは本格的に作ろうと思うほど、手間がかかる。いつしか、冷凍品で妥協するようになったのは筆者だけではないだろう。

 そんな方に著者が教えるのは、全工程を電子レンジに任せられるグラタンレシピ。

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理

 ポイントは、あらかじめ粉チーズとパン粉で「チーズパン粉」を作成すること。レンジでしめじや玉ねぎなどの具材を温める際は、鶏肉を野菜の間に入れることも重要。また、とろみを安定させるために加熱をするという一工夫は目からウロコだ。

 マカロニを別でゆでなくてもいいこのグラタンレシピは、特別な日にも大活躍してくれそうだ。

 なお、著者はもやしやさつまいもなど、悩みがちな野菜の加熱時間も詳しく解説。

一発で加熱成功! 味つけの失敗なし! ロジカル電子レンジ調理

 ほかにも、春雨やパスタなどを電子レンジ調理する時に最適な水の量と加熱時間を表で説明してくれていたりと、読者は人数や食べる量を考慮した“我が家にぴったりのレシピ”を自分で導き出せるようになる。

 ずっと使えるおいしさの秘密が詰まった本書は、真の意味で作り手に寄り添った料理本だ。

文=古川諭香

▼本書の紹介動画はこちら

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