91歳! 和の鉄人・道場六三郎の楽しく生きるコツ

暮らし

公開日:2022/4/1

91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く
『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』(道場六三郎/KADOKAWA)

 1990年代に放送されたテレビ番組「料理の鉄人」では、斬新なアイデアで視聴者を釘付けにした料理人、道場六三郎氏。91歳になった今でも現役で仕事を続けている。

 そんな道場氏が、楽しく生きるコツを綴ったエッセイ『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』(道場六三郎/KADOKAWA)は、読むと前向きな気持ちになる1冊だ。

「料理の道に進み、70年以上経つが、いまだに料理のことを考えると楽しくて仕方ない」と道場氏。夜中でもふと目が覚めたときに料理のアイデアが思い浮かんだら、紙に書き留めるそうだ。

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料理のこと以外でも、ふと思い付いたことを紙に書き留める習慣があるという

 料理のこと以外でも、ふと思い付いたことを紙に書き留める習慣があるという。道場氏のオリジナリティあふれる言葉に胸打たれる人も多い。

――――人生に過去はなし
今日からスタート
笑顔をもって感謝感謝――――

「過去にとらわれず今を生きる」という考えは日々の暮らしにも通じる。

「とにかく過ぎ去ったことをくよくよ引きずらないようにしたいですね。ゴルフでもパットを外したからといつまでも悔やんでいる人がいますが、あれでは次のホールに集中できなくなります。どんなに入れたくても入らないときは入らないものです。そう潔く割り切って、今やるべきことを第一に考えるのが、次に成功する秘訣でもあります。気持ちをうまく切り替えることが大事です」と道場氏。

「仕事でも日常生活でも、ちょっとした失敗は誰にでもあります。でも、終わったことは終わったことです。かといって明日のことも、いくら考えても人生どうなるかわかりません」

 大事なのは、「今日一日がすべて」という気持ちだという。目の前の仕事に没頭し、今この瞬間は精一杯楽しくやろうというのが、道場流。

「料理の鉄人」に出ていたころも、このやり方で数々の修羅場を乗り越えてきたのだ。いつも本番で、いきなり食材が発表されるため、ここ一番の集中力が試された。

「料理人によっては、何日も前からあれこれ予想しては思い悩み、どんな料理を作ろうか考えてきていたようですが、僕はいつもぶっつけ本番でした。

 事前に何通りも考えてきたところで、予想が外れるかもしれません、だったら、その場で必死に頑張って、自分にできる最高の料理を作ろう、たとえ勝負に負けても引きずらないで、次のチャンスにできる限りのことをすればよいのだからと思ってやってきました」

――――人生、今日一日と見つけたり――――

「仕事も人生も、過去に惑わされないで、サバサバとした気持ちで取り組みたいですね」

文=坂下真由子

仕事も人生も、過去に惑わされないで、サバサバとした気持ちで取り組みたいですね

【著者プロフィール】
道場六三郎
1931年1月3日、石川県に生まれる。91歳。和食料理人。日本料理の世界に革命を起こし、テレビ番組『料理の鉄人』では斬新な発想で視聴者の人気を博した。1971年に開店した「銀座ろくさん亭」で、今も調理場に立つ。

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