人生100年時代、輝き続けるための秘密のセルフケア

健康・美容

公開日:2022/4/4

女医が教える性のトリセツ
『女医が教える性のトリセツ』(富永喜代/KADOKAWA)

 デリケートゾーンにかゆみや違和感がある。ニオイや乾燥が気になる。下着がヒリヒリ擦れて痛い。性交の際に痛みがある……。そんなデリケートゾーンの悩みをひとりで抱えている中高年女性は、少なくない。日本人女性を対象にした疫学調査では、およそ2人に1人が不快な症状に悩んでいることが明らかに(Climacteric-Climacteric, DOI: 10.1080/13697137.2020.1768236-
H. Ohta , M. Hatta , K. Ota , R. Yoshikata & S. Salvatoreより)。

 これまであまりオープンに語られてこなかった話題なだけに、どこに相談すればいいのか、どんなケアをすればよいのか、わからないこともあるだろう。そんな悩める子羊たちの一筋の光明となるのが、『女医が教える性のトリセツ』(富永喜代/KADOKAWA)だ。

中高年女性の2人に1人は悩んでいる! デリケートゾーンのお悩み

「正しくメンテナンスしないと性器も劣化します」

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 そう指摘するのは、著者の富永喜代氏。愛媛県高松市で「富永ペインクリニック」を開業している。「ペインクリニック」とは「痛いという症状」にフォーカスした新しい医療分野で、頭痛、肩こり、首痛、肘痛、腰痛、膝痛、手足の指痛など幅広い「痛み」の専門医のこと。また近年は「性交痛外来」を開設し、主に女性の性交の悩みを治療している。

 本書では、デリケートゾーンのニオイや更年期、性交痛など中高年の性にまつわる悩みへの解決策が網羅されている。

 富永氏によれば、女性が更年期を迎え、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下すると、一般に知られている更年期障害だけでなく、デリケートゾーン(陰部)全般にも、さまざまな変化やトラブルが起こるのだとか。

「これは誰にでも起こる自然な変化で、これらのトラブルは、2014年にGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)という新たな概念として、提唱されるようになりました」

これは誰にでも起こる自然な変化

 このGSMはなにも特殊な病気ではない。誰にでも起こることではあるが、時間が経過しても良くなることはないので、1分でも1秒でも早くセルフケアをすることが重要だ、と富永氏は力説する。

デリケートゾーンは第2の顔。今こそ正しいケアを

 そもそも自身のデリケートゾーンを鏡で見たことがある人、どんな形をしているか把握している人は、どれぐらいいるだろうか? 中には、子どものころから、「見ちゃダメ」「触っちゃいけません」と言われて育った人もいるかもしれない。日本ではまだデリケートゾーンをタブー視する風潮が根強く残っているのが現状だ。

 普段の状態を知っていれば、ささいな変化もキャッチできる。また顔にシミやシワ、たるみが生じるように、デリケートゾーンのルックスも年を重ねるごとに変化が訪れる。そういう意味では、顔は「第一の顔」、デリケートゾーンは「第二の顔」といえるのだ。

デリケートゾーンは「第二の顔」といえる
中高年で改めて知っておきたい正しいケア

 本書では、デリケートゾーンの洗い方やおりものシートの使い方など、中高年で改めて知っておきたい正しいケアをおさらいする。なかでもニオイ対策として富永氏がオススメするのが、善玉菌を補充する方法。

 発酵食品やヨーグルトを食べることで、善玉菌を増やし腸内環境を整える「腸活」はよく知られているが、腟にも善玉菌を補充する腸活ならぬ「腟活」がある。

 エストロゲン低下によって、グリコーゲンが減少し、それをエサにしている乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)が減ることで、ニオイの元になる。つまりニオイを元から断つには乳酸桿菌を補充すればいいというわけだ。

 現に富永氏のクリニックでは、腟内の善玉菌を含んだ腟専用の保湿ジェルクリームをオススメしているのだとか。これによりニオイの発生を抑え、潤いを与え、腟内環境を正常に整えてくれるのだ。

 

腟専用の保湿ジェルクリーム

 知っていそうで知らない加齢における体の変化。人生100年時代においては、私たちの人生は更年期を迎えてからのほうが長いかもしれない。これまで人類が体験したことのない「モデルなき時代」を生きている、といっても過言ではないだろう。そんな中では、「身体に起こる変化を受け入れて、前向きに生きていくことこそが人生を謳歌する秘訣」という富永氏のメッセージはすべての読み手に力強く伝わるはずだ。

 本書ではその他、男性にも刺さる性と健康にまつわるテーマもふんだんに収録。「もう年だから仕方ない」と諦める前にぜひ参考にしてはいかがだろう。

文=アケミン

【著者プロフィール】
富永喜代(とみなが・きよ)
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。全国から患者が集まり、のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。YouTube「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室」は開設1年で2600万回再生、TikTokフォロワー4.8万人。Facebookは年間1300万人にリーチする。
YouTube : 女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室 TikTok : @kiyotominaga Instagram : @tominaga_kiyo Facebook : tominagakiyo Twitter : @tominaga_kiyo

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