これが令和の着物スタイル! 伝統と新しさを融合させて、自由に楽しむ

暮らし

公開日:2022/4/9

フリースタイル着物コーデBOOK
『フリースタイル着物コーデBOOK』(みさまる/KADOKAWA)

 SNSを見ていると、時々流れてくる個性的な着物姿の女の子。「いいね」がたくさん付いている画像を見ると、普段から着物に親しんでいる私でも「え、そんな着方もアリ!?」と驚くような斬新なスタイルが目を引く。

 みさまるさんも、自由に着物を楽しむ人のひとり。Twitterで着物のコーデを写真でアップして、着物の魅力を体現している。

 そんなみさまるさんの肩書きは、「着物クリエイター」。

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 その名の通り彼女のスタイルはとてもクリエイティブかつ独創的で、タイムラインをスクロールする手を止めて「これは…本当に着物?」と思わず拡大して見てしまう。

 この本は、みさまるさんの初の著書となるスタイルブック。これまでに彼女自身が着て、SNSでも反響の大きかったコーディネートを一挙公開するとともに、初心者さんにもわかりやすい着付けの基礎やスタイリングのコツが紹介されている。

簡単で楽ちんなスタイリングがたくさん!

簡単で楽ちんなスタイリングがたくさん!

「簡単コーデ」の1つがこちら。

 ブラウスにデニムというラフなファッションの上にカーディガン……ではなく羽織を重ねたコーデ。時間も手間もゼロで、誰でも簡単に取り入れることができる。

室町時代の着物姿にヒントを得た「室町コーデ」

 室町時代の着物姿にヒントを得た「室町コーデ」。

 帯を使わない代わりに、大きな布を巻いてベルトで固定している。複雑な帯結びに手こずることもなく、お腹周りの締め付けが苦しいという着物にありがちな悩みからも解放される。

パンク・ゴシックコーデ

 こちらは「パンク・ゴシックコーデ」。

 ひと目見ただけでは着物とは気づかないほど、大胆なアレンジを加えている。着物とゴシックというまったく異なるジャンルだが、上質な絹の光沢やしなやかな生地感がドレッシーな装いに見事にハマっている。

「フォーマル」だけが着物じゃない!

「フォーマル」だけが着物じゃない!
紹介されているコーデはどれもテクニックいらず
伝統にとらわれない自由なスタイリング

 このように、紹介されているコーデはどれもテクニックいらずで、「着物とはこうあるべき」という伝統にとらわれない自由なスタイリングばかり。

中には「邪道だ」と感じる人もいるかもしれない
ふだんのオシャレ」にルールや正解なんて、存在しない(ですよね?)
自分の思うままに、着物をファッションとして楽しむことが大切
しきたりに囚われないそんな純粋な心を教えてくれる

 中には「邪道だ」と感じる人もいるかもしれない。

 しかし、これらをまとうオケージョンは冠婚葬祭でもお茶会でもなく、ショッピングやカフェなどの日常生活。

「ふだんのオシャレ」にルールや正解なんて、存在しない(ですよね?)。だから、自分の思うままに、着物をファッションとして楽しむことが大切なのだ。みさまるさんの自由なスタイルは、しきたりに囚われないそんな純粋な心を教えてくれる。

ワンコインで買える着物店の紹介も

 巻末には、おすすめの着物店のリストも掲載されている。

 この本ではすべてみさまるさんの私物でスタイリングされているが、そのほとんどが祖母から譲り受けたものや、お手頃価格で手に入れたリサイクル品とのこと。

 私もその1人だが、リサイクル専門店を活用する着物愛好者は意外と多い。

「着物って高いんでしょう?」「お金がないから買えない」と二の足を踏んでいる人は、ワンコインで買える着物があることに驚くはず。

 WebサイトやSNSをしているショップも多いので、本書に書かれているURLもぜひ覗いて見てほしい。

ワンコインで買える着物があることに驚くはず

難しく考えずに着物を楽しもう

私はファッションとしての着物の可能性の幅を広げるため、この本を遺します。

本書を通じて「着物ってこういう着方もありなんだ」と、少しでも感じていただければ嬉しいです!

 この本では「着物とは…」「道具の名前」「着物の種類」といった、着物初心者さん向けのお勉強的要素は最小限に留められている。難しいことは一旦置いておいて、まずはみさまるさんのクリエイティブな世界を見て楽しんでほしい。

 そして、あなたのファッションに着物という選択肢を増やしてもらえたら、着物好きの1人として嬉しく思う。

文=奥村佳奈子

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