『カムカムエヴリバディ』が完結。稔・ジョー・五十嵐……ヒロインが恋に落ちた相手、三者三様の魅力を徹底紹介

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公開日:2022/4/13

連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part2 NHKドラマ・ガイド
『連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ Part2 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

 この記事には、最終話の内容が含まれます。未見の方はご注意の上、お読みください。

 4月8日に最終回を迎えた、朝の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。朝ドラ史上初めて、祖母・母・娘、三世代の女性たちを主人公にしたファミリーストーリーです。朝ドラの醍醐味とも言える主人公の恋愛が三者三様に描かれ、一粒で三度おいしかった本作。稔・ジョー・五十嵐、それぞれの魅力を振り返ります。

昭和の好青年がピタリとハマった、松村北斗演じる稔

 ひとり目のヒロイン・安子(上白石萌音)が恋に落ちたのは、岡山の有名企業・雉真繊維の長男・雉真稔。たちばなで店番をしていた安子の前に現れた初登場シーンから、終始知的で穏やか。ジャズにも詳しく、いきつけの喫茶店があるなど、年上の魅力あふれる好青年で、自転車や英語を教えることで、安子の世界を広げてくれた存在でもあります。大阪の大学に通って、家業を広げる夢を持つ稔を演じたのは、ジャニーズグループ・SixTONESのメンバーでもある松村北斗さん。本作以前にも多数の映画・ドラマに出演し、演技力に定評のある方です。現代とは価値観も服装もまったく異なる昭和初期の青年を、自然体かつ爽やかに演じていました。

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 安子との結婚が決まったときにはすでに、召集令状を受け取っていた稔。ほんのわずかな結婚生活でしたが、だからこそふたりの幸せにあふれた日々は強く印象に残るものに。特に15話、子どもの名前をもう決めているけど教えない、という稔に安子が「教えてください」と駆け寄ると、安子をハグして「生まれてからのお楽しみじゃ」と言うシーン、24話で安子の妄想の中に出てきたるいを抱く稔が、ちらっと安子の方へ眼を向けた時の幸せにあふれた笑顔は、忘れられません。稔はひなた編の後半、95話でも再登場し、安子を探しにアメリカに行こうとするるいの背中を押したり、アニー(森山良子)が自分の素性を明かしてからも度々回想シーンが挟まれるなど、要所要所で再登場。実際の出演期間は短いものの。安子とともに本作の要と言える存在でした。

ベテラン俳優だからこその厚みある人物像、オダギリジョー演じるジョー

 安子との辛い別れを経験したふたり目のヒロイン・るい(深津絵里)が、すべてを捨てて新しい生活を始めた大阪で出会ったのが、トランペッター・ジョーです。出会った当初は「宇宙人」とるいから名付けられるほど、ミステリアスな人物だったジョー。しかし実際はケチャップをよくこぼす、コーヒーを淹れられない、など、稔とは対照的に“ほっとけない男”で、しっかり者のるいとは相性抜群でした。また、ふたりの間には岡山県出身、幼い頃から両親が不在、稔の行きつけの喫茶店で行き会った過去があるなど、後々判明する共通点も。初デートが映画館で、安子&稔のなれそめとも共通点があり、過去に深い傷を持つ者同士が、魂の深い部分で共鳴し合っていく距離の縮まり方もロマンティックでした。

 そんなジョーの一番の魅力は、相手の気持ちを敏感に察知し、フォローできるところ。子育てに悩むるいにも、娘・ひなたの感情にも、ジョーはさりげなく寄り添ってくれます。そんな相手の心を察したときの視線やちょっとした間の取り方は、さすがオダギリジョーさん。特に109話の、ラジオで安子の告白を聴くるいを見守る表情は絶妙でした。朝ドラヒロインの相手役は若手俳優が務めることも多い中、彼だからこそ生み出せる、感情が幾重にも重なるような雰囲気やふとした時のくすりと笑えるようなやりとりによって、るいとジョーの恋模様も、大月家のやりとりも、魅力的に映りました。

「中の人」とのギャップもずるい、本郷奏多演じる五十嵐

 3人目のヒロイン・ひなたが恋をした相手と言えば、時代劇でいわゆる切られ役を演じる大部屋俳優・五十嵐(本郷奏多)。初登場から、ふたりは顔を合わせれば口喧嘩ばかり。お互いの痛いところを突き合う応酬にはロマンのかけらもありません。しかし時代劇への思いだけは、お互い認めるところ。「自分には何もない」と劣等感を抱いていたひなたには、貧しく暮らしながらも夢を追う五十嵐の姿が眩しく映り、次第に、彼のことが気になるように。五十嵐も感情表現が素直なひなたにだんだん惹かれていきました。85話でひなたが忙しくなり会えない日々が続いたときに、五十嵐がひなたの家の前まで来て「寂しいだろ、バカ」と告げるシーンは、SNS上でも大盛り上がり。

 そんな五十嵐を演じたのは、デビューから20年と長いキャリアの中でも、あまり恋愛作品のイメージがない本郷奏多さん。「主食はグミとポテチ」という噂が立つほど(ご本人は否定)、少し変わった一面を持つと言われる人物です。その本郷奏多が「こんなにストレートな胸キュンシーンを演じるとは!」というギャップもあり、一層五十嵐のことがかわいらしく感じられるシーンでした。その後ふたりは長く付き合ったものの破局。ひなたは独身を貫くのかと思いきや、ラジオ英語講座のパートナー・ウィリアム・ローレンス(城田優)がひなたの初恋の相手、ビリーだったことが最終話で判明。ふたりの今後に含みを持たせつつ物語は終了しました。

 好評のうちに幕を閉じた『カムカムエヴリバディ』。ヒロインたちや、今回紹介した3人だけでなく、どのキャラクターも魅力的で、朝から泣いたり笑ったり、ジーンとさせられたり……。私たちの朝をあたたかく、彩り豊かなものにしてくれました。

文=原智香

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