惜しまれつつ完結… 15年続いたインチキ陰陽師のミステリー最終巻『よろず占い処 陰陽屋桜舞う』

文芸・カルチャー

公開日:2022/4/19

よろず占い処 陰陽屋桜舞う
『よろず占い処 陰陽屋桜舞う』(天野頌子/ポプラ社)

 作家・天野頌子氏の人気作「よろず占い処 陰陽屋」シリーズの最終巻『よろず占い処 陰陽屋桜舞う』(ポプラ社)が、2022年4月6日(水)に発売された。長年愛され続けてきた人気シリーズの完結編に、読者からは賞賛の声が巻き起こっている。

 物語の舞台は、商店街にひっそり佇む占い処「陰陽屋」。店主である安倍祥明は、元ホストのニセ陰陽師。ホスト仕込みの巧みな話術とインチキ交じりの占いを駆使しながら、博識な頭脳と勘の良さで客の悩みを解決に導いていく。クールで現金な祥明と、正義感の強いお人好しなアルバイトの少年・沢崎瞬太による凸凹コンビの掛け合いも魅力の一つだ。

 完結編となる『よろず占い処 陰陽屋桜舞う』では、瞬太が卒業を間近に控えた高校3年生に。彼の父親にまつわる秘密の真相に迫るストーリーと、これまで登場してきた人物たちの進路や陰陽屋の今後にもスポットが当たり、物語の中にあった謎や疑問が、きれいに収束へと向かっていく。

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 シリーズ1作目が2007年に発売されて以来、約15年に渡って続いた同作。中・高生にも人気を博した「陰陽屋」シリーズは、読み始めた頃は学生でも、今や立派な大人になった読者も多い。中には、社会人になってからも何度も読み返し、心を救われてきたというファンも。

 ずっと「陰陽屋」を見守り続けてきたファンは、「陰陽屋もこれで完結か… 寂しいものだ…」「“居てくれるだけで”素敵な言葉や想いが沢山あって、和みながら優しい気持ちになりながら読了です」「どうなるのかドキドキしていたけど、望む終わり方で嬉しかったな。陰陽屋は私にとって、ほっと息をつくための優しくて楽しい世界。愛しい登場人物達は長年の友達のようです」と、物語の終わりをしみじみ噛みしめているようだ。

 著者の天野氏は、2005年に『警視庁幽霊係』でデビューして以来、現代の世界観にファンタジーの入り混じるミステリー小説をいくつも手掛けてきた推理小説作家。特に「陰陽屋」シリーズは錦戸亮主演でテレビドラマ化され、人気に拍車をかけた。

 物語は完結したが、著者の天野はスピンオフ作品が今後刊行予定であると宣言している。陰陽屋ロスに落ち込む人も、完結を期に読み始める人も、新たな物語に期待しながら最終巻を楽しんでほしい。

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