女の世界から覗くフランス王朝
公開日:2012/11/5
男として生きる定めを背負ったオスカル。14歳にして一国の頂点へ君臨したマリーアントワネット。生まれながらにそれぞれの運命を背負って生きる彼女たちの人生がドラマチックに描かれ、時を経ても色あせない名作『ベルサイユのばら』。
マリーアントワネットがギロチンで首をはねられたことは有名ですが、そこへ至るまでのフランス王朝の実態まで知っている人はあまりいないのではないでしょうか。世界史の授業が好きじゃない、好きじゃなかったという人にはぜひこの『ベルサイユのばら』を読んでもらいたいです。
あえて女性にスポットを当てたことによって細やかな心理描写・ドラマ性が加わり、どんどん話が頭に入ってきます。もちろん勉強にもなり、物語としても十分すぎるほど濃い内容なのでまさに一石二鳥です。ただ、女性が少し怖くなってしまうかもしれません(笑)。作者が女性なのもあってその辺りはだいぶリアルに書かれているのではないでしょうか。しかしその女性の湿っぽさがあるからこそオスカルの男前っぷりが栄えるのであって、そのあたりは一長一短ですね。
なんというか日本であってもフランスであっても「お金と権力と酒は人を狂わせる」というのは昔から変わらず…良くも悪くもドラマが生まれるんだなぁとも思わせてくれた1冊です!
誕生の瞬間、運命が決まったオスカル
中世的な美貌を持つオスカルに心奪われるマリーアントワネット
マリーアントワネットはその自身の美貌に振り回される宿命を負う
貧しい娘ジャンヌもまた、権力に魅せられていた
王宮内は女の戦場