大人気作『東京卍リベンジャーズ』にパロディ漫画が登場!? 主人公・ミチタケがリベンジするのは、あの「東大」!

マンガ

公開日:2022/4/19

東大リベンジャーズ(1)
東大リベンジャーズ(1)』(船津紳平/講談社)

 かつての恋人が「東京卍會」(以下「トーマン」)の抗争に巻き込まれ死亡し、それを阻止するために過去へタイムリープする花垣武道の姿を描いた漫画『東京卍リベンジャーズ』(以下『東リベ』)。テレビアニメや実写映画にもなり、現在も大好評連載中だ。そんな人気作に、いきなり「パロディ漫画」が登場したら、読者もさぞかし驚くであろう。私も割と驚いているが、実際にあるのだからしょうがない。しかも『東リベ』の作者である和久井健氏も承諾しているので、これはまさに「公式」のパロディ。その漫画こそ『東大リベンジャーズ(1)』(船津紳平/講談社)なのである。

 本作は東大卒でありながら、現在はフリーターという井丁道武(ミチタケ)が主人公。ある日、彼がずっと片想いしていた大学同窓の女性・早瀬ユウキが慶應卒の男性と結婚したことを知り、愕然とする。さらに失意のミチタケに暴走自転車が突っ込み、彼は死亡してしまうのだ。あまりに報われないミチタケであったが、そんな彼の前に現れたのは、ヤリエルと名乗る天使だった。人生をやり直せる機会を得たミチタケは、迷わず彼が東大に入学した直後へのタイムリープを選択する──。

 なんか恋人だった橘日向を救うために奮闘する『東リベ』のタケミッチと比べ、報われなさが彼以上で若干引いてしまうが、ともかくミチタケは東大入学直後へのタイムリープに成功。時はまさに「オリエンテーション合宿」(以下「オリ合宿」)が始まる瞬間であった。かつての体験から「東大には数々の罠がある」ことを知っていたミチタケは、このオリ合宿の重要性を熟知。ここで想い人の早瀬ユウキにアピールできるかどうかが、今後の展開を左右すると考えたのだ。さまざまな苦難を乗り越え、なんとか以前とは違うクラス内での役職をゲット。過去を変えた喜びでヤリエルと握手した瞬間、ミチタケは現世へとタイプリープするのだった。

advertisement

 過去を変え、自転車事故で死亡することはなくなったミチタケ。しかしフリーターな自身の境遇は変わっておらず、彼は再びのタイムリープを敢行する。今度の目標は「早瀬と同じサークルに入る」こと。しかし『東リベ』でタケミッチの前にキヨマサが立ちはだかったように、本作でも先輩のシミマサがミチタケを自分のサークルに勧誘してきた。これを断れるかの瀬戸際、予想外のことが起こる。彼の過去にはいなかった人物たちが現れたのだ。その名も「東大卍會」副総長の陀羅寺賢──通称ダラケンと、総長の赤城門次郎──通称モイキーである。無論、元ネタはいわずと知れた「トーマン」のドラケンとマイキーだ。モイキーはミチタケを「ミチタッケ」と親しげに呼び、彼に接触してくるのだった。

 本作は『東リベ』の公式パロディ漫画ではあるが、この巻ではパロディよりは東大の「あるある」ネタが強いように感じた。なぜかといえば、それは巻末のあとがき漫画で明かされている。実は本作、元々は「東大を描く」独立した企画だったのだ。しかしタイトルを考える中で「あの…『東大リベンジャーズ』…なんてダメですよね」というひとことがきっかけで話が進み、遂には『東リベ』作者・和久井健氏の快諾を得るに至ったという。不思議な縁から生まれたこの作品、果たしてミチタケは幸せを掴むことができるのか、乞うご期待なのである。

文=木谷誠

あわせて読みたい