婚約者をNTRれた!? 愛する人に裏切られた“寝取られ令嬢”の逆転劇!

マンガ

更新日:2022/4/27

寝取られ令嬢の王子様
寝取られ令嬢の王子様』(きくちくらげ:漫画、高宮咲:原作/白泉社)

 生きていると、時折「ああ、この人ないわ」と失望させられる出来事を体験することがある。その相手がただの知人程度であればまだしも、親しい友人や恋人、ましてや婚約者だったら――その裏切りは、たとえ一度であっても取り返しのつかない傷や溝になることも。『寝取られ令嬢の王子様』(きくちくらげ:漫画、高宮咲:原作/白泉社)は、そんな、信じていた婚約者をNTR(寝取ら)れてしまった伯爵令嬢の物語。

 本作品は、小説投稿サイト「小説家になろう」で連載されていた小説が原作。現在は白泉社のマンガアプリ「マンガPark」で配信されており、単行本は2巻まで出されている。主人公は、幼い頃から愛し慕っていた婚約者のいる伯爵令嬢セレスティア・ハンナ・ダルトン。しかしある時サンドイッチを届けに行くと、そこには婚約者であるウィリアム・タラントと知らない女性がいた。その女性は、子爵令嬢マリア・マクベス。セレスティアは、マリアにウィリアムをNTRれてしまったのだ。

寝取られ令嬢の王子様

 婚約者の裏切りを知ったセレスティアは、悲しみに暮れながらもきっぱりと婚約を破棄。しかしこの事実が瞬く間に広まり、貴族の間で「寝取られ令嬢」と噂になってしまう。

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寝取られ令嬢の王子様

 だがこんな不名誉なあだ名をつけられればもう縁談など来ない、と思っていた矢先。なんと辺境伯子息のアラン・ニール・ゴールドスタインにお茶に誘われ、そのまま求婚されてしまい――。

 セレスティアは、最初は婚約者に裏切られた心の傷が癒えず、「自分なんかには相応しくない」と求婚を断っていた。しかしアランは、それでも毎日セレスティアにメッセージ付きのバラを一輪贈り、元婚約者とその相手に出くわせば全力で守ってくれる。

寝取られ令嬢の王子様

 そんな彼の熱烈なアピール、そして常に自分を一番に思ってくれる真摯な態度に心を溶かされ、周囲の後押しもあって彼と向き合う覚悟を決めていく。

 アランは、高貴な身分でありながら驕ることなく、婚約者に裏切られて人間不信に陥っているセレスティアを理解して根気強く接し続ける。そんな彼の優しさ、懐の深さに、「本当にすごい人ってこうだよね!」と思わずキュンとしてしまう。しかもそれでいて、セレスティアの前では一途なワンコ系、という可愛い一面も。

寝取られ令嬢の王子様

 普段のキリッとしたアランとのギャップに、彼にとっていかにセレスティアが特別な存在であるかを感じさせられる。

 こうして少しずつではあるが確実に距離を縮めている――ように思えたが、しかし。2巻では、2人とは関係のないところで不穏な動きも出始める。セレスティアとアランは無事結ばれ幸せになることができるのか、ウィリアムとマリアは今後どんな動きを見せるのか、まだまだ目が離せない展開が続きそうだ。

 また、単行本『寝取られ令嬢の王子様』各巻の巻末には、「もしもセレスティアとアランが現代日本の高校に通っていたら」「もしも2人が突然入れ替わってしまったら」という設定で描かれるコメディタッチな描き下ろしスピンオフ漫画も掲載されている。単行本でしか見られない2人の姿に、一層愛着が湧くこと間違いなし! 筆者も、早くも3巻の発売が待ち遠しい。

文=月乃雫

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