“働きながら出産・育児”のキモをバッチリ解説。「無理せず普通に両立」に必要なのは、情報です!

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公開日:2022/5/20

産休・育休中の不安がスーッと解消される がんばりすぎないお仕事復帰BOOK
産休・育休中の不安がスーッと解消される がんばりすぎないお仕事復帰BOOK』(mamari(監修)、藤井佐和子(監修)/KADOKAWA)

 仕事をしていて妊娠をしたら……(または、パートナーが妊娠をしたら)。喜びとともに、さまざまな不安事項や疑問が生まれるものだろう。

「妊娠した状態でどう働けばいいの?」
「出産、産休育休に備えて、どんな準備が必要なの?」
「働きながら子どもを育てていくのに、どんな心構えでいればいい?」
「復職に向けて、または復職後はどうすれば?」

 それらの疑問に、ひとつひとつていねいに「こんな方法がある」「ムリしなくてもできる!」と答えてくれるのが、会員数300万人を誇るママ向けアプリ「mamari(ママリ)」と、キャリアアドバイザーで株式会社キャリエーラ代表取締役の藤井佐和子氏が監修した1冊『産休・育休中の不安がスーッと解消される がんばりすぎないお仕事復帰BOOK』(KADOKAWA)だ。

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「働きながら子育てなんて、自分にもできるのだろうか」と不安になるのは当然

 本書では、産休・育休後の職場復帰に際して感じることの多い心配を挙げ、それに対するアンサーが豊富な補足資料とともに紹介されている。

 共働きが当たり前になったものの、「子どもを育てながら共働きなんて無理ゲー」という悲観的な嘆きや、「朝4時起きで活動、育児も仕事も充実!」といったとても真似できなそうなパワフルママさんの情報を見ると、不安になって当たり前。

「働きながら子育てなんて、自分にもできるのだろうか」と思ってしまうものだが、実際のところ普通に子どもを産み育てながら、仕事を続けている人が大半だ。そうなるのに不可欠なのが、「情報をしっかり持つこと」。

 例えば、法律で決められた手当てや休業があっても、社会に便利なサービスがあっても、知らなければ使えない。

 パートナー同士で「育児」「家事」「仕事」の必要事項を共有していなければ、チームワークを発揮して適切に動くことはできないだろう。

 そこで本書では、妊娠してから子どもが育つまでにどんな手当があって、どれだけお金がかかるのかを網羅した「育児にまつわるお金の話」や、会社とのコミュニケーションについて書かれた「妊娠報告→早めが吉」「育休中・職場とのやり取りのススメ」、夫婦で何をしておくべきかの「共働き子育て成功のポイント」など、シーン別に細かく必要な情報を取り上げている。

 今抱えている心配事も、将来抱えうる困りごとも、情報を持っているか否かで道が大きく変わってくる。人生の中でもトップクラスに大変な乳幼児育児期だからこそ、ちょっとした知識に大きく助けられるのだ。

ちょっとした知識に大きく助けられる

 とくに、よく聞くのが夫婦間で起こる不満だ。「父としての意識が低い」「家事分担が女に偏っている」といった妻からの不満と、「子どもを産んだ途端妻が変わってしまった」に代表される夫からの不満。

 けれどこれって、実は2人とも悪くない場合も多々ありはしないだろうか。欠けていたのは性格などではなく、お互いに持っている「意識」と「情報」のズレだったりする。

 この本では、子どもが生まれたらどのような育児が発生するか、家のなかの仕事にはどんな細かいものがあるかをリスト化。夫婦でやるべきことを見える化しているため、話し合ったり助け合ったりがしやすくなっている。

 家事だけを見ても、本書のリストにあるものだけで28個。かなり細分化したリストとはいえ、「見えない家事」まで入れればさらに多いことだろう。育児にいたっては、子の発達によって変わるがザッと1日に約30個。兄弟姉妹がいれば倍増。「おむつ替え」とひと言に言っても日に何度もあり、「ミルクをあげる」の項目も、その前の「準備」「後片付け」があることがリストから見てとれる。それらをすべて、子どもをあやしながら行わなければいけないのだからスムーズに行くわけがない!

 見える化するだけで、自分がしていない分を相手が負担しているのだと明確にわかり、互いに「自分ができることは何か」「相手にお願いできることは何か」が判然とする。育児期によく感じる「今日1日ずっと忙しかったけど、何をしていたかわからない」という気持ちも、リストを見れば「よくがんばっていた1日だったな」とわかることだろう。

夫婦でやるべきことを見える化

 これからますますメジャーになるであろう男性育休についても、最新の法改正を交えて説明していて世の中の移り変わりを感じることができる。そもそも、育休は男女を問わず取得する権利があるもの。この4月からは、従業員数1000人以上の企業では育休取得の状況を公表することが義務付けられており、各社対応が求められている。

 この機会に、パパも育休を取得して家族の絆をより深めたいもの。パパがしっかりと育児に携わることで、ママの愛情は長きにわたっていくという研究結果についても、本書に掲載されている。

 育休をママと同時にとるのか、ずらしてとるのか。一気にとるのか、回数を分けてとるのか。いろいろなパターンが提示されているので検討の参考にしたい。

 多岐に渡る「出産育児に何が必要なのか」を、本書の情報から客観的にふたりで共有し、出産・育児を夫婦の絆を強めるイベントにできればこんな幸せなことはない。

出産・育児を夫婦の絆を強めるイベントに

 また、会員数300万人を誇る育児アプリ「mamari」の監修のもと、会員へのアンケート・今まさに子育てと仕事に奮闘している人たちの生の声も多く掲載されている。たとえば、「家事・育児の夫婦分担、みんなはどうしてる?」のアンケートによれば、やはり分担は妻に偏っていることが明らかに。とはいえ各家庭それぞれに「夫が家事を担えない分、外注の費用を出して金銭面でフォローしている」「保育園の送迎を曜日で分けて混乱を防いでいる」などの工夫が。

 ほかにも「保活、どうした? なにやった?」「職場復帰、ホントのトコロ」などリアルな答えが満載!

 まだまだ女性が働きやすく、子どもを産み育てやすいとは言えない日本。それでもできることはある。監修者であるキャリアアドバイザー・藤井佐和子氏からの“どうかみなさんが、仕事も育児も目指すところに向けて「がんばりすぎずに」歩みを進めていけますように。そのひとりひとりの歩みが、社会をより良い方向へ運び、子どもたちの生きる世界をより明るいものにできますように”というメッセージが響く。

【著者プロフィール】
藤井 佐和子
株式会社キャリエーラ代表取締役、キャリアアドバイザー/ダイバーシティコンサルタント。JCDA認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)。2002年に(株)キャリエーラを立ち上げ、日経課長塾はじめ企業研修や講演、延べ17000人以上へのカウンセリング実績を持つ。主な著書に『どんな職場でも求められる人になるために いますぐはじめる47のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『女性社員に支持されるできる上司の働き方)』(WAVE出版)など。

mamari(ママリ)
アプリ会員数300万人、新ママの3人に1人(※)が利用する育児アプリ。「ママの一歩を支える」をミッションに、妊活・妊娠・出産・子育ての疑問や悩みの解消に役立つ情報を発信している。コネヒト株式会社運営。
※2019年に「ママリ」内で出産予定日を設定したユーザー数と、厚生労働省発表「人口動態統計」の出生数から算出。

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