犬好きさんにオススメしたい! 画業30周年! 漫画家・山田南平先生の人気作2作品の魅力

マンガ

公開日:2022/5/11

 2021年に画業30周年を迎えた漫画家、山田南平。1991年、『花とゆめプラネット増刊』春の号(白泉社)に掲載された『48ロマンス』で漫画家デビューを果たし、以降『オトナになる方法』や『紅茶王子』など数々の人気作を世に送り出している。

 2022年4月20日、そんな山田南平先生の漫画作品『恋するMOON DOG 8』と『金色のマビノギオン 6』が同日発売された(いずれも白泉社刊)。そこで改めて、この2作品の内容と魅力を紹介しようと思う。

「アーサー王伝説」の世界に転移! 『金色のマビノギオン』

金色のマビノギオン 6
金色のマビノギオン 6』(山田南平/白泉社)

 まずは『金色のマビノギオン』。本作品は、2016年より連載が始まった「アーサー王伝説」をテーマにした物語。主人公である若宮・アンナ・たまきは、金の瞳を持つこと以外はいたって平凡な高校1年生の女の子だ。しかしある日、修学旅行で訪れたイギリスの遺跡で、幼馴染の小町真、雪下広則とともに突然見知らぬ世界へ迷い込んでしまう。そこには、アーサーと呼ばれるたまきそっくりの少年が血まみれで倒れていて――。

金色のマビノギオン

 たまきはそこで、アーサーと自分が同じ魂を持っていると知らされる。そしてガウェイン、マーリンという現地の男性から「アーサーが不壊の鞘を手に入れるまで彼の魂が生命の輪に乗る事がないよう繋ぎとめておいて欲しい」と頼まれてしまった。どうやら3人が迷い込んだ世界は、5、6世紀頃の「アーサー王伝説」の世界だったらしい。ここから、たまきはアーサーと同じ魂を持つ者として、真は「アーサー王オタク」としての知識を、広則は合気道や持ち前の飲み込みの早さを活かしてこの世界で生きていくことになる。

 しっかり者である真や広則と違い、たまきはおっとりとしている臆病なドジっ子。しかし彼女の前向きに頑張る姿は、真や広則はもちろん、現地の人々さえも惹きつけ自然と笑顔に変えていく。

金色のマビノギオン

 ころころと変わる表情や警戒心のない人懐っこさに、見ているこちらまで庇護欲をそそられる。また、真が説明役を担ってくれるため、アーサー王伝説を知らなくても問題なく楽しめるのも魅力の1つ。元のアーサー王伝説と違う点もいくつかあり、今後それがどう生きてくるのかも気になるところだ。

advertisement

人狼の犬版イケメンと同居!? 『恋するMOON DOG』

恋するMOON DOG 8
恋するMOON DOG 8』(山田南平/白泉社)

 続いて『恋するMOON DOG』。本作品は、2018年から連載が始まった、“ある秘密”を抱える男性との生活を描いた物語。主人公である佐々木律歌は、大型犬にやたらと懐かれる犬好きトリマー。ある日、仕事帰りに1匹のドーベルマンに出くわした律歌は、飼い主を見つけることができずいったん家へ連れて帰ることに。しかし、犬が首につけていたペンライトを押すと満月が映し出され、それを見たその犬はなんと全裸の男性に――!?

恋するMOON DOG

 そして律歌を押し倒し、「俺と番になってほしいんだ」なんて言い出す始末。その犬「アキラ」――もとい狛山晃から事情を聞くと、なんと彼は人狼(の犬版)で、家を継ぐために犬化する子を産んでほしいということらしかった。が、当然そんな要求を呑めるはずもなく、かといってワケあって行き場のない彼を追い出すこともできず、行くアテが見つかるまでペットとして家に置くことになってしまった。

 人懐っこさと悪戯っぽさを併せ持つアキラは、犬好きである律歌の好みどストライク。アキラの笑顔に翻弄されそうになる律歌は、それではいけないとアキラをペットとして服従させようと思い立つ。犬の扱いには慣れているものの男性への免疫がない律歌と、イケメンで独占欲の強い肉食系だが半分犬であるアキラ。この2人の攻防戦、そして少しずつ縮まっていく距離にはドキドキしっぱなし! 今後2人がどうなっていくのか、どんな結末を迎えるのか期待が高まる。

 どちらもファンタジー要素がありながらキャラクターがとても人間らしく、読み進めるほどに引き込まれてしまう。『金色のマビノギオン』はたまき、『恋するMOON DOG』はアキラと、両作品とも犬っぽさを感じさせるキャラクターが登場するため、犬好きさんならより楽しめること間違いなし。筆者も、引き続き両作品を見守っていきたい。

文=月乃雫

あわせて読みたい