少し先の未来が見える“新人薬剤師”が奮闘!『天秤の護り人』に「一気読みしちゃった」「医療従事者に読んでほしい」と絶賛の声

文芸・カルチャー

公開日:2022/5/26

天秤の護り人
天秤の護り人』(安澄加奈/ポプラ社)

 人生において、誰もが自分の人生の主役である。ただ、社会や学校を軸にしてしまうと、自分自身が主役ではなく“脇役”に思えてくることもあるかもしれない。2022年5月10日(火)に発売された『天秤の護り人』(ポプラ社)は、自分自身を人生の“脇役”だと思っている主人公を描く。発売直後からネット上では、「医療従事者に読んでほしい!」といった絶賛の声が相次いでいるようだ。

 主人公の五十嵐善は、長野県三須々市内にある中規模病院に勤務している新人薬剤師。中規模病院とは言いつつ、三須々市内にある大学病院までは車で1時間半、峠を2つ越えなければいけないほど辺鄙な場所のため、周辺地域たちの“頼みの綱”として重要な役割を担っている。

 善たち薬剤師の仕事は、内服薬の調剤はもちろん、点滴や注射薬剤の調製、薬剤在庫の管理や医師・看護師への情報提供など、薬に関わる事案すべて。ハプニングや医師・看護師からの相談対応をしつつ、日々の業務を遂行している。

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 善は入職してまだ1週間だが、早くもこの規模の病院に入ったことを後悔していた。というのも、善は幼い頃からこれから起こる事件や事故が前触れなく見えてしまう不可解な能力を持っているから。ある日、善の脳内に老人が突如苦しみ出して倒れるといった情景が流れてくる。それは間違いなく、善が働く病院内での出来事だった――。

 緊迫感がありつつ、医療エンターテイメントとしても楽しめる同作は、医療小説ファンからも絶賛の声が相次いでいる。読了した人からは、「病院にいる以上、人の死とは関わらなければいけない。それを救えない自分にネガティブになっている善…。読み始めたら止まらなくて一気読みしちゃいました」「安澄先生の『水沢文具店』シリーズのような優しい気持ちになれる物語を想像していたけど、違った! とんでもないくらい緊迫感にあふれる物語でした!」「いつか学校のテストとかで出題されそうなくらい、感情が細かく書かれている作品でした」「帯に書いてある“医療っていうのは、天秤の護り役なんだよ”の意味を求めて購入。ぜひ医療従事者に読んでほしい作品です」といった感想が寄せられている。

 善が持つ不思議な能力と、毎日何かしらのハプニングが起こる病院。この掛け合わせは、自分を脇役だと思っていた善にどのような影響をもたらすのだろうか。どこか自分に自信がない、自分を脇役だと感じてしまっている人は、ぜひ手に取ってみてほしい。

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