『からかい上手の高木さん』最大の謎「高木さんは西片のどこに惚れたのか?」を 4つのポイントから検証!

マンガ

更新日:2022/6/15

※本記事には、作品の内容を含みます。未読の方は、ご了承の上お読みください。

からかい上手の高木さん』(山本崇一朗/小学館)

 人気コミック『からかい上手の高木さん』(小学館)が、ついにスクリーンに登場です。6月10日(金)より、劇場版「からかい上手の高木さん」の全国ロードショーが決定しました。高木さんと西片の攻防が、劇場で拝めます。

(あらすじ)
隣の席の女の子・高木さんに、毎日からかわれる男の子・西片。高木さんに仕返しするため、どうにかしてからかい返そうとする西片だけど、いつも失敗。そんなふたりの、からかいをめぐるストーリー。

 高木さんと西片のやりとりを見ていると、自分の中学生時代を思い出します。クラスに一組は、ああいう関係のクラスメイトがいましたよね。あの子たち、どうしているのかなぁと懐かしくなり、SNSを検索しました。

advertisement

 さて、そんな『からかい上手の高木さん』ですが、作中、最大の謎があります。それは、【高木さんは西片のどこに惚れたのか?】ということ。

 作中の西片は、イケメンだとか、モテるといった設定はありません。成績も普通だし、運動もそこそこ。よくつるんでいる男友達も皆、似たようなタイプ。少女漫画好きの、おとなしい男子といった印象です。

 一方の高木さんは、モテている描写こそありませんが、西片から「よく見ると可愛い」と思われているし、周りのお友達と比べても、大人っぽく見えます。私服もおしゃれ。かつ、勉強も運動もできるオールマイティな女の子。密かに高木さんを狙っているクラスメイトがいてもおかしくないと思うんですよね。それなのになぜ西片なのか? という疑問は誰もが抱くことでしょう。

 一応、高木さんが西片を意識するようになったきっかけは、7巻の「入学式」の回で描かれています。拾ったハンカチを職員室に届けた西片。じつはそれは高木さんのハンカチだった…というわけですが、「親切だなぁ」とは思っても、「好き」になるきっかけとしては弱いような。

 でも高木さんには西片しか見えていない。どうして? なぜ? ということで、改めて既刊18巻を読み返してみました。そして、高木さんが西片のどこに惚れたのか、徹底的に分析してみたのです。すると、大変なことがわかりました。

 なんと西片、モテる要素しかない男子。モテ男子だったのです。自然すぎて気づかなかった、西片のモテるワケを、コミックをもとに考察し、エピソードとともにご紹介します。

最新『からかい上手の高木さん』18巻(山本崇一朗/小学館)

モテるワケその①★当たり前に優しい。いつも優しい。

 いつもからかってくる高木さんに、なんとか仕返ししようと奮闘する西片ですが、たいていやり込められます。しかし、ごくまれに高木さんを赤面させることにも成功しているのです。

 8巻「氷」の回で、手がかじかんできたという高木さんに、「カイロ使う?」と言う西片。からかわれているときは、すぐ赤面するくせに、こういうことは、恥ずかしがらずにできるって、かなりギャップを感じますよね。とてもいいです。

からかい上手の高木さん
©山本崇一朗/小学館

 12巻「夜」のエピソードも秀逸です。家のお風呂が壊れた西片。今夜は銭湯に行くという話をすると、案の定、高木さんと鉢合わせます。

からかい上手の高木さん

からかい上手の高木さん

 風呂上がり、夜道を歩きながら、いつものようにからかわれる西片。そして分かれ道。「こっちだから」と言って帰ろうとする高木さんに、西片は「暗いし送っていくよ」とさらっと言うのです。これには高木さんも思わず赤面。「別に普通のことだよ?」とでも言うかのような、西片のキョトン顔がにくいです。

モテるワケその②★どんな約束でもしっかり守る誠実さ

 西片が高木さんにはじめて一矢報いたエピソードといえば、5巻「クリティカル」。このときも、無意識のうちに高木さんをドキドキさせる西片ですが、この回であらわになったのは、西片の誠実さ。

からかい上手の高木さん

からかい上手の高木さん

 この日、朝の占いで1位になった西片は、今日こそ高木さんに勝てると強気。ところが、丸一日からかわれっぱなしで、やっぱり勝てそうにありません。しかし放課後、高木さんと一緒に帰っていた西片に、ついにクリティカルヒットの瞬間が…!?

 じつは西片、このときクラスの男子から放課後のゲームに誘われていたのですが、それを断ります。なぜなら、先に高木さんから「一緒に帰ろう」と誘われていたから。ゲームの誘惑にも負けず、高木さんとの約束を守った西片の誠実さに、胸を打たれました。こういうところ、高木さんはちゃんと見てるんですよ。

モテるワケその③★人の気持ちを読むのが上手い

 西片は、人の気持ちを読むのも上手です。6巻「お悩み」では、普段と様子の違う高木さんが気になります。いつもみたいにからかってこないことで異変を感じた西片は、心配になって高木さんに声をかけます。お母さんと喧嘩して元気がなかった高木さんも、西片の優しさに励まされるのです。

からかい上手の高木さん

からかい上手の高木さん

 クラスメイトの中井くん&真野ちゃんカップルと一緒にプールに行ったときも、西片の洞察力が発揮されます。自分とばかり遊ぶ中井くんに不安を覚えた西片。ふと真野ちゃんを見ると、無言で威圧していました。「大丈夫じゃないやつだ、これ」と、瞬時に察する西片。子どもっぽいかと思えば、周りにも気を配れる大人な一面も持ち合わせています。

モテるワケその④★ここぞというときに、勇気を出せる西片

 シャイな西片ですが、ここぞというときは言う男です。7巻「約束」でのエピソード。道端で鉢合わせた西片と高木さん。夏祭りの話題になると、高木さんは「誰かさんが誘ってくれたら一緒に行きたいなーと思って」と、突如デカイ釣り糸を垂らします。

からかい上手の高木さん

 こんなこと言われたらどうですか。普通は「誰かさんって俺? 俺なの?」と思考を巡らせている間に夏祭りが終わっているでしょう。しかし西片は、違います。最後の最後に「夏祭り、一緒に行かない?」と勇気を出して誘うのです! そのときの高木さんの笑顔といったら!

 西片がモテる男の要素を、たくさん持っているということがおわかりいただけたでしょうか。ハンカチを拾っただけじゃないんです。本当はもっと、いろいろやってたんです。高木さんが惚れるのも納得の男だったという結論に至りました。そんな西片だから高木さんもつい、からかっちゃうんですね。劇場版でも、西片のクリティカルが見られることを願っています。なお、6月8日にコミックス最新刊の18巻が発売されたのであわせてチェックを!

文=中村未来

©山本崇一朗/小学館

あわせて読みたい