TV特別編とスマホアプリ新作ストーリーで話題沸騰! 少年たちの熱い生き様をコミックで見届けろ!『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

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公開日:2022/6/1

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(礒部一真:漫画、矢立肇・富野由悠季:原作/KADOKAWA)

 モビルスーツ(以下、MS)「ガンダム」を旗頭に、過酷な現状から自分たちの居場所と未来をつかみ取るために戦う少年たちの物語。それが『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』だ。TVアニメは2015年から放送、1期と2期で合計50話が製作され、本稿で紹介するのはそのコミカライズ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(礒部一真:漫画、矢立肇・富野由悠季:原作/KADOKAWA)である。

「ガンダム」と言えば、主人公が巨大な勢力同士の争いに、好むと好まざるとにかかわらず戦いに“巻き込まれていく”ストーリーが多い。しかし『鉄血のオルフェンズ』の主人公、三日月・オーガスとオルガ・イツカ、そして彼らの仲間たちは違う。少年たちは大人の都合で生死の選択すら自分で選べない状況を打破するために、自ら戦いに身を投じ、未来をつかみ取ろうと命を燃やすのだ。そして彼らの中心には「ガンダム・バルバトス」がいる――。

 2022年4月より、全9話の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 特別編』がTV放送。さらにスマホアプリ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズG』のなかで楽しめる新ストーリー『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント』のリリースが控えており、今また「鉄血のオルフェンズ」が注目を集めている。

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寄る辺ない少年たちが「ガンダム」とともに立ち上がる!

 厄祭戦と呼ばれた大戦が終結してから約300年後のP.D.(Post Disaster)323。地球圏は、大戦で活躍した英雄たちが創設した治安維持組織・ギャラルホルンを頂点とした4つの経済圏によって分割統治されている。しかし長きにわたる平和のなかでギャラルホルンは腐敗し、差別と貧困を生み出す原因となっていた。そのなかで増えていたのが、生活難から過酷な労働に従事する子どもや、人身売買される「ヒューマンデブリ」と呼ばれる孤児たちだった。

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 そんな少年たちが多数所属している火星の民間警備会社CGSに、クーデリア・藍那・バーンスタインという少女を地球まで護衛する案件が舞い込む。クーデリアは、地球の統治下にある火星の独立運動の中心人物で、地球の経済圏のひとつとの交渉役を任されていた。彼女を迎え入れたCGSを、ギャラルホルンが強襲する。支配階級のギャラルホルンはクーデリアを狙っていたのだ。

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 幹部の大人たちが早々と逃げ出したCGSの、参番組隊長を務めていたオルガ・イツカは、厄祭戦時代のMS「ガンダム・バルバトス」を、幼なじみの仲間、三日月・オーガスに託す。三日月は阿頼耶識(あらやしき)という有機デバイスシステムで「ガンダム・バルバトス」を操り、ギャラルホルンを見事に撃退してみせる。

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 オルガにとって、これが自分の夢をかなえるタイミングだった。彼と同じように、CGSにいる寄る辺のない子どもたちと自分たちの“居場所”を作ろうと決意するのだった。

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 こうしてオルガを中心とした少年たちはCGSを乗っ取り、組織の名を「鉄華団」と改め、クーデリアの護衛任務を続行、地球へと旅立つ。

 クーデリアを狙い、オルガと三日月の仲間たちの旅の行く手に立ちふさがるギャラルホルン。この強大な敵に立ち向かう少年たちを助けるのが、木星圏を拠点にしている組織・テイワズとモンターク商会だ。モンターク商会は表向き貿易商社として「鉄華団」をフォローするが、やがてその中心人物がギャラルホルンの中心人物のひとり、マクギリス・ファリドだと明らかになる。はたしてマクギリスの目的とは?

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 そして「鉄華団」はクーデリアを地球に無事送り届け、自分たちの“居場所”を作ることができるのか……。

見どころはMSによる矛や実剣を使った壮絶な戦闘シーン!

 本作で「ガンダム」とは、厄祭戦時に72体だけ作られたガンダム・フレームを持つ機体を指す。通常のMSでは1基のみ搭載される動力炉「エイハブ・リアクター」を2基搭載し、さらに人間とMSを直接接続する阿頼耶識というシステムにより、圧倒的なパフォーマンスを発揮。作中で怪物的な活躍を見せるのだ。

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 現存する希少な一体が「ASW-G-08 ガンダム・バルバトス」だ。三日月の類まれなる操縦技術と、悪魔をイメージさせるデザインが相まって、斬新かつ言い知れぬ恐怖を感じさせる。パイルバンカーやメイス(鎚矛)、太刀などによる近接戦を得意としており、幾度も装甲を換装しながら、フレームの改修を行うことでパワーアップしていく。

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 ギャラルホルン側にも「ガンダム」があり、そのひとつが「ASW-G-66 ガンダム・キマリス」。こちらは巨大な槍を持った西洋の甲冑のようなデザイン。ガエリオ・ボードウィンの搭乗機となり、「バルバトス」と同じく装甲や武装の改修を続けながら最後まで物語にかかわることになる。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

 この「ガンダム」をはじめとするMSの戦闘シーンも「鉄血のオルフェンズ」の大きな魅力だ。本作のバトルは主に矛や鎚、太刀などによる近接戦、壮絶な“どつきあい”になる。なぜならMSのようなエイハブ・リアクター搭載兵器には、もれなく実弾やビーム兵器の衝撃を吸収・拡散する「反応装甲」が採用されているため、MS同士のバトルは「得物で殴り倒す」「きれいに斬るというより割り砕く」「装甲を剥がす」といったものとなる。ゴガッ、ガキッ、ベリベリ……読んでいて否応なく想像してしまう“音”が、他の「ガンダム」作品のMS戦とは異なるのだ。そもそも私はこんな泥臭く戦うSFロボット漫画を読んだことはない。

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 本作はアニメ1期のコミック版で、2期のコミカライズ作品『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ弐』に続いていく。自分たちの“居場所”を作るために熱く懸命に生きる「鉄華団」と「ガンダム・バルバトス」の行く末を、ぜひ『弐』を合わせた全7巻で見届けてほしい。

文=古林恭

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