どこか切ないのに癒される! 大人気シリーズ第4弾『あずかりやさん まぼろしチャーハン』が待望の文庫化!

文芸・カルチャー

公開日:2022/6/18

あずかりやさん まぼろしチャーハン
あずかりやさん まぼろしチャーハン』(著:大山淳子/‎ポプラ社)

 小説家の大山淳子氏が手掛ける累計30万部突破の大人気シリーズ「あずかりやさん」。2022年6月2日(木)に、シリーズ第4弾『あずかりやさん まぼろしチャーハン』の文庫版が発売された。

 1日100円で何でも預かります――。同シリーズの舞台は、東京の下町でひっそりと営業する「あずかりや」。店を訪れる人々は、さまざまな事情を抱えて品物を預けにくる。時には生き物や、他人から見ると価値のなさそうなものを持ってくる人も…。しかし「あずかりや」は、どんなものでも大切に保管する。

 今回文庫化されたシリーズ第4弾『あずかりやさん まぼろしチャーハン』に対して、著者の大山氏は自身のブログで「自画自賛させてください。傑作です!」とコメントを寄せている。

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 実際に単行本が発売された際、同書には「店主・桐島透の静謐な佇まいがいい。なんでも受け入れる懐の深さがいい」「今回も様々なものを預かるのだが、一番印象に残ったのは『言葉』だろうか」「今作でも、一体この語り手は何者なのか、預ける人かそれとも『物』か?がすぐにわからないところにドキドキする」「桐山くんの穏やかさに本当に癒されます。どれも大好きな話だったけど、一番印象に残ったのは物体ではなく“言葉”を預けるお話」「『あずかりやさん』シリーズは、なんだか安心できる作品。表題作の『まぼろしチャーハン』が一番短い話だけど、なんだか強く心に残った」などと絶賛の声が続出していた。

 こちらもブログで著者の大山が語っていたことだが、同シリーズは「あずかりや」の店主・桐島透が自分の意志で動いているかのようだという。「彼は彼の意志で動いてくれています。わたしが動かしている、そんな感じではないのです。彼が動き、それをわたしが記者のように実況中継している、そんな感じです。プロットも作らず、うんうんうなったりもせず、あずかりやは生まれます。映像を写し取るように、物語ができあがるのです」とのことだ。

 少し切ないけれど、いつの間にか癒されている…。そんな不思議な感覚を与えてくれる「あずかりやさん」シリーズ。文庫版は持ち運びにも適しており、通勤・通学の電車内などでも気軽に読むことができる。第4弾となる『あずかりやさん まぼろしチャーハン』だが、シリーズを順に追わずとも十分に楽しめる作品に仕上がっているので、この機会にぜひチェックしてみてほしい。

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