子どもに“貧乏ゆすり”を注意する父親。「自分では気づかない」その理由は――【貧乏ゆすり】/意味がわかると鳥肌が立つ話 続⑧
公開日:2022/10/3
大ヒットしたショートストーリー集、「5分後の隣のシリーズ」『意味がわかると鳥肌が立つ話』の続編! 蔵間サキ編著の小説『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』から厳選して全11回連載でお届けします。今回は第8回です。一見何気ない物語、しかし、ページをめくり読み進めると、そこには鳥肌の立つような意外な展開が…! 恐怖だけでなく、感動や笑いなど、思わず背筋がゾワッとする『意味がわかると鳥肌が立つ話 続』を、ぜひお楽しみください! マモルがソファーに座っていると、教育熱心な父親から「貧乏ゆすりはやめなさい!」と怒鳴られた。お父さんが買い物に出かけると、マモルの貧乏ゆすりはすぐに治まり…。
【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】
貧乏ゆすり
父親が、マモルが座るソファーに、ずかずかと近寄ると、怒鳴るように言った。
「マモル! 何度言ったら分かるんだ! 貧乏ゆすりはやめなさい!」
「だって、パパ……」
「だってじゃない! そんなクセは、みっともないぞ! すぐにやめなさい!」
「でも……」
父親がイライラした様子で、ソファーのまわりを、せわしなく動き回る。
「でも、じゃない! 自分じゃ、クセになっていることに気づかないんだ。子どものうちから、気をつけておかないとダメだぞ」
教育熱心な父親は、マモルの貧乏ゆすりが気になってしかたがないのだ。
しかし、あまり強く言い過ぎても逆効果だということは、十分にわかっている。何かにつけて反抗するようになってしまうことに比べれば、「貧乏ゆすり」くらいは許容範囲かもしれない。
「じゃあ、パパは買い物に行ってくるから、マモルはちゃんと留守番してるんだぞ」
そう言って父親は、子どもを残して買い物に出かけた。マモルが安心したように言った。
「ふぅ、ようやくおさまった……」