「絶対的なエース」になるために必要なこと!/サッカー日本代表:浅野拓磨『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』

スポーツ・科学

公開日:2022/12/2

 2022年11月23日(水)日本中が歓喜に沸いた。FIFA ワールドカップの初戦、優勝候補の強豪・ドイツに2対1で逆転勝利した日本! FWの浅野拓磨選手がゴールを決めた瞬間、感動して涙した方も多いのではないでしょうか。

 今回は、今最も注目されてるサッカー日本代表:浅野拓磨選手の書籍『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』をご紹介します。

「誰よりも深く考えなければ、誰よりも速く走ることはできない」……。7人兄弟の3番目という大家族に生まれ、サンフレッチェ広島の10番からあっという間にプレミアリーグ・アーセナルに完全移籍した浅野拓磨選手。

“世界最速”とも評されるサッカー選手は、試合中にいったい、どんな景色を見ているのか? 海外でいま直面している悩み、そして、日本代表への強烈な思いとは――。

 浅野拓磨選手の思いが詰まった『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』を、ぜひご覧ください!

※本作品は浅野拓磨著の書籍『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』から一部抜粋・編集しました

いつか〝絶対的なエース〟になるために

 サッカーをやっていると、考え方やイメージが違う誰かとぶつかるシチュエーションがいくらでもあります。むしろ、完全に合致することのほうが圧倒的に少ない。同じチームで、同じ監督のもとでプレーしていても、それぞれは違う人間だから、サッカー観が異なるのも当然だと思います。

 スピードが武器であるぼくの場合、監督から「(このタイミングで)走れ!」と指示されることがよくあります。でも、自分の感覚では「違う」と感じる場面もある。いまスタートを切っても絶対にパスが出てこない、または、オフサイドになってしまうという感覚は、サッカーをやったことがある人ならわかるかもしれません。

 ただ、監督と選手という関係においては、監督が〝絶対〟であることは間違いありません。もちろん、チーム内における選手としての立ち位置が〝絶対的なエース〟なら、その関係は少し違ったものになるかもしれませんが。

 だけど、ぼくのようにまだ結果を残していない選手にとっては、監督が「走れ」というタイミングで走るのは当然のこと。いつか〝絶対的なエース〟になるためには結果が必要で、その結果を残すには試合に出なければならない。試合に出るためには、まずは監督が理想とするサッカーを完璧に理解し、それを表現できるようにならなければいけないと思うからです。

 そうした状況をストレスに感じたとき、その原因は一〇〇%自分にある、とぼくは考えます。自分に監督の意見を変えられる力がないからこそ、そういう状況に追い込まれている。もちろん、なんらかの方法で「違う」と自己主張する努力をしないわけではありません。でも、まずは「我慢していうことを聞こう」と考えて、監督のいうタイミングでスタートを切ります。

 その瞬間の自分の感覚が正しいかどうかは、いつか自分がステップアップして〝絶対的な選手〟になったときに確認すればいい。いまは監督に反抗するよりも、いつかはっきり「違う」といえるくらいの選手に成長することを優先すべき。だから、ぼくは走ります。できるだけパスが通るように、できるだけオフサイドにならないように最大限の注意を払いながら。

 ドイツで試合に出られなかったという立ち位置を考えれば、いまの時点では、与えられた役割のなかで結果を残し続けるしかありません。

 結果を残し続ければ、〝監督のタイミング〟に違和感を覚えることもなくなるはずです。そうすれば、知らないあいだに自分の武器が一つ増えているかもしれないし、監督のことを意識する必要もなくなる。選手としてのクオリティーを高め、チームにおける絶対的な選手になって、初めて完全な自分のオリジナリティーを表現できるんじゃないかと思います。

<第3回に続く>

『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』を楽天Kobo(電子)で読む >

『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』をシーモアで読む >

『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』をebookjapanで読む >

『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』をAmazon(電子)で読む >

あわせて読みたい