本田圭佑選手との共通点は? サムライのリアルを語る/サッカー日本代表:浅野拓磨『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』

スポーツ・科学

公開日:2022/12/8

 2022年11月23日(水)日本中が歓喜に沸いた。FIFA ワールドカップの初戦、優勝候補の強豪・ドイツに2対1で逆転勝利した日本! FWの浅野拓磨選手がゴールを決めた瞬間、感動して涙した方も多いのではないでしょうか。

 今回は、今最も注目されてるサッカー日本代表:浅野拓磨選手の書籍『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』をご紹介します。

「誰よりも深く考えなければ、誰よりも速く走ることはできない」……。7人兄弟の3番目という大家族に生まれ、サンフレッチェ広島の10番からあっという間にプレミアリーグ・アーセナルに完全移籍した浅野拓磨選手。

“世界最速”とも評されるサッカー選手は、試合中にいったい、どんな景色を見ているのか? 海外でいま直面している悩み、そして、日本代表への強烈な思いとは――。

 浅野拓磨選手の思いが詰まった『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』を、ぜひご覧ください!

※本作品は浅野拓磨著の書籍『考えるから速く走れる ジャガーのようなスピードで』から一部抜粋・編集しました

サッカー日本代表のリアル

サムライのリアル① 本田さんはぼくと似ている

 日本代表のチームメイトについては、代表に選ばれてから初めて接する人ばかりでした。

 チームに合流する際、スタッフが空港まで迎えに来てくれました。移動の車中ではチームメイトについて「どんな人ですか?」と聞きながらイメージを膨らませて、それまでにぼく自身が抱いていた勝手なイメージと照らし合わせたりして。

 実際に会って接してみると、ほとんどの選手がイメージどおり。チームの中心的な立場にある先輩たちも、それまでぼくが思い描いていた人物像とだいたい一致していました。

 本田さんには、やっぱり特別なオーラがありました。あれだけキャラクターの濃い選手が集まっている代表チームのなかでも飛び抜けたオーラがあって、いい意味で、周りが一歩引いてしまうくらいの迫力がある。

 外から見たり聞いたりしていただけのころは、もしかしたら、本田さんの考え方はぼくとすごく近いのかもしれないと思っていました。本田さんも意志を口に出して明確にすることを大切にしていて、それに向かって努力しようとする。

 ぼく自身もそれが大切だと思っていたから、同じスタイルであそこまで上り詰めた本田さんがいるからこそ、自身の考え方が方向性としては正しいのかなと考えていました。

 夢や目標って、ほんとうはわざわざ口にする必要はないと思うんです。それでもあえて口に出して発信するということは、つまり、世の中に対して先に自分の立ち位置をつくってしまおうということ。まずは高いところに看板を貼って、そこから逆算して自ら階段を積み上げていこうとする。

 その看板は、現状の立ち位置から見れば、かなり高いところにあるように見えます。だから他人から見れば「高すぎて届かない」と思えるかもしれないけど、本人としては逆算して階段をつくろうとしているから、必ずしも非現実的じゃない。むしろ、高いところにつくるからこそ、モチベーションになる。

 たぶん、本田さんはそういうスタイルで看板どおりの自分になって、その作業を繰り返してどんどん高いところに登っていった人。だから、説得力があるんです。

 あくまで感覚的な意見ですが、本田さんもぼくと同じで最初から特別な能力をもっていたわけではなく、成長するために必要なものを見極めて、それをコツコツ積み上げていくことを〝近道〟と考える人じゃないかと思っていました。ぼくがいえることじゃないかもしれないけれど、考え方については、似ているところがあるのかもしれないと、初めて会う前から感じていたんです。

 本田さんは話してみるとすごく優しくて、たくさん声をかけてもらい、気にかけてももらいました。本田さんだけじゃなく、日本代表の選手に対しては自分自身の芯のようなものをしっかりもっていなきゃいけないし、アピールしなきゃいけないと意識していたので、なんでも「はいはい」と聞くんじゃなく、求められれば自分の意見をはっきりいえるようにしたいと考えていましたが、それはいまでも変わりません。年齢に関係なくちゃんと自己主張しないと、あれだけ個性の強い選手が集まっている代表チームでは生き残っていけませんから。

<第9回に続く>

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