【第24回】Kindleとはどう違う? BookLive!のLideo研究&来年の電子書籍市場を予想してみた
更新日:2013/8/14
さて、もうすぐ2013年。どうなる電子書籍業界?
かべ :さて、まつもとさんこの連載もこれで最後です……。
まつもと :えっ!? 打ち切りですか……。
かべ :あ、いえいえ、今年の更新はこれで最後です(笑)。
まつもと :なんだ(ホッ)。
かべ :ふふふ。ということで、2012年を振り返ってみて、来年どうなる、どうなって欲しい、という話で締めませんか。ちなみにバックナンバーはこちらにあります。
まつもと :今回を入れて24回更新しましたね。掲示板に取り上げられ(炎上し)たり、ニコニコニュースやヤフーニュースで話題になったりもしました。振り返ると業界から、一般の人に関心が拡がっていった過程でしたね。
かべ :いったい来年はどうなるんでしょう?
まつもと :まだ、eBookJapanさんの端末は発売されていませんが、ほぼ主要な電子書籍端末は出揃ったわけで、来年は各社がサービスを競い合うことになります。そこではやはりタイトル数がまず問われることになるでしょう。
かべ :この連載でずっとキーワードになってますが、やっぱりそこですか……。
まつもと :です。敢えて紹介すると、楽天koboのページには次のようなバナーが掲げられています。
かべ :おっと、これは……。いま8万点弱くらいですよね?
まつもと :正直、達成は厳しいと思います。ただ、一般のお客さんの感覚からすれば、koboに限らず「電子化された作品が少ない!」というのが正直なところだと思うんです。実は僕の本でもまだ電子化されていなかったりするので、「まだなんですか?」と問い合わせをもらったりします。
かべ :あらら。
まつもと :僕のおつきあいのある出版社さんによれば、紙の本が刊行されるのとほぼ同じタイミングで、電子データも提供しているそうなんです。でも、まだストアに陳列されていない。変換やチェックなどに時間がかかっているようです。
かべ :ということは、来年には一気にタイトル数が増える?
まつもと :そう期待したいですね。出版社の方に話を聞いても電子化をしたくない、という声はほとんど聞かないので。
かべ :なるほど。
まつもと :そして、タイトル数が揃っていくことで、ずっと僕も言い続けている「ソーシャルリーディング」=“紙の本では得られなかった電子書籍ならではの本の楽しみ方”が現実のものになるはずです。逆に言えば、価格以外のそういった価値が生まれなければ、電子書籍ブームは終わってしまうという心配もあるわけで。
かべ :むむむ……。
まつもと :実際、海外での調査では、電子書籍専用端末の販売は減少に転じている、という結果も出ています。今年の日本はいわば専用端末ブームだったわけですが、来年はタイトル数や付加価値といった中身で勝負という展開になるはずです。
かべ :なるほど、わかりました! 引き続き追いかけてまいりましょう。次回の更新は少し先になってしまいますが、1月16日(水)の予定です。まつもとさん、みなさんも良いお年を!
■ダ・ヴィンチ電子ナビ編集部:d-davinci@mediafactory.co.jp
「まつもとあつしの電子書籍最前線」 バックナンバー
■第1回「ダイヤモンド社の電子書籍作り」(前編)(後編)
■第2回「赤松健が考える電子コミックの未来」(前編)(後編)
■第3回「村上龍が描く電子書籍の未来とは?」(前編)(後編)
■第4回「電子本棚『ブクログ』と電子出版『パブー』からみる新しい読書の形」(前編)(後編)
■第5回「電子出版をゲリラ戦で勝ち抜くアドベンチャー社」(前編)(後編)
■第6回「電子書籍は読書の未来を変える?」(前編)(後編)
■第7回「ソニー”Reader”が本好きに支持される理由」(前編)(後編)
■第8回「ミリオンセラー『スティーブ・ジョブズ』 はこうして生まれた」
■第9回「2011年、電子書籍は進化したのか」