シェイクスピア『ハムレット』あらすじ紹介。父を殺された王子の復讐を描く悲劇の物語

文芸・カルチャー

更新日:2023/4/4

 シェイクスピアの作品のなかでも特に人気の作品である『ハムレット』は、知識人の精神史を描いた作品として、後の時代の多くの文学者たちに影響を与えました。ただ、かなり古い時代の作品ということもあって、読んだことがない人も多いのではないでしょうか? 『ハムレット』について、登場人物や作品のあらすじをご紹介します。

ハムレット

『ハムレット』の作品解説

 本作はイギリスの作家であるウィリアム・シェイクスピアによって1601年頃に書かれた悲劇で、『リア王』『マクベス』『オセロ』と並んでシェイクスピアの4大悲劇に数えられる作品。その内容は王である父親を毒殺して王位につき、母である王妃を妻とした叔父への、王子の復讐劇です。シェイクスピアの作品のなかでも特に人気が高く、舞台化はもちろん、多くの作曲家たちがオペラを作り、また何度も映画化されています。

『ハムレット』の主な登場人物

ハムレット:デンマーク王国の後継者。
クローディアス:ハムレットの叔父。ハムレットの父の急死後にデンマーク王位につく。
ガートルード:ハムレットの母親。クローディアスと再婚している。
先王ハムレット:亡霊として現れる先代のデンマーク王。ハムレットの父。クローディアスの兄。
ポローニアス:デンマーク王国の侍従長。王の右腕。
レアティーズ:ポローニアスの息子。オフィーリアの兄。
オフィーリア:ハムレットの恋人。ポローニアスの娘。

『ハムレット』のあらすじ

 デンマーク王国では、2ヶ月前に王が亡くなり、先代の王の弟のクローディアスが王に即位。そして、先代の王妃ガートルードはクローディアスと再婚する。父の死と、父の死後すぐに再婚した母によって王子ハムレットは憂いに沈んでいた。

 ある日、従臣から父の亡霊が夜になるとエルシノアの城壁に現れるという話を聞き、ハムレット自身も確かめに行く。父の亡霊に会ったハムレットは、父の死はクローディアスによる毒殺であったと知らされ、復讐を決意するのであった。

 やがて、叔父クローディアスが父である王を暗殺した確かな証拠を掴んだハムレットは、王妃ガートルードとの会話を盗み聞きしていた侍従長ポローニアスを、クローディアスと誤って刺殺してしまった。ポローニアスの娘で、ハムレットの恋人であったオフィーリアは、悲しみのあまり川に入り、溺死してしまう。

 ポローニアスの息子であったレアティーズは、父と妹の仇をとろうと怒りをつのらせた。クローディアスはハムレットの存在を恐れ、レアティーズと結託してハムレットを剣術試合に招き、毒剣と毒入りの酒を使って殺そうと画策する。

 そして、剣術試合が始まる。試合のさなか、王妃ガートルードが、毒入りとは知らずに酒を飲んで死んでしまう。ハムレットとレアティーズの両者は、毒が染み込んだ剣で傷を負った。レアティーズは死にゆくなかでハムレットに事の真相を伝える。ハムレットはクローディアス王を殺害して仇討ちを遂げた後、親友ホレイショーに事の顛末を語り継いでほしいと言い残し、この世を去っていった。

<第45回に続く>

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