【第25回】アマゾンのエッセンスが詰まっている? 徹底解説Kindle Fire HD

Amazon

2013/1/16

電子書籍にまつわる疑問・質問を、電子書籍・ITに詳しいまつもとあつし先生がわかりやすく回答!
教えて、まつもと先生!

かべ :まつもとさん、ちょっと遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。年末年始はゆっくり休めましたか?

まつもと :いや実は腸炎にかかってしまって数日寝込んでました…。そんな中こんな本を共著で書いていたりしました。

かべ :お、Kindle Fireの解説ムックですね。昨年12月18日に発売されたアマゾンの注目タブレット。持ち運びに便利な7インチクラスでFireが12,800円、上位版のHDが15,800円とお手頃なのも注目でした。

まつもと :ですです。本を書いたおかげで隅から隅まで把握しました。

かべ :ただNexus7やiPad mini の相次ぐ登場もあり、どんな位置づけのデバイスなのかやや分かりにくいなあ、と思ってました。そしたら、今回はKindle Fire について詳しく解説お願いします!

どんなデバイスなの?

かべ :私の周りでも買った人が多いKindle Paperwhite は電子書籍を読むことに特化した専用端末でしたので、使い方もシンプルでしたよね。

まつもと :対してFireはさまざまなアプリが使え、音楽を楽しむこともできます。先に結論めいたことを言ってしまうと、Paperwhiteの次に汎用端末買うならFireシリーズ、ということになると思います。

かべ :ほお?

まつもと :先にNexus7やiPad mini との違いを整理しておきますね。特徴を把握しやすくするために、すべて16GB&Wi-Fiモデルで比較しています。

かべ :ふむふむ…。画面サイズは同じくらい。解像度はNexus7と同等。RetinaディスプレイじゃないiPad miniの解像度が低いのと、Kindle Fire シリーズがちょっと重たいのが気になりますね。

まつもと :そこは電子書籍と大いに関係しますからね。比較的顔に近づけて読むことが多い電子書籍では解像度は高い方が細かい文字が読みやすいですし、片手で持つ分には軽くて、ホールドしやすい方がいいです。そういう意味ではFireシリーズは重さの面でやや不利かもしれません。

かべ :iPad miniとKindle Fireの無印(HDではないバージョン)はちょっと解像度が低いか…。

まつもと :iPad miniは画面が大き目で4:3という紙面を見るのに適したサイズにも関わらず軽量です。「これでRetinaであればなあ…」という声はわたしの周りでも多いですね。

かべ :(むむ…わたし、iPad mini買っちゃったし・・・)で、Kindle Fire HDと無印との違いは解像度と5グラムの重さの違いだけなんですか?

まつもと :あとで詳しくお話ししますが、Kindle Fireは音楽を楽しむこともできます。HD版はドルビーステレオに対応していて、本体のスピーカーからもなかなかいい音が出ます。

かべ :ふむふむ、HDと無印で5グラム、3,000円だけの違いなら、HDを選んだ方が良いかもですね。でも、まつもとさん、Twitterを見ていると「Kindle FireシリーズなのにGoogle Playが使えない!」といったつぶやきもけっこう目につきました。これってどういうことなんですか?

Kindle Fireは電子書店アプリが使えない!?

まつもと :Androidが採用されたスマートフォンを使う人が増え、アプリマーケットのGoogle Playから好みのアプリをインストールするのが当たり前にはなってきました。ところが、Kindle FireシリーズはAndroidをベースにはしていますが、Google Playには対応していないんですね。

かべ :え? そしたらアプリはどうやって追加するんですか?

まつもと :原則アマゾンが用意した独自の「Amazon Androidアプリストア」からインストールすることになります。Google Playと異なり、Amazonがアプリを事前審査してから公開していたり、日替わりで有料アプリが無料になったりと独自の取り組みが行われています。

かべ :事前審査ということは、最近問題になっているセキュリティ上問題のあるアプリが公開されてしまって、うっかり入れてしまう…という心配がない?

まつもと :そうですね、iOS同様、比較的安心感の高いマーケットだといえます。一方で、Apple同様、Amazonが審査に強い権限を持ちます。

かべ :なるほど…、Google Playのように即公開というわけではないし、審査で落ちてしまったら最悪公開できないことも。

まつもと :もっとも顕著な例が、電子書籍アプリといえるかも知れません。いまのところ、AndroidストアではBookLive!や、Kinoppy、eBookJapanといった電子書店アプリは公開されていません。

かべ :おっと、そうしたら汎用タブレットといっても、iPadのようにいろんな電子書店アプリを入れて使う、といったことはできない、ということですね? それ結構、ダ・ヴィンチ電子ナビ的には重要なポイントです!

まつもと :将来は分かりませんが、少なくとも現時点ではそうですね。ハード販売を重視するAppleと異なり、Amazonが電子書籍事業を重視している以上、もしかするとずっと他の電子書店アプリは受け入れられない可能性もあります。eBookJapanさんが昨年末発表した「Amazonアプリストアで承認されてもKindle FireやKindle Fire HDで表示されるとは限らない」というAmazonからの回答も、その心配を強くしています。

かべ :ええっ…管理画面で対象になっていたのに、ストアには表示されないって、なんだか気の毒です…。

まつもと :海外ではkoboのアプリが表示されている例もありますので、必ずしも競争相手を排除する、ということではないと思うのですが、Amazon側の分かりやすい説明が求められますね。

かべ :ということは、少なくとも現状ではKindleストア以外の電子書店を使いたい人は、Kindle Fireシリーズは避けた方がよいということになりますね?

まつもと :そうですね。詳しい人の中には、特殊なツールを使ってルート(管理者権限)を取り、Google PlayをKindle Fireシリーズでも利用可能にするという裏技を施している人もいます。ただ、メーカーの保証が受けられなくなりますし、失敗するとまったく端末が起動しなくなることもありますので、オススメはできないですね。

かべ :ふーむ…。

まつもと :というか、Kindle Fireシリーズは操作方法もAndroidとかなり異なっています。例えば、メインのメニュー画面はこんな感じです。

かべ :なるほど。Android端末がアプリの一覧がずらっと並ぶのに対して、アプリと音楽や書籍などのコンテンツが混在しているんですね。

まつもと :そうなんです。時系列に並びますので、「さっき読んでたあの本」「こないだ聞いたあの曲」といった具合に直感的にコンテンツを呼び出すことができます。デジタルコンテンツ販売に最適化されたKindleらしい仕様ともいえるでしょう。正直スマホやタブレットを使いこなしている人からすれば、面食らうインターフェイスです。しかし、「本を読むためにどのアプリをインストールして起動すればいいんだっけ?」といった戸惑いがないので、Kindle Paperwhiteの次に分かりやすい端末を一台、例えば僕の両親に勧めるとしたらKindle Fireシリーズは間違いなく候補になると思います。登場当初、Androidをベースにしながらも、電子書籍に特化していたGALAPAGOSと考え方は似ているかもしれません。

かべ :やれることが絞り込まれている分、分かりやすいと感じる人もいれば、物足りない・自分好みに操作やカスタマイズをしたいと思う人もいる、ということですね。

まつもと :もし後者であれば、アマゾンはiOSやAndroid向けにKindleアプリを無料で提供していますので、それを使った方がいいかなと思います。実際、私もNexus7やiPhoneにアプリを入れて使ってますが、読書に関してはKindleシリーズ同様に使うことができますので。