ヒャダイン新連載!【第1回】自分が間抜けなので、ビートたけし『間抜けの構造』を読んでみた。
更新日:2013/8/9
日本人は「間」を重要視する民族
さて、本著の終盤では、そんな「間」の弊害についても書かれています。日本人は「間」を重要視する民族ゆえに、「間」を壊してはいけないという強迫観念があってそれゆえにゼロから何かを生み出す能力がどうしても弱くなる。新しいものを作るには何かを壊さなきゃいけないんだけれどそれが苦手。結果思い切ったイノベーションが出来ないと説いています。確かに出る杭は打たれる文化だな、とひしひし感じますし、保守的になりがちな人が多い印象もあります。自分も知らず知らずのうちに守りにはいった曲作りをしちゃったな、と後から思うこともあります。たけしさんはやはり漫才、テレビ、映画、全てにおいて今までの常識やメソッド(本当はそんなもの存在しないのだけど)をぶっ壊してここまで来たから「間」の弊害を人一倍感じるのでしょうね。
そして最終章では人生の「間」、ということで足早ですがたけしさんが自分の半生を色んなエピソードを交えながら振り返っています。これが読み応えがある!短いページに詰まった濃厚な人生。圧倒されます。ジェットコースターのような人生の中で大学中退やフライデー事件、あの世にいきかけたバイク事故などを人生の「間」と表現し、そして漫才ブームでのブレイクなどを例に出して、自分が生まれてきた時代の「間」についても書いています。ちょっと自分のことを書きますが、僕もこうやって音楽で飯を食えているのはまずニコニコ動画というインフラがあったこと、パソコンで音楽を作るのが簡単な時代になったこと、アイドルブームなどなど、生まれてきた「間」がよかったとしかいいようがありません。強運の持ち主だと思っています。ラッキーです。
本のページも残り僅か、どうしめるんだろう、と思ったらいきなりブツっと「間延びしないうちに、この辺で終わりとするか。」 あとがきもなし!ひゃー。いいオチ。
さて、そんなこんなで最初は自分の「間」の悪さ改善のために読み始めた本著ですが、結果クリエイターとして「間」をどういうふうに捉えるか、「間」がどれだけ美しいものか、しかし「間」が冒険心を邪魔するという弊害もあるというアラート。ものすごく勉強になりました。さすが巨匠。しかしまあ、テレビでちょっとうまくいかないからって本を読んでなんとかしようとするこの安直な精神。「それが一番間抜けだよ、にいちゃん」ってたけしさんにケラケラと笑われたような気もします。たけしさんは「自分の生き様そのものが最高のエンターテインメント」と表現し、引退や死に関しても自分が操作できない「間」に任せているそんな印象です。ビートたけしさん。今年で66歳。偉人だなと改めて感じました。自分も歳を重ねたらこういうオトナになれればなと思いました。はい。
たけしさんのコント番組を観たい!ダンカンバカヤロー。
!!ヒャダイン最新情報!!
ヒャダインの6thシングル「23時40分」が1月30日にリリース。
Base Ball Bearとコラボレーションしているこの曲は、
夢を叶えた後の苦しさ、それでも走り続けて上を目指す
熱い心をテーマにしている。
現在NHK Eテレで放送中のアニメ『バクマン。』最終章の新オープニング・テーマ。