第5回『ぬれ○○を作る』前編

更新日:2013/8/6

実は以前から温めていた企画でした
ぬれ煎餅と緑茶は最高

『ぬれ○○を作る』前編 

銚子市を走る僅か6.4kmの小さな私鉄、
銚子電鉄のあるエピソードをご存知でしょうか?
近年は過疎化による乗客数の減少で経営悪化。
いつ廃線になってもおかしくなく
行政から補助金を貰ってなんとか運行を維持している状態。
しかしそんな中、
銚子電鉄前社長の1億円の横領事件が発覚。
「お前の所、そんな悪い奴いるなら、お金出してあげない」
と行政からの補助金が打ち切り。
さらに国から監査が入り
「ちょっとボロいねぇ。3ヶ月以内に線路とか修理しないと、走っちゃ駄目。
5000万円ぐらいかかるけど」
と言われ、さらに
「あ、来月車検があるから。1000万円ね~」

6000万円……。

advertisement

当時、通帳残高が200万円だった銚子電鉄、
横領問題で、もちろん借金は不可能。
そんなお金払える訳がありません。
会社存続は絶望的。

そんな中無駄な抵抗とは思いながらも
副業で製造販売していた“ぬれ煎餅”を
「買ってください!」
と必死に売り歩く毎日。
ただそんな簡単には売れません。

諦めかけた期限の数日前
最後の手段として
ぬれ煎餅のネット通販を開始。
それと同時に、思わず本音で
「ぬれ煎餅を買ってください、電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」
とHPに書き込んだ。

するとこの書き込みをみたインターネットユーザーが
周囲に呼びかけを行い、
なんと10日間で10000人以上の人が共感。
その後TVでも取り上げられ
爆発的な売り上げを記録。
お陰で修理費などを補う事が出来
営業停止を免れたのです。

鉄道ファンとしては
地方鉄道の問題に不安を抱えながらも
ぬれ煎餅が鉄道を救ったこのエピソードは
胸を打たれた話の一つ。

ちなみに
こちらがその銚子電鉄のぬれ煎餅。


12枚入り、3種類の味が入って1050円ですよ

ぬれ煎餅は1960年ごろ銚子市の米菓店「柏屋」が考案した煎餅で
その師弟関係にあるのが銚子電鉄のぬれ煎餅らしい。

しっとりもっちり食感好きの
お子様舌の僕には
堪らなく美味しいぬれ煎餅。
銚子電鉄のエピソードを聞くまで
”ぬれ煎餅”を知らなかった僕ですが
聞いて以来、好んでぬれ煎餅を食す様に。

普通のせんべいも好きだが
明らかにぬれ煎餅の方が好みである。

ん?
となると礼央化的には
ある事を数式に当てはめてみたくなります。

煎餅<ぬれ煎餅= ぬれが好きなのでは?


ぬれ煎餅-煎餅=ぬれ?早速、理系の頭脳が働く。
賢そうな顔をしてるが高校時代で数学は挫折した

以前クレープも好きだが、ミルクレープの方がもっと好きイコール
ミルが好きなのでは?という所にたどり着き、
って事は嫌いな“ほや”も“ミルほや”にすれば
いくらか美味しく食べられるのでは?
という食の未来に繋がる画期的な提案を発表し
先ずはと「ミル餃子」「ミルソースせんべい」を実験した事があります。

それと同じで煎餅よりもぬれ煎餅が美味しいと思うなら、
“ぬれほや”化が成功すれば
いくらか“ほや”を食べられるのでは?
という
今回も食の未来に繋がる画期的な発見の可能性があるのです。

ミル化の時は
残念ながらミル餃子やミルソースせんべいより
餃子、ソースせんべいの方が美味しいという結果となりましたが


ちなみにこれがミル餃子。絵面は最高なんですが、味はなんとも……


こちらがミルソースせんべい。
お味は「甘さ」を通り越して「辛い」仕上がりでした

今回の“ぬれ”はイケるかも知れない。

なぜなら
パリパリが美味いとされている煎餅が
真逆のぬれしっとりが美味しい、ときている。
常識の逆に可能性がある。
「熱湯が冷たい」
みたいな事でも良い訳です。

前回よりも歴史的な発見の可能性が高い気がします。

「ぬれポッキー」「ぬれポテトチップス」「ぬれシリアル」
を試してみよう!!
という事で早速
ぬれ煎餅の作り方を調べる……。

お米を挽いて蒸して、乾燥させて焼いて
冷まさずに、醤油につけて、更に焼くと煎餅だが
醤油に浸けて完成。それがぬれ煎餅!

なるほど……

ぬれ○○は
ただ単に濡らせば良いのでは無いのですね。


濡らすだけでは無かったのか……
安易な考えだったが、顔はアイーン

チョー安易に考えていました。
ポッキーにスプレーで水を吹きかけ、しばらくしたら
ぬれポッキーになると思っていた……。

うーん、困った。
今回の連載をこの内容一本に絞っていたのに……。

ただ
ポッキーをレンジで温めて、
溶かしたチョコをしみ込ませて乾燥させたらいけるかも……
いや、無理か?

など悶々とするレオナルホド・ダ・ヴィンチ作者。
色々煽っておいて
「ぬれポッキー無理でした!テへッ!!」
な結論は35歳の男が書く事では無い。

うーん……

とりあえず、ぬれ煎餅作ってみっか。

前々回のケンタッキーラーメンと同じである。
作るからには、まず基本を作ってみるべきだ。

毎月前編後編でお届けしようとしているレオナルホド・ダ・ヴィンチ。
なんだ礼央化の時よりもディープに踏み込みやすい環境、というか
ディープにいかざるを得ない環境でもある。

何かが見える筈だ。
先ずは「自作ぬれ煎餅」を作ってみる事に。
色々レシピを探っていると
作り方は千差万別。
どれがスタンダードかも分からない状態。

なかでも簡単に出来そうなのが
白玉粉を使ったぬれ煎餅。

水で粉をこねて、焼いて、タレに浸し、乾燥させたら完成と書いてある。
早速実践。


先ずは白玉粉で作るぬれ煎餅。クックパッド便利っす
 
 


水でこねます。耳たぶ位の柔らかさにするらしい。
ただ感触はおっぱ……
 
 


焼きます。とりあえずフライパンっす
 
 


お、良さそう?
 
 


いい具合に焼き色が付いたら
 
 


タレに浸けて

出来た!!


出来たっ!!

見た目は完全にぬれ煎餅。
これは期待出来る。

頂きます。

モチだ!!


餅だ!!

確かに食感はぬれ煎餅の美味しさのポイント
モッチモチである事は間違いない。
ただこれは餅だからモッチモチだ。

なるほど、焼く時はしっかりやいて乾燥させて
タレでしっとりさせるのが良いのか。
そしてめんどくさくてもやはりご飯を投入しよう。

次は結構、本格的な
ご飯と上新粉を使ったぬれ煎餅。
まずは上新粉を蒸してから
ご飯を混ぜてコネ
レンジで両面しっかり乾燥させて
焼いて、タレを浸ける方式。

白玉粉オンリーで作った経験からすると
これはかなりぬれ煎餅になりそうだ。

早速作ります。


こちらが上新粉。昔家電でお世話になっていたのはJoshin
 
 


水で捏ねて蒸します。そして更に捏ねます
 
 


お米も入れて捏ねまくります。
もう捏ねまくりです
 
 


円形にして焼きますよ。形がバラバラなのはご愛嬌。
お米の割合が多いのと少ないものと2パターンテスト
 
 


焼きますよ
 
 


焼いている間にタレを煮立たせます。良い匂いがしてきました
 
 


そう言っている間に焼けました
 
 


タレに浸します。この後、また焼くと普通の煎餅です

出来た!


自家製ぬれ煎餅!!

美味しい!!
でも、まだ濡れ過ぎ!!


美味い!!けど濡れ過ぎ!

なるほど、やはり焼く前に徹底的に乾燥させる事が重要な気がしてきた。
自作ぬれ煎餅と銚子電鉄のぬれ煎餅を食べ比べると
しっとり感は同じでも
煎餅感がまるで違う。
まだ自作の方はモチである。

ただ先は見えてきた。
次はちゃんとしたぬれ煎餅が作れると確信。

一度の経験がここまで人に自信を植え付けるとは。
毎回思う哲学。迷ったら実践だ。

この方法で本題のぬれ○○に移れば良い。
さて、この方法で出来る他のぬれ○○は……。

はっ!
ぬれハッピーターン!!!

これは良い。
みんな大好きハッピーターンのぬれ化だ。
煎餅部分は自作して
醤油とみりん等で作っていたタレを
ハッピーパウダーをお湯で溶かしたものにして、
自作煎餅をそのタレに浸して
乾燥させて、食す……。

K、KUSD……。
(こ、これは美味そうだ……の略)

一応確認の為亀田製菓のHPをチェック……。
よし、本家はまだやっていない。

という事で
次回後編は「ぬれポッキー」「ぬれポテトチップ」などの
色々なぬれ○○を実験してみる予定でしたが
メイン企画をぬれハッピーターンに変更。
明らかに美味そうだという予感と確信の元、お届けします。
あわせて、「ぬれポッキー」なら出来るかもとも思っているので
おまけ的にそちらもご報告したいと思っています。

ぬれハッピーターンの実験が大成功して
それを聞いたか知ったかで
近い将来亀田製菓さんがぬれハッピーターンを商品化した時には
流石に何か貰わないとなぁ。
その後は亀田製菓さんのお力で大衆化。
うーん、パイオニアって楽だねぇ。
まさにヌレ手に粟。

「礼央さ、しっかりしてるぅー」

いえいえ、シットリしてれば十分です。

ではでは土屋礼央でした。


ぬれハッピーターンを作る……
なんてナイスアイディアなんだ。
このアイディアにターン王子も喜んでいる様に見える