対人関係における「聞く」と「聴く」の違いとは?

ビジネス

公開日:2024/3/30

 日常でもビジネスでも、何かを「交渉」しなければならない場面が誰しもありますよね。でも中には「話すのが苦手」「言葉の駆け引きは避けたい…」という人もいるはず。

 『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』は、そんな人にオススメの一冊です。本書ではあらゆる「交渉」の場面で使えるノウハウを紹介しています。

 駆け引きの準備から、話の聴き方、自分の意見の伝え方、相手に花を持たせるおさめ方まで!

 著者の保坂康介さんは心理カウンセラー資格をもつ弁護士。ご本人も口下手で、交渉の場では様々な苦労を経験してきたそうです。そんな著者が考え、実践し、成功を収めた交渉術を丁寧に解説していきます。

※本記事は書籍『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)から一部抜粋・編集しました

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心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術
『心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術』(保坂康介/日本実業出版社)

話を「聞く」と話を「聴く」の違いを知ろう

 相手との交渉の際、話のきき方はとても重要です。

 そして、相手の話を「聞く」のと、相手の話を「聴く」のとでは天と地ほどの差があると思います。ここでは話を「聴く」ことの大切さをお伝えします。

 話の「聴き方」を身につけることで、自分の望む結果を引き寄せる交渉をつくり上げていくことができるようになります。

 では、話を「聞く」のと「聴く」のとでは、何が違うのでしょうか?

 少し抽象的になりますが、相手の話を「聞く」とは、あなたの関心の対象が自分に向いているのに対して、「聴く」は、あなたの関心の対象が相手に向いているという点で大きな違いがあると思います。

 もう少し具体的に言いますと、「聞く」というのは相手の発した言葉の内容をこれまでの自分の知識・経験に落とし込んで表面的に理解する作業であるのに対して、「聴く」というのは相手の発した言葉だけではなく、その言葉を発したときの相手の表情、声質、雰囲気、言葉に乗っている感情、エネルギーなどに関心を持って相手の状態を理解しようとすることです。

 皆さんは、どちらが相手に寄り添ったきき方だと思いますか?

 「聞く」よりも「聴く」ほうが、交渉相手が「この人は自分の深い本音や本心、感情に寄り添い、承認してくれているな」と感じて、より心を開いてたくさん話してくれるようになるとは思いませんか?

 逆に「聞く」というきき方をすると、場合によっては自分が慣れ親しんでいる世界観の範囲で人を理解しようとするあまり、自分の正義感や価値観から相手のことを言語あるいは非言語でジャッジしてしまうというリスクが出てくるのです。

 弁護士は、事案が無駄に長期化しないように類似案件の裁判例や文献、書籍を参照しながら事件の見通しを立て、争いの相手方はもちろん依頼者にも見通しを伝えたうえで、話し合いでの解決を目指します。

 でも、それだけでは事案の当事者(相手方と依頼者)は感情的にも納得してくれるとは限りません。しかも、弁護士が当事者の話してくれることを「聞く」だけに終始して事案処理を進めようとすると、当事者の感情は置いてきぼりのまま、話し合いは暗礁に乗り上げ、進展が見られない状態が続くことすらあります。

 一方、「聴く」というきき方を実践すると、当事者は弁護士が自分の感情を共有してくれたことで内面が満たされて冷静を取り戻してくれます。

 事件の解決と感情処理を分けて考えてくれるようになるのです。そうすると、いびつな妥協をすることなく本当の意味で交渉を丸くおさめることができるようになるのです。

心理カウンセラー弁護士が教える 気弱さん・口下手さんの交渉術

 この聴き方を実践するためには、以下のことを心がけるようにしてください。

① 世間の常識に固執しない
② あなた自身のダメな部分にもマルをする(自己受容)
③ あなた自身が悲しみ、恐怖、不安、怒りという感情を抱くことを許可する
④ 時間短縮や合理性といった考えを脇に置く

 まず、世間の常識に固執してしまうと交渉相手の言っていることが少しでも常識から離れているだけで交渉相手のことをジャッジしてしまい、それ以上聴こうという意識が持てなくなってしまいます。

 次に、あなた自身のダメな部分にもマルをすることができると、交渉相手のダメな部分を受け入れたり理解を示すための土台ができるようになります。

 そして、悲しみや恐怖、怒りといった人間に備わった感情を抱くことをあなた自身に許可すると、交渉相手が同じような感情を抱いていることもごく普通に受け入れることができます。

 さらに、交渉時間を短くしようと考えたり、合理的に進めようという気持ちを脇に置くと、交渉相手の気持ちに寄り添う意識が前面に出て、「聴く」姿勢が整います。

ここがポイント 相手の気持ちに寄り添う

サムネイル画像提供:PIXTA
<第4回に続く>

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