ラブコメはラノベの王道!? 『とらドラ!』ほか ―ブンガク!【第9回】―

更新日:2013/8/7

 中高生を中心に大人気の「ライトノベル」(通称ラノベ)。最近ではテレビアニメ化などの影響でファン層も拡大しています。そこで、ラノベって言葉は知ってても読んだことがない、という初心者向けに“超”入門コラムをお届け!代表的な作品の紹介や、楽しみ方について、作家や絵師など関係者への取材も織り交ぜながら、ラノベ風の会話劇でお送りします。毎月第1・3火曜に更新予定!

制作協力:代々木アニメーション学院 / 文=カンダ ユウヤ 絵=ましま


【前回までのおさらい】
○【第1回】ブンガク部が廃部ってどういうこと?
○【第2回】帰国子女でラノベ好きな美少女あらわる!
○【第3回】ブンガク部の救世主?顧問をさがせ
○【第4回】ラノベ好きな先生からの挑戦状
○【第5回】『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんに聞いてみた
○【第6回】ラノベって女の子でも読めるの?
○【第7回】中二病でトラブルメーカーってなんなの?
○【第8回】教えて!大人でも楽しめるキャラクター小説

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~教室・昼休み~

今川凜子(普)
「ねえ、中島君、一緒にお昼、食べない?」

中島優斗(普)
「ああ、今川さん」

今川凜子(笑)
「今日はどうしたの? 私もブンガク部の一員だから、何かあれば手伝うよ」

中島優斗(普)
「あ、そうだったね。あはは……」

今川凜子(普)
「で、何をしてたの、難しい顔して考え事?」

中島優斗(普)
「実はね、部員の件でどうしても、あと二人メンバーが欲しくってね。桜井の話だと一人は候補がいるみたいなんだけどさ。最後のもう一人、ちょっといい人いないかなと思ってさ」

今川凜子(普)
「そうなんだ、部員が足りないんだ。どうしようか?」

中島優斗(笑)
「でも、まあまだ時間があるし、大丈夫。急がず、焦らずだよ」

今川凜子(笑)
「そうだね、何事も常に落ちついて行動せよ、だよね。ああ、そうだ中島君……」

中島優斗(普)
「なに?」

今川凜子(普)
「そういえばさ、いつだったか、少し前に女の子にお勧めのライトノベルを教えてくれたよね」

中島優斗(普)
「そういえば、そうだったね」

今川凜子(笑)
「なら、私も特別に自分のお勧めのライトノベル教えてあげるよ」

中島優斗(笑)
「へえ、今川さんのお勧めか……気になるな、どんなの?」

今川凜子(普)
「えーと、じゃあ、まずはこれなんかいいかな」

中島優斗(普)
「あ、これは……オオカミさんシリーズ!?」

今川凜子(笑)
「うん、『オオカミさんシリーズ』面白いんだよ。狼と七匹の子山羊や赤ずきんや森の猟師などのおとぎ話に出てくる、登場人物が一堂に会して御伽学園(※1)という学校に集まって面白おかしく日々を過ごすお話なんだよ」

キノの旅

「御伽学園」(※1)
『オオカミさんと七人の仲間たち』(沖田雅/アスキー・メディアワークス)

私立御伽学園に通う高校1年生の大神涼子(オオカミ)と赤井林檎(赤ずきん)は、涼子に好意を寄せる森野亮士(森の猟師)を仲間に加え、彼らの所属する御伽学園学生相互扶助協会のメンバーと力を合わしながら学園でやりたい放題、世直しのため戦っていく。累計発行部数130万部を超えるヒットシリーズで、2012年は漫画版の連載がはじまり、TVアニメも放送された。御伽学園とは『オオカミさんシリーズ』の作中、登場人物たちが通う学校のこと。

中島優斗(笑)
「おとぎ話の登場人物が学校に通うのはなんだかシュールな光景だけど、それはそれでちょっとした夢のコラボだね」

今川凜子(普)
「あとお話は基本、三人称で描かれるけど、たまにキャラクターが地の文にボケたり突っ込んだりして語りかけてくるのも楽しいよ」

中島優斗(笑)
「登場人物も世界観を上手く利用してるんだね、面白い!」

今川凜子(笑)
「次は『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』だよ!」

中島優斗(普)
「へえ、今川さんはこれ好きなんだ。最近、話題だから僕も気にはなっていたんだ」

今川凜子(普)
「なら、説明するね。これは普通の高校生であるお兄ちゃんと、学業やスポーツも優秀な中学生の妹との関係を描いたホームコメディーで、ある日、妹が隠し続けてきた秘密をお兄ちゃんが知ることで二人の関係性が変わっていくというお話なの」

中島優斗(笑)
「ホームコメディかぁ、それならきっといい話なんだろうね。ああ、それとさ、その妹の秘密って何なのかな?」

今川凜子(普)
「ああ、それはね。その妹が隠れオタク(※2)なんだよ」

俺の妹がこんなに可愛いわけがない

「隠れオタク」(※2)
『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(伏見つかさ/アスキー・メディアワークス)

垢抜けていて勝ち気な妹が隠し続けてきた「実は隠れオタク」という秘密を知ってしまったことから、不仲だった妹に振り回されることになった兄の奮闘を描くコメディー作品。妹が愛好する「妹萌え」の男性向けアダルトゲームを物語の軸としながら、反りの合わない兄妹の関係性の変化が描かれる。ファンからは『俺妹』(おれいも)と略称され、ラノベにおける妹ブームの先駆けとなった。2010年に第1期、2013年には第2期アニメが放送され大ブレイク。

中島優斗(困)
「隠れオタク!? 隠れオタクってあの普段はいたって普通の人だけど実はアニメやゲームとかの趣味を周りに隠している、あの隠れオタク!?」

今川凜子(普)
「うん、そうだよ。まあ、それがこの作品のいいところでもあるし、登場人物が誤解して険悪になったり仲直りしたりして、成長していくのが大きな見どころなの」

中島優斗(普)
「なんていうか、テレビとかで放送しているホームドラマみたいなんだね。なんだか少し驚きかもしれない」

今川凜子(普)
「自分の本心を伝えて、お互いの思い込みや間違いを認め合ってキャラクター自身が変わっていくのがこの作品の良いところなんだよ」

中島優斗(笑)
「そう聞くとなんだか読んでみたくなったよ。今度、読んでみるね」

今川凜子(普)
「うん、ぜひ読んでみて。そして最後のひとつは『とらドラ!』だよ」

中島優斗(困)
「とら、ドラ? えーと、それはどんなお話なの?」

今川凜子(普)
「目つきが悪くてヤンキーと思われてる主人公が、手乗りタイガー(※3)の異名を持つちょっと凶暴なクラスの女子に一発KOされることから物語ははじまるの。でもそのおかげでヤンキーだっていう誤解は解けていくんだけど……」

キノの旅

「手乗りタイガー」(※3)
『とらドラ!』(竹宮ゆゆこ/アスキー・メディアワークス)

桜舞う四月。高校二年。新しいクラス。目つきは悪いが普通の子、高須竜児は、ちっちゃいのに凶暴獰猛、“手乗りタイガー”と恐れられる逢坂大河と出会う。そして彼女の知ってはいけない秘密を知ってしまいー。それが竜虎相食む恋と戦いの幕開けだった!いつもにこにこ、超マイペース娘の櫛枝実乃梨、文武両道、勤勉実直、だけどちょっとずれてるメガネ委員長、北村祐作も絡み、どこか変なメンツによる恋はすんなりいくはずもなく…!? 少女マンガ的なラブコメで女性ファンも多い。2008年にアニメ化され切ないストーリー展開が話題を呼んだ。

中島優斗(普)
「解けていくんだけど……どうしたの?」

今川凜子(普)
「で、でも、その女の子にも女の子らしいところがあるんだよ。その子は主人公の親友のことが好きで彼にラブレターを出そうとするんだ。けど、それを間違って主人公のカバンに入れてしまうの」

中島優斗(困)
「あたた……それは痛いね」

今川凜子(普)
「その後、彼女は夜中にラブレター取り返しに主人公の家に忍び込こむの。で騒ぎになってこの夜の事がきっかけで、二人は妙な事件やドタバタに巻き込まれていくの」

中島優斗(普)
「えーと、なんか波乱万丈だね」

今川凜子(笑)
「まあね、でも全体的に読むと少女漫画や少女小説みたいでとてもなじみ深い印象だったよ」

中島優斗(笑)
「何だか少し僕もそう思うよ。ラブレターを入れ間違えちゃうドジなところとかね。なんかちょっと可愛いよね」

今川凜子(笑)
「そういってもらえると私もうれしいな。薦めてよかった」

中島優斗(笑)
「うん、ありがとね。あとで、ゆっくり読ませてもらうよ」

今川凜子(普)
「うん、読んだら是非、感想を聞かせてね」

キ~ン♪ コ~ン♪ カ~ン♪ コ~ン♪

中島優斗(困)
「あ、もう時間みたいだね。もう昼休みも終わりか」

今川凜子(笑)
「あはは……そうだね」

中島優斗(普)
「なら、話はまた放課後の部活のときだね」

今川凜子(普)
「それじゃあ、またね」

中島優斗(笑)
「うん、じゃあ、また放課後にね」

……つづく

 

次回予告

中島優斗(普)
「皆さん、こんにちは、中島優斗です!」

今川凜子(普)
「同じく、こんにちは、今川凜子です!」

中島優斗(笑)
「今日、初めて知ったけど今川さん、ラブコメ好きなんだね。ちょっと意外かも」

今川凜子(普)
「そうかな、私は好きなものを坦々と上げた、だけど……」

中島優斗(笑)
「何はともあれ、ありがとうね」

今川凜子(普)
「こちらこそ、どういたしまして、では……」

中島優斗(笑) 今川凜子(笑)
「次回のブンガクもお楽しみ!」