ヒャダイン連載 【第8回】「学校ではあつかえないウラ日本史」を読んで、歴史の面白さを再確認!

2013/8/20

変幻自在のネオネオポップアイコン ヒャダイン(前山田健一)による気ままな読書感想文!

 昔から歴史が好きです。日本史や世界史、覚えなきゃいけない単語や人名だらけで嫌な思い出を持っている人が大多数だと思うのですが、歴史の流れや、出来事の理由とかを紐解いていくと、今現在の日常生活やニュースの内容がパッと華やいだりするものです。

中村獅童さん。毎回Recは笑いと感動です。

 そんな私、昨年からNHKのEテレで「歴史にドキリ」という番組の音楽担当をしていまして、俳優の中村獅童さんが歴史ヒーローに扮して、私が作った色んな曲を歌い踊るというインパクト大な番組です。振付も著名な「振付稼業air:man」さんなのでとてもユニークで、今年のお正月に一挙放送したらものすごく反響があり、ただいまセカンドシーズンまっただ中。曲調も子供に媚びたものではなく、大人が聴いてニヤリとするような元ネタがある楽曲にしています。杉田玄白がCCB風だったり北条政子が中森明菜風だったり。これもひとえに僕を含む制作陣が、歴史嫌いな子供たちに先入観を捨てて歴史に触れ合ってほしいなあという思いがあるからです。最近の子供は「子供に媚びたもの」に敏感に反応しますからね。最近の子供じゃないけど、私も小さいころはそういった媚びたものが嫌いでした。「はーい、ちびっこのみんなー! こんにちはー」みたいなやつ。「ちびっこ、ってバカにしやがって」って本当に思っていました。
さてさて。そんな風に、本当はワクワクするような内容の科目「歴史」ですがどうしても興味が持てない、という人にぜひ読んでいただきたい本を発見しました。どどーん。

 

「学校ではあつかえないウラ日本史」

歴史の謎を探る会/河出書房新社

武田信玄は恋人の少年に頭が上がらなかった! 大奥の珍妙な性の実態とは?…など、オモテにゃ出せない「夜の歴史」がてんこ盛り。いやはや、ご先祖たちはスゴかった。

 学校ではあつかえない、って言ってるのに薦めちゃってすみません。内容はお察しの通り、教科書では絶対に語られることのない、歴史ヒーローの下ネタでございます。といっても直接的な表現は避けていたり、下品下世話な視点で面白半分で著しているものでもなく、なによりもひとつひとつのエピソードが短い! ややこしいことを書かずにぺぺぺ、と次の項目にいけるあたりがスピード感満載でストレス無く楽しく読むことができます。まさに歴史嫌いにもぴったり!!

大昔から男も女も性欲に突き動かされてる部分がある

信玄×若侍のBL。うーむ。

 さて、肝心の内容ですが、古事記から最近の話まで時代や人物は多岐に及んでいますよ。それにしても、多くの歴史ヒーローのモチベーションがリビドーにあることにびっくり。今でも下半身スキャンダルで失脚する政治家が多いですが、大昔から男も女も性欲に突き動かされてる部分があるんですねえ。豊臣秀吉は出自のコンプレックスも相まって名家の娘さんを続々と妾にしたり、田沼意次も将軍の側室に手を出したり、伊藤博文にいたっては明治天皇にたしなめられるほどの漁色家だったりと、みなさまおさかんですね。そんな中、武田信玄や世阿弥、井原西鶴や徳川家光などは男色にも手を出し、思いっきりBLな伝説も残しているとな。男色が禁忌になったのは明治以降のキリスト教の価値観で、江戸時代まではふっつーに行われていたらしい。てなわけで腐女子の皆さんも読み応えあり、でありんす。

 そう。「ありんす」。廓(くるわ)言葉、という芸者さん特有の言葉らしいですが、この本では江戸時代の「フーゾク」として吉原について詳しく書いてくれています。幕府公認の風俗施設だった吉原。基本的に「置屋」という言ってみれば風俗店に「遊女」という風俗嬢が勤めているのですが、現代と大きく違うのは基本的に借金のカタなんですよね。親が借金に困って娘を置屋さんに売り飛ばす。ひどい話です。したがって、娘は借金を返済するまで吉原から出ることが出来ない。逃げようとする遊女対策として門番や現代でいうIDパスみたいなもので厳重に吉原への出入りは管理されていたとのことです。ひゃー。おっかない。

自分で描いてていやになっちゃうクオリティ。一応、おいらんのつもりです。

 しかし、私は勘違いしていたのですが、吉原の遊女とはお金さえ払えば簡単にことに及べると思ったら大間違いで、何度も通い続けなきゃいけなかったらしいです。特に人気の遊女とは最初の邂逅では手を握ることすら許されず、ただお話しをするだけ。お布団をしいてもらえるようになるまで、現在の通貨価値でいうと600万円くらい支払わないと無理だったとか。あと、借金のカタとして勤めている遊女のことを本当に好きになってお嫁さんとしてめとりたい場合は「身請け」といって高いケースで9000万円ほどを置屋に支払わないといけないと。あと、今のキャバクラと同じで、色んなイベントを開催していて、お年賀、節句、七夕祭など、ことあるごとにイベントにして集客をしていたそうです。今も昔も考えることは変わらないのだなあ。そこらへんの事情は花魁をテーマにした映画などでも詳しく描かれていると思うのですが、男の性欲が吉原という一つの街、いや、システムを形成して、そこからいろんな文化を作ったというのはなかなか凄いですよね。言ってみればヤリたい男たちの情念が街を作ったという。人間の三大欲求の果てしないエネルギーにびっくりです。そして現代の風俗産業にも脈々と受け継がれているあたりに人間の性の普遍さを感じたりします。