ヒャダイン連載 【第10回】ラブホに憧れているので『性愛空間の文化史』を読んでみた。

公開日:2013/10/15

派手なラブホを作ったのはアメリカ生まれ「モーテル」の影響

モーテルのしくみ。ドキドキ。

 さて。連れ込み旅館がラブホの元祖として着々と定着していく一方で、「モーテル」というアメリカ生まれのドライブイン式宿泊施設が盛り上がってきました。モーテルはそもそも車社会であるアメリカで長距離ドライバーや家族旅行の人たちが車のままチェックインしてパーキングにある扉を開けて階段をのぼったらすぐに部屋、というストレスフリーなシステムだったんですね。これのメリットが、長距離ドライバーは車にほとんど荷物があるので、車が宿泊施設のすぐ隣にあることで持ち運びがめちゃくちゃラク、ということなんですね。うん。アメリカらしい。車が徐々に普及してきた日本にもそのモーテルが浸透してきたのですが、これが今の派手なラブホの元祖となったともいえるようです。というのも、モーテルはドライブインで自動車ありき、ということなので都心部に作る必要はなくて、誰も通らないような辺境の田舎の山奥に作ることもできたのです。モーテルの特徴として「顔をさされずにチェックイン、チェックアウトできる」という特徴もあり、やはり世間体を気にする日本人、性行為をするということを隠したがる傾向にあり、そういった人々にとって誰にも見られない辺境の田舎というのは非常に好都合だったんですね。しかし、店側としても、辺境の田舎に作ったところで今みたいにインターネットがあるわけでもなく、大々的に広告もできるわけでもない。となると、バカみたいに目立つ必要があった。なのでギンギラギンのネオンをつけたりでっかい看板をつけたりして存在を目立たせたんですね。その基板がだんだんラブホ絢爛豪華化につながっていったのかも。そのモーテルも「誰にも見られない」危険性が犯罪の温床になるということで規制が入って減ってきたようです。

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田舎にいくと どんでもない外装のラブホあるよね

 その後、「目黒エンペラー」という目黒にある巨大なお城のラブホテルが登場したことによってラブホ豪華絢爛化に拍車がかかるようです。回転ベッドや鏡張りの部屋、ジャグジーなど高度経済成長、バブルな時代感も手伝ってゴージャス化、ファンタジー化がどんどんすすみます。内装にバカスカお金をかけ、それが和洋折衷、はちゃめちゃな世界観。それがカオスを生んである意味芸術的な造形になりますます非日常空間を演出することに。ラブホが「エロ」の象徴として行列ができるなど憧れの存在となったとな。まさに今の俺状態!あこがれますよー。回転ベッドとか!なんだよそれ、酔うじゃん!回りながらチョメチョメって意味ねー!意味なさがたまらねー!あのゴテゴテの世界観に惹かれてしまうのですが、新風営法によりかなりの部分が規制されることになります。

ラブホテルではなく「レジャーホテル」!?

女子たちがラブホでAV鑑賞会してるとな。キャー。

 さらに不景気突入により豪華絢爛は終了、シンプル化に向かうのです。味気ないビジネスホテルのような外観だったりするものが増えるのですが、ラブホ業界、負けない!少子化やプライベート空間の充実などでラブホを使う意味合いが無くなってきた昨今、女性グループやファミリーで使えたり、おしゃれな専門誌が出来たり、美味しいご飯が食べたり、もはやラブホテルではなく「レジャーホテル」という呼称を推奨しているようです。

 いやー。このラブホの歴史よ。全てが線となりつながっているのですね。個人的には怪しげなモーテルやゴテゴテした内装の地方のラブホなど行ってみたい!行く相手がいないけどね。あははは。にしても、これからも時代の変遷をクンクンといち早く嗅ぎとってその形態をコロコロと変えていくラブホ。文化を計る一つのものさしとしても使えるんじゃないかなあ、と感じました。

 

今日の一句

ラブホテル チョメチョメチュッチュ してみたい