祭りの後に寂しくなるのってなぜだろう? ―ブンガク!【第17回】―

公開日:2013/12/27

 中高生を中心に大人気の「ライトノベル」(通称ラノベ)。最近ではテレビアニメ化などの影響でファン層も拡大しています。そこで、ラノベって言葉は知ってても読んだことがない、という初心者向けに“超”入門コラムをお届け!代表的な作品の紹介や、楽しみ方について、作家や絵師など関係者への取材も織り交ぜながら、ラノベ風の会話劇でお送りします。毎月第1・3火曜に更新予定!

制作協力:代々木アニメーション学院 / 文=カンダ ユウヤ 絵=ましま


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~ブンガク部~

佐藤唯(普)
「そういえば先輩たち遅いですね。どこまで買出しに言ったんですかね?」

中島直斗(普)
「近くの商店街だから、そんなに時間はかからないとは思うんだけど……うん、確かに遅いね」

佐藤唯(普)
「もう、せっかく、この前の打ち上げをしようということになったのに……」

中島直斗(普)
「まあ、ゆっくりと待とうよ。どうせ、もう冬休みなんだしさ」

佐藤唯(普)
「まあ、そうですね」

石田健(普)
「お待たせ~! お菓子、買出ししてきたよ!」

桜井智樹(困)
「おい、僕ばかり持たせるなよ! ジュース類はペットボトルだから重いんだよ」

石田健(普)
「ああ、そうか……だから、やけに帰り顔が険しそうだったのか、大丈夫か?」

桜井智樹(怒)
「気づいていたならヘルプくらいしてくれよ、もう~」

石田健(普)
「なに、大丈夫さ……たとえ離れていても俺とお前はいつでも心はコネクトしているぜ」

桜井智樹(困)
「いやいや、変なこというな、てか何の話だよ!? たとえ『<ふうせんかずら>の人格入れ替わり(※1)』が起きても君と僕じゃあ、それはありえないから」

Fate/Apocrypha

<ふうせんかずら>の人格入れ替わり(※1)
『ココロコネクト』(庵田定夏/KADOKAWA/エンターブレイン)

文研部に所属の八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文の五人は、青木と唯の二人をはじめ、奇妙な現象に出くわした。それは “人格入れ替わり”の現象だった。それは更に部員全員に広まり、彼らの日常を変えていく。そんな平穏が崩れたその時、五人の関係は形を変え始め、心の連鎖は彼らの秘めた心の傷をも浮かび上がらせていく。<ふうせんかずら>の人格入れ替わりとは作中で登場人物たちに降りかかる奇妙な現象のこと。

石田健(普)
「ははは、冗談だって冗談!」

桜井智樹(困)
「はあ……さらに疲れた……」

佐藤唯(笑)
「お帰りなさい、先輩たち。遅かったですけど大丈夫ですか?」

石田健(困)
「ああ、唯ちゃん、ちょっと隣町まで行って来ただけだし、大丈夫、大丈夫!」

佐藤唯(困)
「なぜに隣町まで!?」

石田健(普)
「ああ、ストレートに道に迷いに迷ってさ!」

桜井智樹(困)
「そこ自信満々に言うところ!?」

石田健(普)
「まあ、いいじゃない……そうだ、飲み物でも並べるか」

中島直斗(普)
「あ、なら僕も手伝いますよ」

石田健(普)
「お、サンキュー、直斗君!」

佐藤唯(笑)
「では、そちらはよろしくお願いしますね」

田中先生(普)
「……やあ、そっちの準備はどうだい、順調?」

佐藤唯(笑)
「あ、先生。はい、順調です。あとは三年生の先輩方が来れば準備完了です!」

田中先生(普)
「そう、それはよかった。まあ、今回は学園祭も上手くいったしね、今日はパーッと羽目を外して、何て言うか、学生らしくこう楽しくさ!」

佐藤唯(笑)
「そうですね。私もそう思います」

田中先生(普)
「ああ、これはついでに聞きたいんだけど、この頃、僕が使う『パソコンなどの電子器具が良く壊れるんだけどこれって特異体質(※2)』かな?」

Fate/Apocrypha

パソコンなどの電子器具が良く壊れるんだけどこれって特異体質(※2)
『RDG レッドデータガール』(荻原規子/KADOKAWA/角川書店)

世界遺産に認定された熊野古道、玉倉山にある玉倉神社の少女・鈴原泉水子はある理由で中学三年まで麓の中学と家の往復だけの生活を送っていたが、突然、進学の時期になると幼なじみの相楽深行とともに東京の鳳城学園へ入学する事となってしまう。互いに反発する二人だが、修学旅行先で姫神と呼ばれる謎の存在と出くし、二人は恐ろしい事件に巻き込まれてく。冒頭セリフは主人公・鈴原泉水子の電子機器を壊してしまう特異体質のことを指す。

佐藤唯(困)
「先生はどこの鈴原泉水子ですか!?」

田中先生(笑)
「さすがは唯ちゃん話が通じるね! じゃあ、僕は職員室にいるからね。今日は楽しんで……あ、でも羽目だけは外し過ぎないようにね」

佐藤唯(笑)
「大丈夫です、分かっています!」

田中先生(笑)
「うん、じゃあね~」

佐藤唯(笑)
「はーい! さてと、あとは……あ、直斗君!」

中島直斗(普)
「え、なに?」

佐藤唯(笑)
「そういえば先輩はいつぐらいに来るの? 今川先輩はもうすぐ来るみたいだけど、中島先輩から何か聞いてない?」

中島直斗(普)
「そうだな、兄さんからは特に何も、あ、でも……」

佐藤唯(普)
「でも?」

中島直斗(笑)
「用事を済ませたら打ち上げには参加するって言っていたからさ。まあ、兄さんが忙しそうにしているのはいつもの事だし、大丈夫だとは思うよ」

佐藤唯(笑)
「そっか、なら大丈夫ですね」

中島直斗(笑)
「うん、じゃあ、準備に戻るね」

佐藤唯(普)
「さてと、じゃあ私も何か手伝おうかな……」

今川凜子(普)
「おはよう、唯ちゃん。どう、打ち上げは進んでる?」

佐藤唯(笑)
「あ、おはようございます、先輩。たった今、いらしたんですか?」

今川凜子(普)
「うん、そうだよ。それと優斗君から、さっき連絡があってもうすぐ来るってさ」

佐藤唯(笑)
「そうですか……それなら、みんな揃って打ち上げができますね。よかった」

今川凜子(笑)
「だね、文化祭を終えてこんな風に打ち上げをできるのもみんなでがんばったからだものね」

佐藤唯(笑)
「はい、先輩もご苦労様です!」

今川凜子(笑)
「フフッ、それほどでもないよ」

中島直斗(普)
「あ、唯ちゃん準備できたよ。それと兄さんも来たよ」

佐藤唯(笑)
「……あ、はーい!」

今川凜子(普)
「それじゃあ、唯ちゃん、行こう」

佐藤唯(笑)
「そうですね。では、こちらへ、どうぞ先輩」

今川凜子(普)
「うん、ありがとね、唯ちゃん」

中島優斗(笑)
「……あ、二人とも来たね」

今川凜子(普)
「やあ、優斗君……これでみんな揃ったみたいだね」

中島直斗(笑)
「……二人とも来て、兄さんがいい物を買ってきてくれたよ」

佐藤唯(普)
「え、なに、いい物? あ、これって……ケーキ!?」

中島直斗(笑)
「うん、そうケーキだよ。兄さんが打ち上げのお祝いにって、買ってきてくれたんだよ」

佐藤唯(笑)
「わぁ、すごい何だかとても豪華ですね」

今川凜子(笑)
「うん。優斗君こういうときは気が利くね」

中島優斗(笑)
「いいや、それほどでもないよ。まあ、冬の時期だからね。こういうのもたまには良いのかなって思ってさ」

石田健(普)
「美味そう~、早く食べましょうよ!!」

桜井智樹(怒)
「ああ、君はそういうところがはしたないんだから……」

中島直斗(普)
「じゃあ、そろそろ打ち上げを始めない、兄さん?」

中島優斗(笑)
「そうだね。じゃあ、えーと、まずは……僕から一言! この度、いろいろありながらも文化祭を終えて、ようやくブンガク部が部として出来上がった事を感謝します。それとこのブンガク部とその皆に今日という日を祝して乾杯したいと思います。それではみんな、お疲れ様でした……では、乾杯~!!」

佐藤唯(笑)中島直斗(笑)今川凜子(笑)桜井智樹(笑)石田健(笑)
 

「乾杯~!!!」

中島優斗(笑)
「今日はみんなで楽しもう~!」

佐藤唯(笑)中島直斗(笑)今川凜子(笑)桜井智樹(笑)石田健(笑)
 

「オーッ!!!」

佐藤唯(笑)
「ふふ、これからも楽しい日々が続きそうですね」

……つづく

 

次回予告

佐藤唯(笑)
「こんにちは佐藤唯です!」

中島直斗(普)
「同じくこんにちは中島直斗です!」

佐藤唯(笑)
「打ち上げ、楽しかったですね、直斗君」

中島直斗(笑)
「そうだね、また来年もやりたいね」

佐藤唯(笑)
「はい、そのときはまた楽しみましょうね。では……」

佐藤唯(笑)

中島直斗(笑)
「次回の『ブンガク!』もお楽しみに!」