「出版業界の未来はどうなる?」内田 樹×名越康文×橋口いくよ 勝手に開催!国づくり緊急サミット

内田 樹

2014/2/6

思想家・内田樹、精神科医・名越康文、小説家・橋口いくよの三氏が語り合うダ・ヴィンチ本誌人気連載「勝手に開催! 国づくり緊急サミット」。この連載をまとめた書籍化第3弾『本当の仕事の作法』が、いよいよ3月6日(金)に発売されます! そこで、単行本未収録の特別鼎談を、本誌とダ・ヴィンチニュースだけに特別公開いたします!!

文=橋口いくよ 写真=川口宗道

橋口いくよ

橋口 今回は、この鼎談をしている我々にとっても身近な、出版業界をテーマに「仕事」について語り合いたいと思います。

内田 出版業界も、今はもうどこもビジネス先行になって、出版物のクオリティはどんどん落ちているね。

橋口 本が売れない、雑誌が売れないという中で、ベストセラー作りに躍起になる気持ちはわからないでもないですが……。活字って、即時的に消費してゆくもの、その場ですぐさま結果が出る読み物もありながら、じっくり育てたり、じっくり選んだり、じっくり味わったりするものも同時に存在するものだと思うんですね。「本棚」って言葉があるように、棚に置いておいて育つ読み物もあると思うんです。

名越 そうなんですよね。でも今の出版業界は、人の心臓が弱ってきた時に、強心剤を打つのと似たことをしてるんですよ。今すぐこの心臓をなんとかしなければならないと思って強心剤を打つと、心臓ってますます弱るんですね。でも強心剤を打たないと心臓が止まってしまう……ということになると、やっぱり打つしかないというほうを選んでしまう。

橋口 始めてしまったら、どうしようもないループなんですね。

名越 生命を維持するためにはね。生命ってこれ以上どうにもしようがないとわかると毒を打ち出すんですよ。で、破滅する。それって、毒を打ったから破滅するのか、もともと弱っていたからなのかっていうのはわからないまま破滅するっていう状況。それが今、出版業界にも起こっていますよね。でも、ひとつの生命が死滅したら別の生命がまた生まれてくるように、僕たちの知的なフィールドを今度は何が埋めていくのかっていうことになってくる。もしかしたらもうどこかに何かが出てきているかもしれないという気がするんですけどね。