第7回 家族に言っちゃダメなヤツ!!/瀧上伸一郎(流れ星)連載

2015/8/15

以前、僕の中学生時代に好きだった、Tさんに対する奇行の数々を、このヒジウマに書いたんですが(第五回「超中二病」の事)、何とその初恋のTさん本人がこのあいだのヒジウマのコラムを読んだらしく、Facebookに感想が書かれていました。因みにヒジウマとは今僕が勝手に「肘神様が生まれた街」を略してみただけの話です。

というわけでTさん本人の了承を得て一部分抜粋して載せます。

「懐かしいなぁーほんと光の勇者はいいネタだわ! ほかにも風呂敷事件、ウサギ逃亡事件、てっちゃんが遊びに行った事件、思い出せばいっぱい出てくるよね!」

どうしよう……光の勇者以外どの事件も一つも記憶に無い!!
因みに光の勇者というのは、僕がTさんに「ドラクエ4に裏技で光の勇者ってアイテムが手に入るよ!」ていう嘘をつき続けた事件の事です。詳しくは第五回のコラムを読んで下さい。
人間はとんでもなくショッキングな出来事に遭遇すると精神状態を保つ為にその記憶を消す事があるそうです。
多分、僕の脳が恥ずかし過ぎると判断して記憶から消したみたいです。
ウサギ逃亡事件とかウサギ逃亡させたのかよ俺は!! 記憶にないわ!
何だよ! 風呂敷事件て!!
俺は一体風呂敷使って何やらかしたんだよ!!
Tさんを風呂敷で包んだのか!?
てっちゃんが遊びに行った事件って、てっちゃん(中学時代の友達)が遊びに行って何で事件になるんだよ!!
当時の僕が一体何をやらかしたのか凄く気になる!! でも真実を知るのは凄く怖い!! 物凄く恥ずかしい事やらかしてたらどうしよう! いや、絶対恥ずかしい事やらかしてる! 僕の脳が消してるくらいだヤバイやつだ! でも俺は今や芸人だ! 何も怖くない! でも……。

小一時間ほど悩んだ末(本当は五分だけどね!)僕は勇気を振り絞ってTさんに電話をして真実を知る事にしました。

「しんちゃん久しぶりやねぇ!」

久しぶりに聞くTさんの声、あの頃と変わってない。中学時代が蘇ってきます。そして話をするうちに意外な事実が発覚しました。

「コラム読んだけど、光の勇者の話、ちょっと違っとったよ!」
え? ど、どういう事?
トクンッ!
僕の心臓が微かにTさんの言葉に反応しました。
「……え? Tさんにドラクエ4の嘘をついた話でしょ?」
「そうなんやけど、その後しんちゃん私の下駄箱にラブレター入れたの覚えてないの?」
ラブレター? 俺がTさんに!? 全く記憶にありません。
ドゥン!ドゥン!ドゥン!ドゥン!
僕の心臓がユーロビートの様に波打ちます。
「ち、ちなみにそのラブレター、何て書いてあったか覚えてる?」

Tさんは懐かしそうに

「光の勇者というアイテムの取れる場所教えるから僕と付き合って下さいって!」

僕の顔から火炎が出ました。
はっ恥ずかしいっ!! 何やってくれてんだ当時の俺っ!!
嘘の情報を引き換えに付き合ってくれってすぐバレるだろ!! てか告白の仕方がゲス過ぎる!全く実力で行こうとしてない! 人質をとって身代金要求する誘拐犯か!
さらにTさんの話は続きます。

「私の家族みんなラブレターの話知っとるよ!」

Tさん!! 家族に言っちゃダメだ!!
もう恥ずかしさが込み上げて来すぎて気づいたら電話しながら部屋の中をぐるぐる歩き回ってました。
動物園のストレスのたまったライオンが同じ場所をぐるぐる歩き回る気持ちが今なら解ります。

そしてダメ押しでTさんは言いました。

「そのラブレター、今も実家にあるよ!」

何でまだ持ってんだよ!!!
恥ずかし過ぎる過去の産物がまだこの世に存在するなんて!! 
そもそも光の勇者以外の話を聞こうと思ってたのにこの時点で僕のライフはとっくにゼロです。
これ以上の記憶が蘇ると恥ずかし過ぎて光の勇者になってしまいます。
というわけで僕の中学時代の記憶の扉を開けるのはこの辺にしておこうと思い電話を切りました。

Tさん。光の勇者の場所を教えるのでラブレター返して下さい。

 

 

光の勇者(嘘)