【第七回】「常識をすべて忘れて挑む」 KADOKAWA・成田耕祐さんインタビュー

更新日:2015/9/14

原作者インタビューシリーズ、最後は石膏ボーイズのプロデューサー、KADOKAWAの成田耕祐さんにお話を伺いました。

成田さんはプロジェクトの全体進行や各種コンテンツプロデュース、二次展開の企画やライセンスの管理などを担当しております。
原作チームの中では最も行動を共にすることが多いです。

石本「本日は宜しくお願いいたします。まず始めに、石膏ボーイズを立ち上げた経緯を教えていただけますか?」
成田「僕の会社における役割はマーチャンダイジングです。様々なIPのライセンスをお借りしてグッズを作り、販売する。その一方で自らキャラクターの開発もいくつかやっています。その流れで、以前から個人的にファンだったザリガニワークスさんに接触を試み、共同開発のIPを作れないかを相談していました。そんなある日、ザリガニワークスさんから『これどう思いますか?ちょっとどう進めていいか悩んでいて』と見せて頂いたのが石膏ボーイズの企画書でした。ホルベイン画材さんの新クロッキーブック向けの企画だったのですが、それだけに留まらないのでは?と可能性を感じ、『僕にプロデュースさせてもらえませんか?』とお願いしました」

石本「どのあたりに可能性を感じたのですか?」
成田「『美術・芸術』というアクティブでコアな市場に絞った企画というところです。僕はキャラクターを育てる場合に『キャラクターの育成プラットフォームがどこなのか』を重要視しています。サンリオさんやサンエックスさんは圧倒的なプロモーションノウハウと店舗や長年のファンを大切にした戦略でキャラクターを育てます。けれど僕らにはそれがない。KADOKAWAはやはり出版社です。僕らの既存のPR・流通インフラではこのご時世マーチャンダイジングは広がりを見せにくい。今回の企画はターゲットが異様にゾーニングされています。さらにその方たちの生活密着点で商売をしているホルベイン画材さんがパートナーにいる。このスキームは育成プラットフォームとしては十分な可能性があると考えました」

石本「ホルベイン画材さんというブランドがカギを握っているのですね?」
成田「そうです。もちろんザリガニワークスさんの独創的な発想やアートディレクションも重要ですが、ホルベイン画材さんがいることでユーザーに対しての『説得力』が増しています」

KADOKAWA 成田耕祐さん。パクチーと山椒が主食。

石本「今後の彼らをどうプロデュースしていく方針ですか?」
成田「やはり美術業界が活気づいてほしいと願っています。僕も芸術系大学出身者の端くれとしてどうにか貢献したい。そのためにも『これまでの常識をすべて忘れる』ことを意識しています。彼らには物語もない、出発点が本でも映像でもない、あくまで『概念』だけです。我々が石膏像のアイドルだと言い張っているだけ。だからこそ僕がこれまで取り組んできたやり方は通用しない。お得意のメディアミックスも普通の考え方では成しえない。KADOKAWAらしさを失うことで見えてくる景色に期待しています」

石本「ザリガニワークスさん、ホルベイン画材さんとの協業はいかがですか?」
成田「とにかく仲が良いです。この前、夕方から男性4人でカラオケ行きましたよ、たった1時間(笑)。武笠さんのアクセル先輩すごかったなぁ……。それはさておき、三社の役割がものすごくハッキリしているので、互いの領域の仕事を全面的に信頼できています。委員会形式で僕はこんなこと経験したことないです。この縁をいつまでも大切にしていたいですね」

石本「ズバリ……この後、何か大きな展開はありますか?」
成田「4月にデビューさせていただいたあの日、僕が決意して行動に移したことが間もなくお披露目されます。おそらくネット中心に大きな話題を呼ぶと思われます。でも世間を驚かせるだけでは意味がない。心の底から喜んでもらえる仕掛け・商品を届けることが出来るよう、関係者一同頑張ります」

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三週連続の関係者インタビュー、いかがでしたか?
こうして三社の担当者様とご一緒できていることを幸せに感じながら、今後も精進してまいりたいと思います!

次回……「石膏ボーイズ」重大発表!!



成田耕祐(なりた・こうゆう)
株式会社KADOKAWA ライセンス事業局商品企画課課長。東京藝術大学大学院を卒業後、株式会社メディアファクトリーに新卒入社(後にKADOKAWAと合併)。映像事業・商品企画事業・ライトノベル編集部を渡り歩く。現在は商品企画課のマネジメントを行う一方で、オリジナルキャラクターの開発・プロデュースも行う。代表作は「石膏ボーイズ」「ブクブクアワー」「BAR 嫌われ野菜」など。
http://www.mediafactory.co.jp/mfhobby/
http://www.mediafactory.co.jp/mfhobby/jyosibu/

【石膏ボーイズとは?】
今年の4月にデビューした、「世界初の石膏像アイドル」。
数多くの石膏像から、「イケメン」「新人感」をキーワードに選出された4人によるユニット。

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写真=山口宏之