ホラー作家・岩井志麻子が語るオトコとオンナの“恐怖のツボ”|夏のホラー部第3回

ホラー

2015/8/22

 タレントとしても活躍中のホラー作家・岩井志麻子さん。彼女がライフワークとして毎年刊行しているのが、身近な恐怖体験談を収めた『現代百物語』シリーズだ。生霊・死霊にまつわる話はもちろん、人間のどす黒い欲や虚栄心が生み出した戦慄の事件まで、全方位の怖さに対応するリアルホラーの決定版! その舞台裏に迫ったインタビュー。

――『現代百物語』は相変わらずの人気ですね。今年も7冊目となる『現代百物語 妄執』が刊行されました。

岩井:ありがたいことでございます。やっぱりエロとホラーの話は、皆さん大好きなんですね。

――このシリーズの魅力は、幽霊話、不思議な話から、心理的にイヤな話、イッちゃってる人の話まで幅広く取材されている点だと思います。

岩井:怖さのツボって、人によって全然違うんですよ。このあいだ、作家の平山夢明先生と歌舞伎町にご飯を食べに行ったんですが、その際にこんな怖い話をしてくれたんです。ある良い家のお嬢さんがビスクドールにはまって、夢中になって集めはじめたんですって。ビスクドールって高価なものになると、一体何十万、何百万という世界らしいんです。人形代を稼ぐために会社勤めのかたわら水商売で働き出して、それが風俗になり、ついには風俗専業になって、人形を集めることに没頭するんですよ。そのうちに心身のバランスを崩してしまって、家族が彼女のマンションを訪ねてみると、人形のように白い顔をした彼女が、大量のビスクドールに囲まれて孤独死していたっていうんです。

――いきなり怖い話ですねえ!

岩井:わたしはめちゃくちゃ怖いなと思ったんですけど、同席していた徳光正行くんはピンとこないみたいで、「髪が伸びる人形ってさ、下の毛も伸びるのかな」とかにやにや笑ってるんですよ(笑)。ところがこれが次の話で逆転するんです。これも平山先生の怪談なんですけど、ある男性が自宅にデリヘル嬢を呼んだんですって。5分もしないうちに玄関のチャイムが鳴って、ドアを開けると、陰気そうだけどかなり可愛い子が立っていた。「先にシャワー借りていいですか?」っていうその子を風呂場に案内して、わくわくして待ってると、デリヘル業者から電話がかかってきて、「済みません、道が混んでて到着まであと20分くらいかかります」って言う。

――ひええっ。

岩井:じゃあ風呂場にいるのは誰なんだ、ってことになって、そーっと覗いてみると、その女が服を着たまま冷たいシャワーを浴び続けていた、っていうんです。これを聞いて、徳光くんは悲鳴をあげたんだけど、わたしにはギャグみたいに思えて。やっぱり自分の身に起こりうるかどうかで、怖さって変わるんですよ。狂気の中で孤独死する怖さは分かっても、わたしはデリヘル呼ばないもの。

●元マネージャーの信じられない嘘