第23回 単独ライブの話/瀧上伸一郎(流れ星)連載

2016/12/15

殆どのお笑い芸人にとって一つの目標となるのが単独ライブです。
普段のお笑いライブは芸人何組か出演して、一組の持ち時間5分程度なんですが、単独ライブは文字どおり“単独”で“ライブ”をします。
アイドルやミュージシャンのワンマンライブみたいなもんです。
僕ら流れ星が初めて単独ライブを行ったのが忘れもしない……ちょっとWikipedia見てきますね。
2007年だって!
もう10年前にもなるんやね。ついこのあいだの気がしとったわ……。
おっといっけね!!
ついうっかり『君の名は。』でお馴染みの地元飛騨弁が出てしまいました!
最近飛騨弁使うと
「キャー! 『君の名は。』の三葉と一緒だー! カッコイイ! 抱いてー!」
てなってしまうんで、あんまり使いたくないんですよね。自分の使ってた方言が注目浴びるって嬉しいやら恥ずかしいやらですよ。やれやれ。(本当はめっっちゃ嬉しいですっ!)
本筋戻ります。
そんな僕ら流れ星の初単独ライブはいきなりの全国ツアーでした。
凄いでしょ! 回ったのが、

 

大都会東京!
そして地元岐阜!
とんこつラーメン美味しいよね福岡!

 

以上です。
いや三ヶ所だけかい! 何が“全国ツアー”だよ! 三ヶ所回って全国旅した気になってんじゃねぇぞ! ドラクエの地図か! 桃鉄の地図位回れや! この詐欺師! いや詐欺れ星!

 

とお思いの読者の方々、ツッコミごもっともですが訳があるんです聞いて下さい。
最初はシンプルに東京のみやる予定だったんです。
でも知り合いの福岡のイベンターの人が「福岡でもやってみない?」と言ってくれたんです。
流石に東京と福岡二ヶ所だとバランスが悪いのでじゃあ地元岐阜でもやろう。って事になり謎の全国三ヶ所ツアーが完成しました。
せっかくの初単独ライブ、何か記憶に残る事がしたい。という事で地元岐阜のライブをこのコラムにも登場した、僕が幼稚園の頃から通ってたアラジンというオモチャ屋さんでやろう!と言う事になりました。
早速アラジンに電話するとアラジンのおじさんは
「え!? お笑いの単独ライブ!? ウチで? ちょ、ちょっとスタッフと相談しますからちょっと待ってて下さい!」

 

スタッフって奥さん一人だけの筈なんですが、寝耳に水どころか寝耳に炭酸水かけられたが如くおじさんは驚いてくれました。
そしてスタッフ(奥さん)からもOKが出て晴れてアラジンで単独ライブする事になりました。
オモチャ屋さんで単独ライブなんて前代未聞です。しかもバイパス沿いにあるデッカいオモチャ屋さんとかじゃなくて商店街にある普通のオモチャ屋さんです。
ライブはシルバニアファミリーの棚の隙間からお笑いをやったんで殆どネタは見えませんでした!

 

というのはウソで、実際はアラジン夫妻がオモチャの棚を左右に退けてくれてスペースを無理矢理作ってくれたんです。
しかも
「お客さんが見ずらいから」
真ん中にあった柱を切ってくれました!
「どうせリフォームしようと思ってたから大丈夫!」
と言ってくれました。(でも未だに何のリフォームもされてないです。)
アラジンのおじさんおばさん、あの時は本当にありがとう!
しかしここで一つ問題が出てきました。
オモチャ屋さんに入るお客さんの数はせいぜい20人位。普通のお笑いライブのチケットの値段にしていたら交通費やらなんやかんやで確実に赤字になります。
僕ら単独ライブをやるにあたって流れ星がマネージャーと作ったルールがあり、それは

 

“赤字を絶対に出さない事”

 

自慢ですがこのルールは今までずっと守ってきています。
そこでチケットの値段を一万円にしました。
二千円前後が通常のお笑いライブで一万円なんて異常な値段です。
なので一万円にする代わりに

 

“ライブ後、ちゅうえいの実家に泊まれる”

 

て事にしました。
ちなみにちゅうえいの家は旅館でもなんでも無い普通のボロい二階建ての民家です。
貸し布団屋さんに布団を借りて、ちゅうえいの兄貴の部屋、ちゅうえいの部屋、両親の部屋にお客さんを6~7人泊めました。
この時サザエさんのエンディング位に重みで家が上下左右に揺れ無いかと楽しみにしてたんですが、思った以上にちゅうえいの家は頑丈でした。
ちゅうえいのお父さんお母さん、あの時はありがとう!

 

そうやってスタートした流れ星の単独ライブ、毎年やって渋谷公会堂で二千人の前でやった時はここまでこれたかと本当に感慨深かったです。
でも第一回の時の方が色々仕掛けてて“ROCK”だったな。
ちょっと初心忘れてたかもしれないです。
ちゅうえいの実家に二千人泊めれないか考えてみます。

 

 




アラジンライブ終わりにスタッフ達とアラジン一家と。アラジンの娘さんが持ってる写真が亡くなった僕と仲良かったおじいさん。