つぶやきシローの青空読書『舞姫』を読んだよ
更新日:2013/12/20
『舞姫』森鷗外
舞台は19世紀のドイツ。留学中の官吏・太田と、踊り子のエリスが出会って恋におちる。清廉潔白の付き合いを続けていたが、太田は仲間の中傷を受けて免職となり、エリスと同棲することに。職を失った太田は、大臣に随行してドイツ語翻訳を担当する。しかしほどなくして彼に「仕事か、恋愛か」の選択がせまられる。そんな折に、エリスの妊娠が発覚して……。身分や文化の違う男女の恋愛と、海外の自由な空気のなかで近代的自我に目覚めていく青年のジレンマが描かれている。
森鴎外の処女作にして代表作になった、この時代には希有な浪漫的短編小説である。
「舞姫」は、男女の間で永遠のテーマである”仕事か、恋愛か”を書いた物語なのよ。今も昔もこのふたつの狭間で人間は悩み続けてるんだね。日本人留学生の太田豊太郎と、ドイツの踊り子エリスが出会って恋に落ちる。二人の間には文化の違いも横たわっているのね。そんな障害を乗り越えて結ばれる甘いラブロマンスのはずが、ラストは壮絶な国際恋愛の話に発展していくんだよね。
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森鴎外は実際にドイツに留学していたことがあったんだってよ。だからこの時代の作品にしてはモダンだし、文章がシャレてるのよ。ただ古典みたいでかなり分かりにく?い文章だから、名作シリーズの漫画とかで読むといいね。僕は電子書籍で意味を調べながら読んだよ。
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それにしてもヒロインのエリスっていうのは悲惨な人生なのよ。女性がこの物語を読んだら「結局男なんて信じられないわ」って思うだろうなぁ。でも僕から言わせると、主人公の太田も可哀想なヤツだよ。恋愛表現が下手で、不器用すぎる人間なんだよね。でもそこが彼の最大の魅力なわけなのよ。ほんと、昔の文豪ってちょっとクセのあるダメ男を描くのがうまいよね。
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そんなぼやっとした優柔不断の優男・太田に対して、相沢っていう同級生が出てくるんだけどそいつがまた立ち回りのうまいハツラツとしたヤツなのよ。頭もいいし、要領もいいし、何しろ女にもモテる。自らの手で運命を切り開いていく相沢に対して、太田は恋愛にしても仕事にしても全部流れに身をまかせるタイプ。この作品、正反対の男二人の友情話としても深いね。
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最終的に太田は恋人エリスを手放しちゃうことになるのね。この時代って「お国のため」っていう思想がやっぱりまだあったんだと思うよ。彼が結局日本にとらわれてしまうのも、「自分は日本から国を背負ってドイツへ来ているだけだ」っていうお堅い考えからだよね。自由や青春を謳歌できない、この時代特有の若者のジレンマを感じたね。
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