第30回『ちょいちょいテレビに出てる芸人達の壮絶なる性の現場』/森田哲矢(さらば青春の光)連載

2017/9/15

意外と短かった今年の夏。
僕はと言えば、特に夏らしいことも出来ず、日々どこかにエロい案件はないかと、都内を闇雲に走り回り、足が疲れてくると適当な風俗に飛び込み、そこであったことをコラムに書く毎日。

 

「俺の職業って風俗ライターやったっけ?」
と、自分を見失った時期もありました。

 

そんな中、久々に芸人としての結果を出すことができました。
先日行われた『キングオブコント2017』の準決勝を無事通過し、2年ぶりに決勝進出を果たすことが出来たのです。

 

思い返せば、昨年のキングオブコントを2回戦で落ちたところから始まったと言っても過言ではない風俗ライターへの道。

 

ここのコラムでも度々登場した鶯谷のブス専門風俗店の“バース”というイカれた源氏名の風俗嬢。
そのバースからいただいたパンティを、一年間、御守りとしてカバンの中に忍ばせ、2017年の2回戦でそのパンティを履きながらネタをすると意気込んだものの、突然のルール改正により、過去に一度でも決勝に行ったことのあるコンビは2回戦が免除され、今年から新たに設けられた準々決勝からの参戦になってしまいました。

 

2回戦が免除され、行き場を失ってしまったパンティでしたが、このまま去年の清算をしないわけにはいきません。
このまま何事もなかったかのように大会を終え、ここの読者全員をガッカリさせることだけは避けたかったのです。
焦りが募る中、僕は大会規定のちょっとしたほころびに気づきました。
幸運なことにルール改正はしたものの、

 

『準々決勝で、風俗嬢からもらったパンティを履いてネタをすることは一切禁止しています』

 

の文字はどこにも見当たりません。
僕は準々決勝でバースのパンティを履いてネタをすることに決めました。
ルール改正の盲点を巧みに利用した離れ業。

 

相方の目を盗んでパンティを装着する僕。
履いた瞬間、全身を駆け巡るバースの不思議なパワー。

 

いつもよりも通る声。
いつもよりも面白い顔。
いつもよりも入っている客席。

 

結果、めちゃくちゃウケました。

 

昨年の2回戦の60倍ぐらいウケました。

 

「なんでこんなウケたんやろ?」の顔をしてる相方をよそに、僕の心の中はバースへの感謝で溢れ返っていました。
同時に込み上げてくる熱い想い。

 

俺は風俗ライターなんかじゃない!
俺の職業は芸人なんだ!

 

奇しくもそう思わせてくれたのは、風俗嬢だったのです。
ネタが終わった直後、どこからともなく聞こえてくるバースの声。

 

「もう2度とこんなとこ(ブス専門風俗店)に戻って来るんじゃないぞ」

 

「はい。お世話になりました。これからは芸人として一から精進します」

 

出所する瞬間の看守と受刑者のような会話を舞台袖で交わしたような気がしました。

 

このまま決勝まで突っ走って優勝してやる!

 

そう誓った夜でした。
そんな中、この前行った風俗でちょっとした事件が起こりました。

 

完璧なフリ。
冒頭から約1000文字をフリに使った、「結局風俗ライターやないかえ!」までの美しすぎる着地。
つい口に出した方もおられたことでしょう。

 

3年やってきた集大成を見せつけつつも、お叱りの言葉が怖いので、早々と本題に移ります。

 

そう、今回も結局風俗ライターなんです。
しかし、普通にスケベな雑誌などで風俗ライターをやっている方と、ダ・ヴィンチという偉大な媒体で風俗ライターをやっている僕との圧倒的な違いは何か?

 

それは僕が、ちょいちょいテレビに出てる、ということです。
頻繁に出てるわけではないが、全く出てないわけではない。
『ちょいちょい出てる』のです。
そんな『ちょいちょい出てる』からこそ起こった事件を今回はレポートしようと思います。

 

その日僕は、3年ほど先輩の親友、BKBことバイク川崎バイクさんと五反田で飲んでいました。
自然と童貞トークに華を咲かす僕たち。
色んな妄想を繰り広げているうちに、当然ムラムラしてくる僕たち。
もはや当たり前のように風俗に行く流れになり、すぐさま店を決め、

 

「終わったらホテルの向かいのコンビニの前で待ち合わせで!」

 

とだけ約束し、ホテルにチェックインし、女の子の到着を待っていました。

 

ほどなくして、女の子が到着しました。
『ひとみ』という名前の30代前半ぐらいに見える明るくてスレンダーな女性。
挨拶を済ませ、軽いアイドリングトークが始まりました。

 

「お兄さん、誰かに似てるよねー?」

 

「さんまさんですか?」

 

「それも似てるんだけど違う」

 

「ロンブーの淳さん?」

 

「それもちょっと似てるけど、じゃなくてあの人、誰だっけな?」

 

「原口さん?」

 

「あっ! 確かにめっちゃ似てる!」

 

いつもは大体この辺で終わるアイドリングトークですが、今日の風俗嬢は食い下がってきます。

 

「誰だっけなー?」

 

「久本さんですか?」

 

「似てるー!! けど違う!」

 

「柳沢慎吾?」

 

「違う!」

 

「長渕?」

 

「違う!」

 

ムード作りもクソもない、謎のクイズの時間。
少しイライラしながらも、僕は心のどこかで、

 

もしかして?

 

という1つの疑問が浮かびました。

 

「若手の芸人さんでさー」

 

ほら。

 

「M-1かなんか出てた人」

 

やっぱり。

 

「なんかちょいちょいテレビ出てるじゃん?」

 

勇気出して言ってみるか。

 

「もしかして……さらば青春の光?」

 

「そう!! そうそうそうそう!!」

 

かなり意外でした。
ちょいちょいテレビに出てると言っても、ほとんどが深夜番組。
たまに街などで声をかけていただくことはあっても、深夜が主戦場の風俗嬢が、僕らのコンビ名を知っているなんてことは滅多にないのです。

 

「むちゃくちゃ似てるよね!」

 

嬉々として言ってくる風俗嬢。

 

「そうですか? まあたまに言われますかね?」

 

なぜかそっくりさんのスタンスで返す僕。

 

「むっちゃ似てるよ! 本人だって言われても信じちゃうレベルだよ!」

 

屈託のない笑顔と明るさで凄く好感が持てる子です。

 

「そんなに似てますかね?」

 

なぜかまだそっくりさんのスタンスで変な優越感に浸る僕。

 

「合コンとかで本人だって言ったら絶対信じるよ! 今度試してみなよ!」

 

うん、確かにいつもみんな信じてくれてる。

 

「お笑い好きなんですか?」

 

シンプルな質問を投げかけてみました。

 

「お笑いは好きだねー。ていうかテレビは結構観るよ!」

 

「だからそういう若手芸人とかも知ってるんですね?」

 

「うん、あの人達ちょいちょい出てるじゃん」

 

大好きな職種の人に認知されてるという喜び。それだけで股間が熱くなります。
調子に乗った僕は少し怖いが勇気を出して更に聞いてみることにしました。

 

「僕そこまで知らないんですが、あの人達って面白いんですか?」

 

緊張の一瞬。

 

「まあまあ面白いよ」

 

ふうー。

 

ちょうど勃起しそうな絶妙に良い具合の評価。
「めっちゃ面白い」の方が勃起するんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、実は芸人は風俗嬢からの「まあまあ面白い」が一番勃起するのです。

 

そこそこ長めのアイドリングトークを終え、僕らは服を脱ぎシャワーへ向かいました。

 

シャワー室でも会話は弾みます。
僕の体を洗いながら、ひとみ嬢がサービストークをしてくれます。

 

「ちょくちょく芸能人も来るけどねー」

 

「え? 過去に誰を相手したんですか?」

 

ゴシップをもらおうとする僕。

 

「××っていうグループの〇〇とか相手したことあるよ」

 

「え!? あの歌って踊れて女性達から絶大なる人気を誇るグループのリーダーが!?」

 

ビッグゴシップGET!!

 

「そう、びっくりしちゃった! 中々のMだったよ!」

 

「そうなんや!? 〇〇ってMなんや!?」

 

と僕がリアクションしたその瞬間、ひとみ嬢が僕のイチモツを右手でグッと掴み、

 

「〇〇よりはデカイね」

 

と言ってきました。

 

「マジすか!? よっしゃー!!」

 

僕のイチモツも別に大した大きさではないですが、その瞬間僕の中で〇〇への劣等感は一切なくなりました。
それと同時に「こんな簡単に風俗来たこと暴露されんのかい」というジレンマもありましたが、良いゴシップを貰ってホクホクの僕は、上機嫌で引き続きお風呂場での会話を楽しみました。

 

話題は最近のコスメ事情に。
乾燥肌で悩んでたけど最近良いアロマオイルを見つけたみたいな話を楽しそうに喋るひとみ嬢。
しかし、アロマの話の途中、急にひとみ嬢が言いました。

 

「え? ちょっと待って? まだ似てんだけど?」

 

え?

 

「いや、さらば青春の光の人に。まだ似てんだけど?」

 

まだ?

 

「いつも会った瞬間、だれだれに似てるなあとか思うことあるけど、大体シャワーの頃には似てなくなってんのよ。でも今日はまだ似てる」

 

独特の持論を展開するひとみ嬢。

 

「そんなに似てます?」

 

もう引くに引けなくなり、俄然そっくりさんスタンスで挑む僕。

 

「原口さんとか久本さんはよく言われますけど、さらば青春の光に似てるは、あんまり言われないですよ?」

 

至極当たり前のことを言う僕。

 

「めっちゃ似てるよ! それこそ風俗とかでも本人って言ってみな? 絶対バレないから!」

 

まさに今の僕に言ってきてるような発言。

 

「けど、風俗で『オレさらば青春の光やねん』とか言ったら本人に失礼じゃないですか? 実際は風俗なんて行ってないのに、よく行ってるみたいな噂立ったらかわいそうじゃないですか?」

 

自分で自分を守る僕。

 

「でもあの人ちょっと行ってそうじゃん?」

 

そうなんかい!
オレそんなイメージなんかい!
ほんでその予想めちゃめちゃ当たっとんねん!

 

「そんな風に見えないですけどねー?」

 

精一杯の抵抗。

 

「見えるよ! なんかドSっぽいし!」

 

そこの予想は外すんかい。

 

シャワーを終え、いよいよベッドでプレイが始まりました。
その店はどっちかというとM寄りの人の為の店なので、僕はベッドに大の字になり、ひとみ嬢の責めの技術を存分に味わうことにしました。

 

僕の首筋の方からゆっくりと舌を這わすひとみ嬢。
そのファーストタッチだけで中々の手練れだということは伝わってきます。
適度に僕を焦らしながら、ひとみ嬢は徐々に徐々に下の方に下りていきます。
舌と同時に指でも僕の体を刺激してくるひとみ嬢。
僕の興奮はマックスに達しようとしていました。

 

そしてとうとう、ギンギンになった僕のイチモツに到達しようかというその瞬間、ひとみ嬢が急に口を開きました。

 

「え? まだ似てんだけど?」

 

もうええって!!
今一番興奮してたとこやねん!!

 

「いや、こんなことないよ? だってずっと似てるんだもん! もう会ってかれこれ30分は過ぎてるんだよ? それでもずっと似てるの!」

 

僕のイチモツを触りながら、懸命に訴えかけてくるひとみ嬢。

 

「あの、ごめん。ちょっとプレイに集中してくれへん? そんなちんこ触られながら『似てるもん!』とかいう状況中々ないから!」

 

我慢できず、チクっと注意する僕。

 

「あははは! そうだよね! ごめんね!」

 

明るくて良い子ではある。

 

プレイを再開し、僕のイチモツを責めるひとみ嬢。
口技、指技共にかなりのレベルの高さを見せつけてくるひとみ嬢。
僕のイチモツを舌で転がしながら、それにさらにプラスして上目遣いでこちらを見てくるという、男が大好きなスタイルも心得ている徹底ぶり。

 

上目遣いのひとみ嬢に、「むちゃくちゃ気持ち良いですよ~」の顔を向ける僕。
バッチリと目が合う二人。

 

「やっぱまだ似てる」

 

だからもうええって!!
なんやねんマジで!!

 

そして、ひとみ嬢がとうとう1つの答えに到達しました。

 

「え? 待って? もしかして本人?」

 

恐る恐る聞いてくるひとみ嬢。

 

「え……?」

 

僕が、少し戸惑っていると、

 

「えー! ほんとごめーん! 絶対そうだよねー? だってずっと似てるもん!」

 

僕はこのまま行くとせっかくのプレイが台無しになると思い、

 

「違いますよ。僕ただのサラリーマンですから」

 

と、嘘をつきました。

 

「えー? ほんとー? 本人でしょ?」

 

「違いますって。本人なわけないでしょ? あの人確か大阪在住ですよ」

 

「そうなの? そっか。なんかごめん」

 

「そんなに気になるんやったら電気消しましょ。そしたら似てるとか気にならんと思うし」

 

苦肉の策でなんとかひとみ嬢を説得し、電気を消してプレイに戻る僕達。

 

しかし、電気を消したことで更に五感が研ぎ澄まされ、やっとプレイに集中できたと思った矢先のことでした。

 

さっきまであれほどの高いレベルを誇っていたひとみ嬢の技術が、先ほどまでとは比べ物にならないぐらい低下しているのです。
指と口のバランスも崩れ、イチモツを握った手を動かすリズムも悪い。

 

めちゃめちゃ気になってるやん!!

 

プレイに集中できず、本人かどうかだけがただただ気になっているひとみ嬢。
心ここに在らずとはまさにこのこと。

 

そして暗闇に目が慣れ始め、お互いまた目が合いました。

 

「似てるよ?」

 

「集中せえて!」

 

「だって絶対本人だもん! よく考えたら“さんまさん”とか“久本さん”とかさん付けだし、あんまり知らないとか言ってたのに大阪在住って知ってたし! ねえやっぱり本人でしょ?」

 

僕はこのままではダメだと思い、

 

「わかった! 白状するわ! 本人! オレさらば青春の光!」

 

「やっぱり! ねーほんとごめーん! めっちゃ失礼だよねー?」

 

「そんなことどうでもええからとりあえずプレイに集中して! ごめんっていう気持ちがあんねやったらプレイで返して!」

 

わけのわからない檄を飛ばし、ひとみ嬢を鼓舞する僕。

 

「うん!」

 

クソみたいな鼓舞にもかかわらず、なぜか士気が高まるひとみ嬢。
そこからは最初の頃の技術に戻るどころか、更にもう一段階レベルが上がったような錯覚に陥り、僕はすぐに昇天してしまいました。

 

どんなイキ方やねん。

 

と思いながら再びシャワーを浴び、帰り支度をする僕に、

 

「ねえ? ほんとにほんとに本人だよね?」

 

と、まだ聞いてくるので、携帯で自分のツイッターなどを見せてあげ、ようやく納得させました。
最後にエレベーターの中で僕は言いました。

 

「けどオレのこと知ってるって中々のお笑い好きやと思うで?」

 

「お笑い好きだよ! だから今日めっちゃいい日だよ!」

 

と嬉しいことを言ってくれるので、

 

「実は今日BKBと来てん!」

 

「BKB?」

 

「バイク川崎バイク!」

 

「誰?」

 

「いや、バンダナでグラサンの? バイクだけにブンブンとか言って、きゃりーぱみゅぱみゅと一緒にCMも出てた人やん? オレよりも余裕で有名やで?」

 

「ごめん全然分かんない?」

 

「マジで!?」

 

というところで僕らはホテルの外に出ました。
すると、目の前のコンビニの前でちょうどバイクさんが待っていたので、

 

「あの人あの人! ほら! BKB!」

 

「ごめん本当に分かんない! じゃあね!」

 

と、それっぽいオチを残して五反田の街に消えていきました。

 

ちょいちょいテレビに出てたからこそ巻き起こった変な奇跡。
もうこんなことが起こらない為にも、バイクさんも僕も、

 

「早く売れよう」

 

と心に決めた夜でした。