佐渡島庸平【この本にひとめ惚れ】『モチベーション革命』『千利休 無言の前衛』『新しい分かり方』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/11

 『ダ・ヴィンチ』本誌の人気連載コーナー「この本にひとめ惚れ」から、コルク代表・佐渡島さんのひとめ惚れ本を紹介。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』といった大ヒット作品を世に出した天才編集者・経営者が“ひとめぼれ”した本をチェック!


『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』
尾原和啓 幻冬舎 1500円(税別)

装丁:トサカデザイン(戸倉 巌、小酒保子) 編集:箕輪厚介

新しい世代の行動原理を知るために。今の若い世代がしんどい努力を避けるのは、僕たち世代と行動原理が違うから。上の世代が価値観の違いをわかっていないと、下は元気に働けない。


『千利休 無言の前衛』

赤瀬川原平 岩波新書 840円(税別)

それまで価値を見出されていなかった「茶」をブランドとして定着させた利休。「いかにブランド化するか」は現代でも重要課題。ブランド化の天才に、いま学びたいことがたくさんある。


『新しい分かり方』

佐藤雅彦 中央公論新社 1900円(税別)

装丁:うちのますみ、石川将也、古別府泰子(Barber)
編集:藤平歩、角谷涼子

佐藤さんは大好きなクリエイターのひとり。わかりにくさは排すべきという風潮にあるが、佐藤さんは「ちょっと分からないもの」を提示して興味を引かせる天才。「わかりやすく直せ」という提案が無粋に思えてならない。

【青山ブックセンターにて彷書】


<プロフィール>
佐渡島 庸平(さどしま・ようへい)●1979年生まれ。南アフリカで中学時代を過ごし、灘高校、東京大学を卒業。2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、クリエイターのエージェント会社、コルクを設立。現在、漫画作品では『オチビサン』『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『テンプリズム』(曽田正人)、『インベスターZ』(三田紀房)、『昼間のパパは光ってる』(羽賀翔一)、小説作品では『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集に携わっている。
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写真=首藤幹夫
取材・文=田中裕