プリクラは手軽なコスプレ、漫画は…!? イタリア人が驚いた日本のポップカルチャー【『I♡TOKYO』連載第4回】

暮らし

2018/6/11

 漫画やアニメをはじめとする日本のポップカルチャーは、今や外務省も海外に推進する文化事業だ。幼いころから40回以上、日本を訪れているというイタリアで人気のラジオDJでありミュージシャンのラ・ピーナさんもまた、魅了されたひとり。イタリアで5万部を突破した著書『I♡TOKYO』(岩田デノーラ砂和子:訳/学研プラス)でも「漫画とアニメについて話さない訳にはいかない」と章をもうけるほど、日本と東京を知るうえでははずせないコンテンツなのだ。だが実際、文化も歴史も異なる海外の人たちには、どんなところが魅力的にうつっているのか? 漫画やアニメ以外にも、どんなコンテンツが人気なのだろう? 著書の一部をここで見てみよう。

■日本の漫画は巨大な文学的宇宙

 ラ・ピーナさんいわく、日本の漫画は「巨大な文学的宇宙」。……ちょっと大げさすぎ? と驚いてしまうが、その理由は作品の細分化にあるらしい。我々日本人は子供のころから「少女漫画」「少年漫画」「青年向け」「主婦(レディース)向け」など“種類(ジャンル)”があることを知っている。内容だけでなく絵柄の傾向も異なるこのジャンル分けが、海外の人にとっては何より珍しいものなのだ。性別・年齢の基本ターゲット層だけでなく、「ファンタジー」「ロマコメ(ロマンチック・コメディー。ラブコメのことだと思われる)」「スポ根」「ホラー」「ボーイズラブ」などなど、物語種別にもジャンルは確かに、宇宙のように果てしなく存在している。作品の深みを好みにあわせて味わえる、このあたりまえの嗜好が実はとても貴重なものだったのだ。

■プリクラの加工は、漫画・アニメの世界へのトリップ体験

 機能進化のすさまじい“プリクラ”。最近では自動的に、美肌や脚長、デカ目に加工されるので、顔の原型を保ったまま撮影できる機械はほとんどない……と噂にきいているので、素朴な写真機だったころを懐かしむ身としては敬遠しがちな娯楽だったのだが、ピーナさんは本書で新しい視点を授けてくれた。漫画やアニメの主人公のように変身したいと思ったときに、気軽に変身させてくれるというのである。……なるほど! 「漫画のようなキラキラ輝く目と、数キロメートルレベルの長いまつ毛」。これは乙女の憧れに近づける「トリップ体験」であり、誰でも気軽に楽しめるコスプレの一種。全力で“KAWAII”を満喫しているピーナさんをみれば、ゲーセンに立ち寄って遊んでみたくなること請け合いだ。

■変わりゆく街で唯一80年代から変わらないもの、ガチャガチャ

 日本人でも、大人でも、通りすがりに見つけるとつい手を出したくなってしまうガチャガチャ。別にほしいわけじゃないけど、懐かしさと遊び心がこみあげる。ピーナさんいわくガチャガチャは“常に変化している日本で、たった一つ、80年代から今まで変わらないもの”。「透明なボールの中に入ったサプライズの自動販売機」とキャッチフレーズをつけてくれたが、まさに我々はガチャガチャから“驚き”を買っているのだなあとしみじみ思う。出てくるものの大概は想定内のものだけど、ハンドルを回すたびにワクワクして背筋がぞくぞくする。その原始的な楽しみは、海を越えて共有できるものなのだ。

文=立花もも